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7日目1 森林ダンジョンへの道中

 知らない天井だ。ウソだ。この一週間で慣れ親しんだ宿の天井だった。

 異世界転生をしたら皆やっているお約束なのに、忘れていたので。


 体を起こして食堂に向かうと、アベル君のパーティーが出て行くところだった。

 朝早いな。これが若さかと、自分の年齢を棚に上げて考える。俺達だって朝八時集合、遅くは無いはず。


 美味しいけど少し飽き始めているスープとパンをいただき、準備を整えて宿を出る。


 集合場所の西門前では、既にアイリスが待っていた。


「すまん、待たせたか?」

「ぜんぜん、まだ集合時間前」


 デートかな? 残念! ダンジョンアタックでした!


「森林ダンジョン行きの乗合馬車が、後四人で出発する」


「そうか、それに乗せて貰おう」

「うん。それとこれ、しまっておいて」


 アイリスから荷物を幾つか受け取り、魔法袋に仕舞う。その後は御者のおじさんに話しかけて、それぞれ500ラウ支払った。

 軽い世間話をした後、二人並んで席に着く。


 数分ほど待機していると、一昨日ゴブリンダンジョンを攻略していた青年二人組が、最後の客として乗り込んできた。


「出発するぞー」


 御者さんが大きな声で宣言し、馬車は出発する。

 馬車に充満する動物の独特なニオイ、初めは戸惑ったが、慣れたもんだ。町にも沢山いるからな。


 馬以外にも竜みたいなのから小鳥やフクロウ、果ては蛇やトカゲまで、様々な魔物や動物が使役されている。


 魔物はテイムアイテムで捕まえるか、調教スキルで使役するのだが、テイムアイテムは確実に捕まえられるわけでも無いのに超高額。調教スキルもDランク以上のダンジョンからしか入手が出来ない。


 俺はこの世界で色々な生き物と戯れたい。魔物のテイムだってやぶさかではない。

 到着まで一時間ほど暇だしその辺、アイリスに聞いちゃうか。


「なぁアイリス。たまに街の中で竜みたいな奴が荷物引いてたりするけど、あれなんだ?」


「ん、あれは龍馬」

「りょうば?」


「そう。馬と竜が交わった子供と言われてるけど、繁殖は龍馬同士しか出来ない」


 そういえば地球にそんな幻獣の伝承があったような……?


「力、体力、速さ、全て馬以上。けどとても高価で大喰らい。繁殖期が数年に一度であまり増やせない」


 へぇー、まぁあんまり増えすぎて馬の代替になっちゃうと、仕事を奪われて可哀想だし、丁度良いのかもな。お馬さんサイドが働きたいかは知らんが。


「他にも騎乗出来たり荷物を引ける生き物っているのか?」


 できればモフモフしてるかわいいやつが良い。


「いっぱいいる。ユニコーンにペガサス、グリフォン、飛竜や地竜なんかは、専門の騎士団がある国も多い」


 あーその辺は確かに、イメージあるな。

 ペガサスとグリフォンは可愛いかもしれない。ドラゴンはゴツゴツしてそう。処◯厨は男に厳しいイメージがあるので、ダメだ。


「ふわふわでかわいいのは居ないのか?」


「かわいい……フェアリーフォックスなんかは、絵本でしか見たこと無いけど、もふもふしてる。尻尾が増えるほど大きくなって、乗れるらしい」


「その子がいい! いつか絶対もふるぞ!」


 おれはフェアリーフォックスと共に生きる。そんな生活を手に入れるのだ。毎日ブラッシングしてもふもふするんだ。


「――夢をみるのは、だいじ」


 俺が将来、大統領になると語って聞かせた時の母親みたいな目で俺を見るアイリス。馬車の中を見回すとそんな目が幾つか俺を見ていた。


 恥ずかしくなり、赤い顔を誤魔化すため外を見る。たわわに実る麦畑が、薫風で笑うような音を奏でた。


 約一時間後、森林ダンジョン前に到着した馬車を降りる。


「あれがダンジョンの入り口だよな?」

「そう」


 切り拓かれた森の中、崖にポツンと空いた穴は、鍾乳洞の入り口のようであった。


「受け付けはあっち」


 ダンジョンの入り口に寄り添うようにあるロッジが、ギルドの施設だ。

 外に見張りの兵士は居るが、ゴブリンダンジョンほど厳重に見えない。

 それはここ森林ダンジョンの魔物が外に溢れ出る事が少なく、スタンピードを一度も起こしたことが無いからだろう。


 記録されているだけで五百年、何も起きてない実績がある。フラグじゃないぞ。

 学者さんの見解だと、このダンジョンは内部の方が魔物達が過ごしやすいみたいだ。

この一帯で最も魔素濃度が濃く、洞窟の中には暴風雨なんかは来ないからな。この温室育ち供め!


「いく」


 アイリスについてギルドの出張所へ。入ダン届を提出し、お手洗いに行ったら、ダンジョンに出発だ!


 ちなみにちょっと汚い話になるが、狩り中は尿意や便意に鈍感になる魔法具を使っている。どうしてもとなったら簡易トイレを使う。


 硬い厚紙で出来た簡易トイレを組み立てて用を足すと、砂の粒子みたいなモノになり、その辺に捨てて問題なくなる。


 魔法って凄いなと思うと共に、冒険者のリアルを感じてしまった。


 ロッジの外に戻るとアイリスが不意にこちらを向き、口を開いた。


「今日から門限を一時間伸ばした」


 元が十九時だったはずだから、二十時までに帰ればいいのか。外泊しない代わりとして交渉したのかな?


「そっか。それなら十八時くらいまでは狩れるか」

「うん、できるだけ粘る」


 ヤル気が凄い。まあ俺も早くアイリスに追いつきたいし、異存はないがな。

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