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そのタジマ、変態につき。

作者: 舩旁晛宏

『From Abyss』アンソロジー

第4回は頼れる変態、田嶋ちゃんの回です!


バカバカしいコメディになってしまいましたが、

バルト先生、『From Abyss』ファンの皆様には

笑って許していただければ幸いですm(_ _)m

注意:

これはナオキとダモンが中学生の頃の出来事で

あり、まだカイトとアオイに会う前の物語である。





 とある放課後の中学校。吹奏楽部が廊下で

金管楽器のチューニングをしてる頃、

図書室からキャアア!と悲鳴があがる。


それは女子の声だった。

そして第2に発した言葉は


「露出狂よ!露出狂が居るわ!!!」


『ははっ!何を言い出すかと思えば、

オレ達が露出狂だなんて………

当たり前の事じゃないか!』


そう彼らは露出狂…… つまり他人前で

全裸になるのが大好きな集団。


その名も″マジで脱皮しようクラブ″。

(「脱皮」は彼らの場合だと

服を脱いで全裸になる事を指す。

決して如何わしい意味では無い。)


公共わいせつ罪スレスレの彼らの行為は

可哀想な事に毎日誰かの悲鳴があがる。

その中でもリーダーとして君臨するのが……



そうみんな大好きこの男、

田嶋直樹(たじまなおき)」である。




田嶋は黙って、図書室に隣接する放送室のドアを

蹴り破り放送のスイッチを押した。そして……


「うわぁぁああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああ!!!!!


ミナさぁあん!″脱皮″しませんかぁぁああ!!!

脱皮は良いゾォォォォオオ!!!!!

脱皮は人類だけが許された、

素晴らしくワンダフルな行為なのだぁ!!!」


こうなったらPTA以外、彼を止める者は居ない。

というか素晴らしいとワンダフルは同じ意味では…



「ちょっと、田嶋くん!?何してるのよ!!!」


隣から怒声が聞こえた。

声の主は生徒会長の末枯綾篦(すぐりあやの)

と書記の横瀬謙雄(よこせかねお)の2人組だった。


「ナニって………別にオナってねぇよ。」

「え!?ちょっと、え?(ドン引き)

………いや、そういうことじゃなくて!

全裸のまま勝手に放送室使うの辞めなさい!!!」


末枯は絶句しないようになんとか気力を

保ちながら田嶋に注意をしている。

横瀬は田嶋の聞き間違い及び下ネタに

吹き出していた。


「それに、あなた達の活動(?)は

先生方とPTAの皆様に報告しましたからね!」

「だから?」


末枯&横瀬「え。」


「いや、だから?」

「その……先生達に怒られると………」

「それがなんだってんだよ。

喝入れられたら余計元気になるよ。俺は。」


末枯は絶句した。

横瀬も流石(さすが)に引いた。

他のメンバーは誇らしげだった。



「はいはい。

図書室にも大声が聞こえてくるので

もう少し静かに叫んでください。」


と割って入ってきたのは

田嶋の親友、秋崎駄文(あきざきだもん)だった。

彼は図書委員会の会長でもあるため、

放課後でも常に図書室に居るのだ。


「なぁ、駄文。聞いてくれよ。

この生徒会が全裸になるなって

さっきからうるさいんだよ!」

「な、何で私達が悪者みたいにするの!?」


「まず服を着ましょう。

そんな格好だと風邪をひくし、

何より末枯生徒会長に失礼ですよ。

………あれ前より伸びたね。」


何がとはいわないが田嶋は成長期なのだ。

田嶋は親友に褒められ嬉しそうだった。

味方がいない末枯は今にも泣き出しそうだった。

横瀬は駄文の言葉に吹き出している。


結局、その日は解散する事になったが

生徒会(特に末枯)は黙ってはいなかった。




そして次の日の放課後………


「さぁ!今日は何処で脱皮しようかな!」


と田嶋が意気込んでいると

隣に居た(いし)(はら)絢斗(あやと)が違和感に気づいた。


「なぁ直樹、今日メンバー少なくね?」

「そんな訳が…………あ、ほんとだ。」


昨日まで田嶋,石ノ原含め57人も居たメンバーが

一気に13人まで減っている。


「ありゃりゃ……どうしたってんだコレは。」


「貴方達を撲滅するためよ。」

声の方に振り向くとそこには末枯生徒会長が居た。


「おい、俺らの仲間に何をした!」


「停学処分よ。特に酷い子は退学にしたわ。」


2人は目を開いて (何言ってんだこのバカ女は…)

と思っていたのだが、明らかに彼らがおかしい。


「それと田嶋くんと石ノ原くんは

この前、町の電気店さんの窓壊して

テレビ盗んだでしょ!?」


「だって、テレビ見たかったんだもん。

秋崎駄文だけに。」


おいこら


「公共わいせつ罪と器物損害罪で貴方達を

警察に突き出します!ついでに退学もさせます!」

田嶋「あ、あと窃盗罪か。」

石ノ原「なんでお前(犯人)が罪を認めるんだよ!」


2人はその場から急いで逃げる事にした。

不思議な事に末枯は追ってこなかった。


「さて、何処に逃げようか。」

「そもそも、他の仲間はどこ行ったんだよ!」


癇癪を起こしてロッカーを蹴り飛ばす石ノ原。

すると、そのロッカーから男子生徒が出てきた。


「うわっ!お前誰だよぉ!?

まさか生徒会の手下か?ブッこros」


いきなりメンチ切られて驚いていたが、

よく見ると田嶋の知り合いだった。


「ん?お前………天彦か?」

「え?ああ嶋ちゃん!無事だったんだね!」


彼の名は野中天彦(のなかときひこ)

実は田嶋のクラブの元メンバーだったのだ。

(方向性の違いで1年前に脱退したのだが)


久しぶりの仲間に歓喜し、

休憩がてら雑談することにした。




「嶋ちゃん、はっきり云って今回はヤバいよ。」

「まったくだ。どうして末枯はああいう事まで

して俺達を撲滅したいんだろうな?」

「…彼女のお父さん、露出で捕まってるんだよ。」


「「え、マジかよ。」」


田嶋と石ノ原が声を合わせて驚く。

野中は続ける。


「その後お父さんとは離婚したんだけど

露出狂がトラウマになっちゃったんだよ。

それで、嶋ちゃんと君(石ノ原)は露出狂でしょ?

だから彼女にとっては敵でしかないんだよ。」


「「マジかよ……」」

「それしか云わねぇのかよ。」




「でもさ、俺と絢斗ってもう

退学は決まってるんだよな?」

「ああ。しかも警察に世話になる。」

「家族は別にどうだっていいしな……」

「どうする?」


田嶋が考え込む。

そして数分後、決心した様子で


「よし。屋上で脱皮しよう。」


ねぇ、どうしてそうなったの???



「どうせ捕まるなら

最後くらい派手にカマそうぜ!」

「ああ!直樹の云う通りだ!!

さすがは俺達のリーダーだぜ!」


意気込む田嶋と石ノ腹。

因みに、野中は遠慮して帰った。




バレないように屋上へ忍び込んだ2人は

早速下を見てみる。パトカーが何十台も

止まっていた。末枯が云っていた事は本当だった。

こんな状況ですらエクスタシーを感じる2人。


すると、石ノ原が前に出た。

「おい!テメェらさっきから

俺らは変態呼ばわりしやがって、ふざけんなよ!

それに今は多様性の時代だろぉお!?

俺らみたいな奴らも認めろってんだよぉ!!!」


すると石ノ原の(うなじ)に一本の小さな矢が刺さった。

そして石ノ原はそのまま下に転落していった。


「絢斗!!!」


「睡眠薬を塗った吹き矢よ。」

後ろには末枯が居た。いや居たというより、

待ち構えていたという方が適切なのかもしれない。


「それに下には救助隊が横断幕を広げて

キャッチしているから命は無事よ。」


「……なんでそこまでして俺らを潰すんだよ。

生まれた時の姿(つまり全裸)になる事の

何が悪いんだよ!なぁ!?

それに、お前だって風呂入るだろ!?

風呂の時は全裸になるだろ!」


「普通に服着たままシャワー浴びるわよ。」


それを聞いて田嶋はドン引きした。

それをトランシーバーで聞いていた

横瀬と周辺の警察もドン引きした。 




「どうすりゃ良いんだ………



いや、もう良いか。そうだな。」


ズボンのチャックを静かに下ろす。


吹っ切れた田嶋は

自分なりの答えを出そうとしていた。


末枯は睨んだままの目つきで

田嶋の最後を見届けるつもりだ。


「…………」


田嶋は全裸になり、目を閉じ、両手を広げて

そのまま下に落ちていった………


その姿はイエス・キリストの磔刑にも見えた。









「ねぇ!ちょっと、直樹!いつまで寝てるのよ!

……あら、何で十字架のポーズしてるの?」


「え?あれ………俺の部屋だ。あ!」


全てを理解した田嶋を一気に肩を落とした。


「なんだよもう、夢かよ……」

「今日は中学校の友達が来てるわよ。

確か、石ノ原くんと野中くんだったかしら。」

「え、マジ?すげえ偶然だなぁ……

今日そいつらが夢に出てきたんだよ。」


ふーん。と興味が無い返事で家事に取り組む母親を

よそに田嶋は急いで玄関に向かった。


戸を開けるとそこには誰も居なかった。


「あれ?なぁ、お袋!誰も来てねぇぞ?」


「え?おかしいわね……さっきまで居たのよ。」

「なぁ、その2人って

本当に石ノ原と野中なのかよ?」


考え込む母親。でも、思い返してみれば

中学校の知人は秋崎駄文以外覚えていないのだ。


石ノ原、野中、横瀬、そして末枯……


この4人が印象的だったがそもそも本当に会った事があるのかすらも分からない。


しかし末枯だけは、本当に何処かで会った事が

あるのだ。それが良き出会いでも悪い出会いでも…




とりあえず田嶋は午後のカイト達との

ゲームに備えてもう一眠りつく事にした。


今度は全裸が許される多様性な社会に行く夢を

見ることを願って………

田嶋と秋崎とカイト以外のキャラは

オリキャラなので、原作には登場しません。

ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 下ネタ丸出しだけどコメディ部分やストーリーとしては悪くないと思います。そういうのが苦手な人!頑張って読むんだ!面白いと思う(はず)!! [気になる点] 読むのが嫌になるひともいるかも? […
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