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燻り





すごーい、ろじうらいきだーよ。

わーお、あやしいおにーさん、ふたりふえたーよ。

ぎるどないでのラブコールみたいな視線の強さが

すごかったもんね。


ってなわけで・・・

怪しいおにーさん(あやおに)ABCがあらわれた。

こんな奴ら某RPGのモンスター扱いでいいんだよ。

こいつらギルド内で俺の方をずっと見ていたんだよな。


「あんちゃん、森の悪魔に興味があるのか?」

Aさんのお言葉です。

「そですねー。なんかおもろそうなんで。」

「お前あの悪魔の森から出てきたんだろ?」

「もし腕に自信があるならどうだ?

俺らの雇い主が悪魔の討伐隊を作ろうとしてんだ。」

BとCが言う。そしてAがメモを渡してくる。

「興味があったら指定の時間にココに来な。」

「直接悪魔と闘わなくても手伝ってくれれば実入りの良さは保証するぜ。」





「あいつの反応どう思う?」

「多分それなりに出来るだろうな。」

「少なくとも頭数稼ぎには入るだろう。」

「口封じは?」

「多分そこまでは必要ねえだろ。 ありゃ趣味で調べてる程度じゃねーのか?」

「最悪手遅れにもならんだろうよ。」


ぜんぶきーてる(地獄耳)ですよー。


どうも受付での会話を聞いてたみたいだな。

まっ、当たり障りないことしか話さず

聞かせてたようなとこもあるんだけどね。


せっかくだからすこし覗いてみようか。









現地に向かう前に下準備だ。

まずは目と耳を用意する。


これはオリジナル魔法なので名前は無い。

街中の虫やネズミなんかの小動物と無理やり繋がり

視覚聴覚をリンクさせ覗き見をする物だ。

本調子ならばかなり広範囲をカバー出来る上に

数百、数千は同時にリンクできる。

完全な反則技なのでどこまで可能かは試したことは無いし

普段は()()()()()にて十数ぐらいしか出来ないように抑えている。

生き物の自由を無理に奪う魔法かつ

そもそもが覗き見なので

リミッター以前にこれ自体を殆ど使わなかったりする。



マルチタスクを施行。


魔法?スキル? よー分からんね、これ。

もともと持っていた技術。

普通ならこんなことは出来ないと思うやつ。

思考を完全分離、もしくは別人格を形成可能。

一人脳内会議なんかにももってこいだ。




さて、準備はOK。

渡されたメモにあった場所に行ってみるとしよう。


指定された場所は借家のようだった。

家の奥の広間に通される。

多分、依頼者だろう。仮面をかぶっているのが一人。

そしてそれの護衛かな?冒険者風のが三人。

”風”に見えるのは姿勢ってとこだ。

騎士のような洗練されているものを感じる。

恰好こそソレなのだが冒険者にしては

少々奇麗すぎるんだわな。


仮面男が声を上げた。

「今回はこれだけか。それも仕方ないか。

すまないが私から依頼内容を説明する前に

まず約束をしてほしい。

依頼を受ける受けないは聞いてから決めてもらって

構わないが依頼内容を周りに公言しないでもらいたい。

理由は内容を聞いてもらえれば分かるはずだ。

話を漏らした場合はしかるべき沙汰が下ると思ってくれ。」

結構雑な人の集め方してたけどいいのか?

話が漏れ出そうで怖いなここ。まっ、俺には関係ない。

「単刀直入に言おう。依頼は森の悪魔の討伐だ。」

周りが少しざわざわしだした。

「もちろんこれはかなりリスキーな依頼だ。生きて帰れる保証はない。だがそれでも森の資源を安心して獲得するためにはその危険を排除したいのだ。

大きな声で言えることでは無いのだが

すでに悪魔の犠牲者も何件か報告が上がっている。

この街のさらなる発展の為にも出来る事なら我々に力を貸してほしい。」


俺はここで家を出ることにした。

入り口近くに別で人が立っていた。

「くれぐれも他言無用でお願いしますね。

街の治安にかかわる事です。言わずともご理解いただけますね?」

「もちろん。神経質な問題ってことですよね?

街の古株らには聞かれない方がよさそうですもんね。

森の悪魔には興味がありますが

僕は命が欲しいのでこの話は降ろさせてもらいますよ。

安心できる森になるまで静かに待たせてもらいますね。」


見えないところにも人が数人潜んでいるな。

かつ遮音の結界まで引いてある。

それ相応の財力、権力が有るだろうセットだ。

あの仮面男は相当の地位、恐らく領主か近しい役職あたりだろう。


俺は家を後にした。

もちろん目と耳は残して・・・。








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適当に買い食いしてから宿の借りてる部屋に戻った。

・・・の、だが

部屋が荒らされていた。

備え付けられたタンスが全部開け放たれ

ベットの布団もはがされ散らかっている。

まあ、なーんにも荷物を置いてないから意味ないんだけどね。

憲兵とか呼ばれたら面倒なので宿の人には何も言わずに奇麗に片づけて終いにした。

状況的に、だけでもなく目を走らせたままだったので

犯人グループも目星がついていたりはする。

そいつらは今はギルドの記録をあさっているようだ。

どうも俺が何者なのか確認したかったらしい。

また来るそぶりも無いので別に放置でいいだろう。










でもって夜。

幸いにもSランクの二人には出くわさずに済んだので

一人ゆっくりと夕食を終える事が出来た。

またはち会ったら何かしら聞かれかねん。

面倒だからね。とっとと風呂も済ませておく。


俺はまたお宿の屋根の上に出て夜空を楽しんだ。

シーが戻ってこないならこっちから向かうかなぁ。

「・・・邪剣、よr」

「やめなさい。ジェネレーションギャップすら起きるわよ。」

フードちゃん登場である。




「・・・とりあえず、領主は黒寄りの白。

彼は森の存在を悪魔だと本当に思っているし

それが危険だと思っていたわ。

ただし、何者かに悪魔の存在を信じ込まされているようね。」

「洗脳。」

「無し、よ。話術だけね。部下に曲者、繋がりは領外。

何かしらの目的をもって悪魔にけしかけているようね。

恐らくそれ繋がりで森の方にも人を雇って向かわせてたみたい。」

「こっちで調べた感じでもそれに近いかな。

森にけしかけて失敗した内容に脚色を加えて

数人のスピーカーに噂を広めさせていたようだったな。」

これは俺の魔法で覗き見したものだ。

仮面男とその周りを監視した結論である。


「彼女が消えたら何が起きると思う?」

「さあ? そこらへんは俺にはさっぱりよ。」

うーんまあ、とは言ってもおそらく・・・。

シナリオとしてどこまで(先を)読むべきか?

「鬼姫伝説と呼ばれているのがあったわ。どうもこの街の成り立ちの話だそうよ。先々代の領主が今の領主の祖父に当たるらしいんだけど、その人がここを開拓したそうなのよ。簡単に言えば元々魔族領との均衡を保つ砦があったこの地の開拓者としてやってきたのだけど

魔物の強さでものすごく苦労したそうなの。

開拓にやってきた当時で拠点を放棄してからかなりの年数がたってて魔物の強さもかなりのもの。

とてもじゃないけど街を作れる状態ではなかったらしいわ。

それを助けたのがおそらく彼女、鬼灯琴音よ。」

「なるほどなあ。手に入る素材的にも拠点を作って

定期的に仕入れたくもなるだろうからなあ。

でもその当時の冒険者では手が出せなかったってとこか。」

「中堅クラスだと捌ききれなかったんでしょうね。

一体一体は何とかなっても数、それも拠点の確保を考えるならかなりの実力者の団体が必要ですもの。

面する魔族領の領主も今の代ではなかったから

人が居なくても進行してくることは無い。

だから無理してまで人員を配置することも無かったでしょうからね。ちなみに今の代はかなり好戦的なようだわ。強者こそすべてって感じね。」

「そこまでわかればある程度は読めるな。」

「ただ、こっちに間者は送っては無いようね。それは別口。アレはむしろ能無しが領主を追い落として乗っ取るためにやってるみたい。魔族側との戦力差を理解できてないようね。」

「だいたいオーケーだな。漁夫の利狙いで大失敗コースか。あとはどうするか、・・・だな。」


「・・・彼女のことが気になるの?」

「・・・まあ、それも無いことは無い。」

「・・・あえて言わないわ。それは、()()()()()()()()()。」

「・・・、意思が無いのなら俺はルール通りに動くだけだ。」

「それでも一つだけ言わせてもらうわ。

貴方は貴方よ。やりすぎはダメでしょうけど

()()()なら掬いとれば良いと思うわ。・・・いつも通りでいいのよ、貴方は。」

「悪戯に事を成すわけにはいかないさ。」

「私は見守らせてもらうわ。そして必要なら()()()。例えどんな選択でも私はあなたに最後まで寄り添うわ。」




・・・俺はな、どうなろうとも一人でいいんだ。




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