嫌な連中の話
その後のパンツ制作だが、問題はクリアしているのにも関わらず、そのデザインが上手く進まずに頓挫していた。何せエロいけどそんなにエロくないパンツである。なんと言う矛と盾、究極のジレンマじゃないか...。
そう言う訳でアレから色々考えてはいる。まぁとにかく淑女達が恥ずかしがらないパンツ、それでいて自分を楽しませてくれるパンツを。いや、これはもうパンティーと言うべきか...
めっちゃ妥協したくねぇぇぇ!!!
そんなモヤモヤした気持ちのせいか、シャビーテさんには試作品と同じ究極のエロパンティーとタンクトップを10セット程渡した。
「え、こんなにいいの?」
もちろん、てか是非今後も着て頂きたいのです!
「私もホントはその無難な方が欲しかったのだけど、まぁいいよね、人に見せるものでも無いし...」
シャビーテさん、アンタはいけねぇ。
アンタだけは、アンタの体がエロいうちは妥協パンツなんか履かせたくねぇんだそれが自分の気持ちってやつなんですよぅ!分かってごぜぇやすか?でも人に見せるもんじゃないと解釈されちゃったから、きっとガードも固くなっちゃうんだろうなぁ...。まぁ常にあのエロパンツを履いてくれてる事を想像すれば第三の目が開眼していつか見える時がくるかもしれない。
とにかくこの問題は良いデザインが閃くまでお預けにした。
と、なると仕事の方は相変わらずのルーティンで書くことがないので、ちょっと嫌だけど嫌な奴らの話をする。前にもチラっと言ったが、この嫌なやつと言うか胸糞悪い連中。そう、カーストの上位に君臨する強者共である。バリバリの選民主義で、常に自分たちは選ばれた者だと言う自覚を持ち、下から吸い上げた富で得た財と権威振り翳し、それでいて下民達をゴミ同然に吐き捨てる事だけは得意な連中である。
そしてけして捕まる事のない、殺人性犯罪のグループもその中に混ざっていると言えば自分が彼らをよく思わない理由も分かるだろう。
こんな事があった。
今日も必死に物乞達が声をあげてその日の食い扶持を乞う。それが彼らの生きる術であり、仕事でもあるからだ。今ではこの光景も日常としてすっかり慣れてきた。そんな彼らに施しを行うのが上位カースト群の妻や姑、娘などの女達である。施しを行う事は彼女らの習慣であり、使命でもあるとの事なので毎日一日一回、物乞いの周りを周回して施しを与えている。それだけなら良い話だし、不快な事もない。自分だって最初のうちはそういう習慣に関心したものである。
だがある日事件が起こった。
物乞いの一人が、兵に連れられその日のうちに斬首されてしまったのである。施しにあやかれている彼らが何か犯罪でもしたのかと思ったが、真相は「施しの際に汚い目で見られたから」と言う理由であった。
現代で例えるならキモいおっさんがやらしい目つきで見ていたから通報したという所か、当然おっさんがそれだけで捕まる事も、ましてや首を刎ねられる事もない。ただこの国ではそんな理由でいとも簡単に人の命を奪っていく。そして、慈悲深く施しを行う彼女らの本質が見えてくる。それは気まぐれでわがままの、人を人とも思わない残忍な魔女の姿である。施しなんてものはある種のパフォーマンスに過ぎず、その本音は神が見ているから仕方なく施すだけ、絶対強者である自分が直々に施すのだから、その身辺には細心の注意を払え。少しでも気に触るような真似をすれば....大方そんな所だろう。
その証拠に施しを受ける時の彼らの目はけして顔を上げず、受け皿を持つ手はガタガタと震えていた。
彼女達が施すその時、けしてその目を見てはならないのだ。
さらに面倒な連中もいる。
カースト上位に君臨する者のバカ息子共である。
カースト上位だろうが王以外は、町中で犯罪を起こせば誰しも処罰される事になっている。そんなのは当たり前だと思うかもしれないが、これは下位の人間達が多くの血と悲しみで勝ち取った唯一の権利である事をまず理解して欲しい。そしてそんな権利を常にお構いなしに横暴し尽くすのがこのバカ息子達である。商品を平気で盗み、好みの女がいれば近づいて胸や尻を触るなどのセクハラなんかはもう毎度の事である。自分より下の者には何をしても良いと本気で思っている救えない連中なのだ。
前に汚物を顔に塗りたくった少女のことを話したと思う。それはこんな馬鹿な連中から身を守る為の自衛行為でもあるのだが、悲しい事に生まれながらにして可愛い子と言うのは顔にうんこを塗っていてもその可愛さは消せないのである。性に旺盛な若者がそれに気づかない訳が無く、ある時、例によってバカ息子の誰かが少女を連れ去ろうとしている現場に遭遇した事があった。おそらく川で少女を洗った後、その純血を契る気でいるのだろう。
さすがにこれは見過ごせないと思った。
手が無意識のうちに腰に刺さった剣の束を握りしめていた。ここで抜かないで、一体この剣は何の為にあるんだと勇気を振り絞った。勿論相手を葬るつもりはない。男が無防備になる時、つまりズボンを下ろす瞬間を狙って剣を突きつけ、白昼堂々その暴虐振りを大声で非難するつもりだった。そうすればこのバカ息子はきっと怯えて逃げ去るだろう。それで少女を助けるつもりだった。
勿論そんな真似をしてタダで済むとは思っていない。きっとあのバカ息子は親に言いつけるだろう。事実を歪曲し、言われのない罪を着せるに違いない。最悪...首が飛ぶのも覚悟しないとだろう。腹を括るのはまずあの少女を助けた後だと思ったその時だった。
嫌がる少女を無理矢理連れて行こうとするバカ息子の前に、14、15歳ほどの長身の女の子が駆け寄ってきた。その子は息子に急接近し、上目遣いで無い胸を押し当てながら話しかけているようだった。そして次の瞬間、女の子は少女の肩を強引に手で押し倒したのだ。
少女は盛大に尻餅をつき、その場で大泣きし始めた。その様子を聞いて何人かが何事かと集まってくる。女の子は少女を見下すようにしきりに手で少女に向こうに行けと手を振っている。
そして、息子の腰に手を回しそのまま二人で森の茂みに消えていく。女の子は最後に少女の方に振り向き、ほっとしたような顔を浮かべていた。
その子が何をしたのか、それは一目瞭然だった。
そして安易に武器に頼ろうとした自分の愚かさを盛大に恥じた。女の子は咄嗟に少女を庇ったのだ。自分だってどうなるか分からない、でも少女が犠牲になるならばと、咄嗟にそして瞬時に判断してみせた。なんと逞しいのだろう、その子は見事に無手で少女を救ったのだ。その愛のある行為に思わず涙ぐみそうになったが、すぐに冷静さを取り戻す、今度はあの子が危険だからだ。だがおかげで頭は回った、息子が行為に及ぼうとしたら後ろから目隠しして、その後両手両足を拘束してしまえばいい。うまくいけばこちらの顔を見られる事なく、あの子を連れて逃げ........
んな事を考えているうちにその子と息子が帰ってきた。時間にして5分も経ってない。息子は何かスッキリしたような、それでいて全く納得してないような、そんな顔をしていた。
回れ右をさせて息子に背中を見送った後、女の子は口に含んでいたアレをぺっと吐き出した。そして持っていた水筒何度か口を濯いだ後、まるで何事もなかったようにその場から立ち去って行ったのである。
自分はその一部始終を呆気に取られて見ているだけだった。女の子は最低限の行為で息子の性欲を吸い取り、その貞操の危機を回避してみせたのだ。その鮮やかなお手なみに思わず拍手しそうになる。おそらくだけど、こう言うことは慣れっ子なのだろう。それであればあの咄嗟の判断にも納得がいく。男の性欲はある意味で男の最大の暴力でもあり、そして弱点でもある。
それさえ沈めてしまえば、いとも簡単に無力化できてしまうのだ。改めてあの子の逞しさと、その冷静な判断力に脱帽してしまった。そして、同時に腹が捩れるぐらい笑いが込み上げてくる。あのバカ息子の早漏ぶりである。おそらく開始1分も待たずして果てたのだろう。それが顔にも現れていたのは傑作だった。早漏は女の子にとっては楽に終わって助かったのだろうが、息子の方は見事に男の自信を失ったに違いない。
願わくば、その自信を消沈させたまま、今後は大人しくしてろと思う。
結局またしても自分は何も出来なかったが、安心してその場を後にしたのだ。
うむ、女は強し!




