「作家は経験したことしか書けない」って本当?
こんにちはこんばんは。
タンスの角には小指より薬指をよくぶつける海月野ななりです。
ここでは、以前ツイッター上で話題になっていたとあるハッシュタグについて論じていきたいと思います。
以前、ツイッターでトレンド入りしていたハッシュタグ、「#作家は経験したことしか書けない」。
僕が見た限りだと、絵師さんが現実では起こり得ないようなシチュエーションの絵とともに使っていて半分ネタのように扱われていたような印象でした。
その一方で、小説家や漫画家の間では色々な議論を巻き起こしているわけなんですが、これがまた興味深い。これは考察してみる価値ありというわけで、この記事を書くに至ったわけです。
なので、ここで論じていくことはあくまでも私個人の見解として受け取っていただけたら幸いです。
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まず先に言っておくと、私はこのテーマに対しては否定派です。
そもそも、これが正しいか正しくないか述べるのもおかしな話ではありますが、ともかく私は「作家は経験したこと以外も書ける」と思います。
というかこのタグが本当なら、大体の作家さんは人生経験が豊富すぎます。宇宙を舞台にしたSFならその作家さんは宇宙に行ったことがあるということになるし、探偵ものなら実際にそういう事件を目の当たりにしたことがあるということになる。普段異世界ものを書く私なら、異世界に行ったことがあるなんてことになるんです。もちろんそんなわけないですよね。
そんなわけがないからこそ、普通の人間が創るフィクションは面白いんです。
フィクションを描く作家・クリエイターたちにおいて、「経験したこと“しか”書けない」というのはまったくの見当違いじゃないでしょうか。
ですが、ネット上には「経験と体験は違う」という意見も見受けられました。実際に「体験」していなくても、漫画や映画など自分を主体として「経験」を積むことはできる、というものです。
体験と経験の意味的な違いについてはここでは述べませんが、この意見なら確かに作家たちは上述のようなとんでもない体験をしなくても、何らかの経験をもとに作品を創作できるようにはなります。実際私も、ラノベ界の先人たちの作品から「経験」を積んで、自分の作品を書いているわけですから。
となると、「体験したことしか書けない」という意見は間違っていても「経験したことしか書けない」という意見自体は、あながち間違いではないのかもしれません。
間違いではない…と言いたいところですが、経験したこと“しか”書けないというのは些か言い過ぎのように思います。(ちょっと過激すぎるほうが世間では話題になりやすいものですが…)
見聞きした経験が少なくても、だいたいの作家さんは自分のイメージで作品を書けるんじゃないでしょうか。もし何らかの経験からインスピレーションを受けていても、その経験はあくまで作品の『土台』であり、作家はその土台の上に自分の作品を創作することがほとんどですから。
だからといって、作家になるための経験は積まなくてもいい、というわけではありません。
例えばの話です。オーロラを見たことがない小説家と、見たことがある小説家に同じようにオーロラの情景描写を書かせたとします。この場合、余程前者の文章力と想像力が高くないと、後者の書く表現には勝てないでしょう。実際にオーロラを見たときの感動なんてものは、画面越しで見ても味わえないものですから。
作家にとって『経験』は、大きなアドバンテージになるわけです。
作家は色んな経験を積んだほうがいい、といわれるのはこういう理由があってこそですね。
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長くなってしまいましたが、私の出した結論としては
「作家は経験したこと以外も書けるが、経験は作品を書く上で大きな武器になる」
と、この辺りになるでしょうか。まああくまで個人の見解ですが…
これを書いている私自身、自分の経験不足に気付かされました。人生経験って色んな所で役立つもんなんですね。これから私も作家の端くれとして、色んな経験を積めたらと思います。
では、今回はここまで。さらだばー