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【書籍化、コミカライズ】転生難民少女は市民権を0から目指して働きます!  作者: 鳥助
第四章 冒険者ランクD

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138.コーバスを探索

 宿屋を出たところで立ちながら案内の男の子が来るまで待つ。通りが賑やかになってきた時、男の子の姿が見えた。


「あ、昨日の人! 待っていてくれてたんだ、ありがとう!」


 元気な声が聞こえた。私の姿を見るとこちらに駆け出して近づいてくれる。すぐ傍まで寄ると、質問をしてきた。


「まずどこか行きたいところある?」

「冒険者ギルドまでお願いできますか?」

「任せて! そうだ、先にお金貰ってもいい? 今日はどれくらいまで案内を希望するの?」

「午前中お願いしたいんですが、大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫だよ。だったら3000ルタ、頂戴!」


 3000ルタか、結構高いな。やっぱり都会ってお金がかかるところなのかな、貯金があるから今は大丈夫だけど、考えて使わないとあっという間になくなってしまう。


 袋から銀貨を取り出して手渡すと男の子はニカッと笑って受け取った。


「ありがとう。じゃあ、行こうか! こっちだよ!」


 男の子の先導で通りを進み始めた。辺りの建物を見ながら進んでいると、どのお店も開店準備を始めているようだ。ホルトに比べると都会のコーバスは動き出すのが遅いらしい、これを基準にしたら私もいつもよりも遅めに活動しないといけなくなるのかな。


「冒険者ギルドはこの通りを左に曲がってしばらく歩いたところにあるから覚えやすいよ。ほら、曲がる通りが見えてきた」


 男の子が指を差した先には今通っている通りよりも大きな通りが見えてきた。道幅が倍以上もある通りだ、ホルトの通りとは比べ物にならないくらいに広い。その通りを眺めていると、道の脇に細長い何かが立っていた。


 どこかで見たことがあるような、どこだったっけ?


「あの、通りの端に立っている背の高い細長い物ってなんですか?」

「あー、あれ? 街灯って言って、暗くなると先端についているガラスが光って照らしてくれるんだ」

「街灯!?」


 うそ、この世界にも街灯があるの!? 電気もないのに、一体どんな原理で灯りがつくんだろう。流石都会だ、こういう設備にお金をかけられるんだね。でも、街灯は大きな通りにしかないみたいだし、結構な貴重品なのでは?


「あの街灯はあそこにしかないんですか?」

「うん、そうだよ。大通りにしかなくて、夜になるとすっごく明るくて歩きやすいんだ。多分、人が多くいるところじゃないと街灯はないんだと思う」

「それじゃ、暗い時間帯に移動する人はどうするんですか?」

「手持ちのランタンを持ってみんな暗い夜道を歩いているよ。ここじゃ、常識さ!」


 ということは、コーバスでは日が落ちた夜まで行動できるってことだよね。これは働く前に良い情報が手に入ったんじゃない? 今までは日が落ちる前にクエストも討伐も終わらせていたけど、これからは働く時間が増えるってこと。


 でも、待てよ。他の冒険者の行動を見ると、朝の行動は遅かったはず。遅くまで働けるようになったけど、その分朝も遅くなるってことなのかな。そうすると、働く時間は変わらない、のかな。


 これからは働く時間がずれるんじゃないかな。朝日と共に起きていた生活を変えていかないといけないのかな、都会では生活様式は違うみたいだし順応できるようにならないとね。


 大きな通りに出ると明らかに建物も変わった、まるで大きな通りに合わせて建物も同じく大きくしましたっていう感じだった。ホルトでは三階建てが一番高い建物だったが、コーバスではそれ以上の建物が目立っている。


「こっちだよ」


 大通りの凄さに圧倒されていると、男の子に手を引かれてしまう。周りを見渡しながら男の子に手を引かれて大通りを歩いていく。そこには人が通る歩道と馬車が通る車道に分けられていた。近代的だ!


 まだ朝早い時間だからか、人通りはそんなには多くない。それでも、ホルトと比べると人は多く感じる。この人たちは何を基準にして行動をしているんだろう。


 あ、あの人ポケットから何か出している。あれって、もしかして時計?


「すいません、あの人が手に持っている物って時計ですか?」

「ん、んー……そうだね、時計だね」

「コーバスの人ってみんな時計持っているんですか?」

「みんな持っているかは分からないけど、俺がいる孤児院には掛け時計はあるよ」


 この男の子って孤児院の子だったんだ。孤児院の子がこんなに活発に働いているなんて、私も負けてはいられないな。っと、今はその話じゃないよね、時計だ。


「ここでは時計を見て行動するのが一般的なんですか?」

「一般的とかは分からないけど、少なくとも俺は時計を見て行動をしているよ。あとは朝から夕方までの時間で一時間ごとに鐘の音が聞こえるはずだよ。その音を頼って行動している人もいると思う」


 鐘の音、そういえば遠くで聞こえていたような。そうか、コーバスでは時計の時間と鐘の音に頼って行動しているんだね。これからの行動の基準になりそうだ。


 ホルトでは時計がなくても行動できたけど、コーバスでは時計を持っていた方が良さそうだ。手持ちのお金で足りるかな……とりあえず手頃な時計屋にも連れて行ってもらおう。


「お待たせ、冒険者ギルドだよ」


 手を引いてくれた男の子が手を離してくれた。指を差された方向を見ると、そこには見上げるほどの大きな建物がある。高さはホルトの倍はありそうで、横に至っては倍以上ありそうなほどに大きい。


「これがコーバスの冒険者ギルド……大きい」

「そりゃそうさ、この町にいる全部の冒険者が通う場所なんだからね。中を見たらもっと驚くんじゃないかな。どうする、中見ていく?」


 うっ、どうしよう。見ていきたいけど、この後色んな所にいかないといけないから。そうだ、今日のお昼にもう一度来たらいいんじゃないかな? そしたら案内は終わっているはずだし、自由に行動できるよね。


「冒険者ギルドには後で個人的にいきます。先に町の案内をお願いできますか?」

「分かったよ。次はどこを案内したほうがいい?」

「冒険者の装備品に関係のあるお店をお願いします」

「分かった、じゃあついてきて」


 男の子に次の案内先をお願いすると、迷うことなく大通りを歩いていく。つくづく案内をお願いできて良かったと思った、自分一人なら効率よく町を回れないから助かるよ。早くコーバスを把握しておきたいな。


 ◇


 男の子の案内でコーバスの中心街を歩いた。冒険者ギルドの近場には冒険者用のお店が立ち並んでいて、迷うことはなさそうだ。その中でもいくつかの武器屋や防具屋を見て回り、武器の調整や新しい防具購入の事前に見回ることができた。


 次に日用品を売っている場所へと案内して貰った。日用品を売っているお店はあちこちに点在していて、都合が良い場所をチェックしといて買いに行くのがいいと思った。


 昨日欲しかった石鹸は頭用と身体用に分けられて販売されていて、流石都会だなっと思った。もちろん両方買ったし、現代で言うリンスなるものも見つけたのでそちらも買っておいた。早く使ってみたいな。


 時計のお店にも寄ってみた。高い時計じゃなくて一般庶民が使うようなお店をお願いした所、丁度いいお店を紹介してもらった。それでも元々時計は高いものなのか、買うとそれなりの値段になる。手持ちのお金が心もとなくなってしまった。


 最後に飲食店を見て回った。飲食店もあちこちに点在していて、自分の都合がいい場所で食事をするのが良さそうだ。都会だからかしゃれたお店が多くて、ホルトとは大違い。食べるのが楽しみだけど、値段はきっとホルトよりも高そうだ。


 色んなところを見回ったけど、時間が少し余ってしまった。行きたいところはどこかないか、と聞かれて少し悩んだ。何か行きたいところは……そうだ、領主さまの家って見れるのかな?


「領主さまの家って見れますか?」

「家は見れないけど場所なら知っているよ。最後に行ってみる?」

「はい!」

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