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第二十二話「お見舞いは突然に」

幼稚園児と赤ん坊がモデルのコスプレ&スケッチ大会が無事終了?した後日。みんなが主人公の桃咲あひりの容体は未だ良くならず、連日学校を欠席することとなった。こまろさんの補習授業でよほど頭が高熱に晒されて賢くなりすぎたが故、天然おバカモードの脳にクールダウンするのに時間を要しているのだろうね。うんうん。

まあそれはさておき、本日は休日で学校がお休み。んで、ほまれさんがあひりさんをお見舞いするべく、桃咲家の玄関前に今ちょうど到着したところです。


「あらあら、ほまれさんもあひりのお見舞いですか?奇遇ですわね。」


「・・・何でアンタもここに来てるのよ。あからさまに偶然を装って日時まで合わせて来んなし。」


どうやらほまれさんより先にお客様が到着していたみたいですね。お互い玄関前で偶然出会うなんて、何だかラブストーリーが始まりそうw

折角来たのに引き返すのもダルいと思ったのか、柿の女の方は渋い顔をしながらも躊躇いなくインターホンを押した栗の女の方と共に扉の向こうの返事を待つ。

やがて、その扉は言の葉を発した。


「・・・あ、合言葉をどうぞ。」


「合言葉って…ほまれさんが赤ん坊の格好で幼稚園児と戯れている姿を生徒たちにスケッチされて、真っ赤になっていた。…ぐらいしか思いつきませんわね。ほまれさん、何か他にご存じないですか?」


「えっ!?ほまれちゃん、私がいない間にそんなことを…じゃなくて、合言葉違います!」


「こら〜!わざとらしく前の日の出来事を赤裸々に語るなや。ってかそれ、合言葉ですらないし。」


こまろお嬢のやたら長い合言葉は逆を言えば、こまろさんが幼稚園児の格好で赤ん坊と戯れている姿を生徒たちにスケッチされて、真っ赤になっていた。…にもなりますよね。危ない橋を渡りおるわいw

ってか、どう考えてもインターホン口で答えている人物、あひりさんですよね。…何やってんだ、全く。


「はあ、仕方ないな。”挑咲おひり”さ〜ん、風邪引いて熱出して汗ダックダック♪…でどうですか?」


「ウフフ。ほまれさん、相変わらず赤ん坊要素が抜け切れてませんわね。それのどこが合言葉なんd・・・」


「(バン!!)もう!私、おひりじゃないし。ダックダックって…アヒルでもないって何度言えば分かるのおおお〜!!(プンスカプンスカ)」


「よし、合言葉ビンゴね!ささ、あひちゃん。そんなにプンスカしてたらまた熱上がっちゃうよ。お見舞いに来たから部屋に上がろうぜ。」


「えっ?な、何ですの。これは・・・(ああ、またいつものしてやられたパターンですのね。あのしもべ、毎回あひりさんをあんなに簡単にお手玉にできるなんて…今考えるとあの僕がいなかったら、ワタクシはこの扉を開くことができなかったのでは?・・・って、いけませんわ、こまろ。また考えすぎて自身を見失っては!!)」


ほまれの合言葉?で勢いよく扉を開けて登場した桃咲家の一人娘。まあ何はともあれ、無事に桃咲家の関門をクリアしたご一行。栗宮さんはしばらく呆然と立ち尽くした後にあひりさんの呼び声で我に返り、宿敵のお城へとお邪魔しましたとさ。





「ってか、あひちゃん病気じゃなかったの?見た感じ、元気そうに見えるけど・・・ああ、ズル休みか。なるほど、そうかそうか。」


「違うよ!体調は大分良くはなったけど、お母さんが一応様子見で今週まではお休みにしなさいってことで、ずっと家にいるだけ。そのお母さんは急用が出来たってことで、今お出かけ中なの。全くもう、ほまれちゃんったら…普段何でストレスを溜めてるかは分からないけれど、それを私に意地悪して発散しようとしてるんでしょ。”おむつ”の弱い人って言うんだよね、たしか。この前テレビでそういうのやってたし。」


あひりさん、もしかして:”おつむ”の弱い人。のことですか?

おむつが弱いほまれさんじゃ、お漏らしばっかしてそうじゃんw

いやでも、そういうキャラもありなのかも・・・って女の子のデリケートな部分に触れすぎると攻撃照準がこちらに向きそうなので、この辺で。


「ほまれさんは本当にデリカシーが皆無ですわよね。自身の欲求不満を他人に意地悪することで満たそうとするなんて、実に低俗。」


「もう分かってますから、いちいち自己紹介しなくていいですよ。栗宮・モンブラン・こまろさん。病気なのはあひちゃんじゃなくて、アンタの方らしいね。もうお家に帰っておねんねしなさいよ。その可哀想な頭の病気のお見舞いにこの前のイミフな胸像を着払いで送りつけてあげるからさ。」



「えっ?こまろちゃん頭の病気なの?大丈夫?私の頭の半分パカッ!って分けられたらいいんだけどね・・・って言うのは冗談冗談。あっ!そういえば、こまろちゃんがここに初めて来た時、なんかプレゼントもらったよね。あれ結局は返すことになったけどさ、中身食べ物か何かだったんじゃない?どう美味しかった?ふふ、感想欲しいなあ。」


「・・・あ、あひりさん。その〜、快気されて何よりですわ…(あなたの頭なんて半分どころか1ミリたりとも必要ありませんわよ。加えて、ワタクシの策略が失敗に終わった挙句、顔面がパイだらけになったあの時の感想が聞きたいですって?どこまでこのワタクシを貶めるつもり何ですか、彼女は。)」


「ああ、あのプレゼントの中身はパイだったよ。私もこまろちゃんと一緒に食したからさ。…顔面いっぱいが真っ白になるまでね。」


「そ、そうなんだ。・・・な、なんか大変だったね。(あれ?なんか二人とも具合悪そうに見えるけど、病気かな?)」


こいつらは全く…





玄関扉入ってすぐの場所で互いを潰し合う会話をした後、あひりの部屋へと案内されて続々と入室していく桃咲トリオ。栗宮さんは卓上テーブルの置かれた場所で読書、柿木さんは部屋の中をフラフラとしながらいろいろ物色中、桃咲さんはお菓子とドリンクを準備しにキッチンへ出張です。


「お待たせ。お菓子いろいろと持ってきたから好きなの食べて。飲み物は麦茶でよかったかな?良ければ、桃咲あひり特製スイートジュースもあるけど?」


「ああ〜、私は遠慮しておくわ…こまろちゃんが飲みたそうにしてるからいいんじゃないかな?」


「何でこのワタクシがそんな毒物を…」


「ど、どくぶつ?」


「ど…ドクドクと心臓が鳴るくらい美味しそうな物体という例えですの。ふ、深い意味はありませんのよ。ホントに。」


こまろお嬢のその例えたやつもヤバい代物だと思われるのですが…

まあ、あひりさんのそのジュースを口にしたが最後、お花畑が広がる夢の世界にワープできることは間違いないですね。


「そっか。ほまれちゃんもこまろちゃんも喜ぶと思って、この特製ジュースも一応準備して持ってきたんだけどなあ。このまま捨てちゃうのも勿体無いしなあ・・・そうだ!今からみんなでゲームしようよ!それで勝った人が優勝賞品としてこの特製ジュースをもらえるってことにすればいいよね。うんうん!」


「お、おいアヒル!それはちょっt・・・」


「あら、ウフフ!それは面白そうですわね。ワタクシは大賛成ですわ。」


「よ〜し、そうと決まれば早速準備だね。また、ちょっと部屋抜けてゲームになるもの探して持ってくるから待ってて!」


あっ、なんかまずそうなデスゲームみたいなのが始まりそうですね。病気を心配してきた人が病気になって帰ることになるっぽいw

おそらく、あひりさんはお二人が自宅に訪ねてきてくれたことが嬉しく、過剰に舞いあがっちゃてる部分があるんでしょうね。インターホンの謎の合言葉の件もお菓子やジュースの異常なまでのサービス精神も。まあお気持ちは分かりますよ、うんうん。


「はあ…ムカつく胸像運んだり、赤ん坊のコスプレしてスケッチされたりしたと思ったら、今度は命懸けの罰ゲームですか。この世界疲れるわ〜。」


「あら、それならいっそほまれさんが飲んではいかがですか?新世界へ飛び立てますわよ。」


「いや、分かったわ・・・何よりも一番疲れる理由はアンタだわ…」


ほまれさん、今更になってその真理に辿り着いたらしいですw

あとがき


・どっかのタイミングで書きたかったお宅訪問回です。個人的に二人だけのやり取りよりも三人揃ったやり取りの方が書きやすくて、書き甲斐もある気も。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

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