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第二十一話「馬子にも衣装、年齢は詐称」

「ささ、早く幼女こまろ様のお姿を見せていただけませんか?美術の時間も限られてるし、モデルがいなきゃ、スケッチができませんからねぇ。ああ〜ワクワクするダーw」


「(チッ、いつの間にこんな悪知恵が働くようになったのかしら。その愚行、覚えてなさい。後で綺麗にお返しして差し上げますから)・・・わ、分かりましたわ。ここじゃ恥ずかしいんで、トイレで着替えてきますの。」


ほまれに追いやられていたこまろは結局、お着替えをするハメになってしまったようです。まあ、私も普段とは違う栗宮様を拝見したいと思っておりましたから、お調子者度を取り戻した今のほまれさんのテンションに賛同致します。できれば、スク水・ブルマ・メイド姿も今後検討していただければと・・・ってイカン!妄想が過ぎたわ。


「ねぇ、みんな〜!栗宮さんが幼稚園児のコスチュームでモデルになってくれるらしいよ〜。デッサンとかスケッチに興味ある人はいい機会じゃないかな〜?」


「ちょっ!ほまれさん、何言って・・・」


「えっ、マジ!?あの気品溢れるお嬢様のロリ姿とか。限定イベントだろ!」


「何それ〜面白そう。こまろさんのコスプレ、チョー気になる〜//」


「おお〜!ちょうど今、心の進化と体の退化を一人の女性で表現するべく、幼女のモデルが欲しかったところなんだよ。助かるぜ!」


「ほれほれ、下々の者たちがこんなに期待を寄せておりますぞい。釘を刺す言い方で失礼ですが、まさかトイレに行くふりして逃亡したりとかしませんよね。あなた様は下々を導いてくれる女神さまのような存在なのですからねぇw」


「も、もう分かりましたから、すぐに着替えてきますわよ!できるだけ手短にお願い致しますわ。」


ウキウキと調子づいてるほまれさんは、さらにこまろさんを追い込んでいくべく、周りの生徒たちにも招集をかけて包囲網を作り上げていっておるな。敵対相手がクラスのマドンナであることを逆手に上手いこと利用するとは恐れ入りました。当然の如く、ほまれさんの提案に乗ってくる生徒がわらわらと現れ、大絶賛のご様子。

なんか一部の生徒でほまれさんが言ってた『幼少期と学生期のハイブリッド』的なものをガチで求めているのがいたようね。いや、ほまれさんの場合はヤツ(こまろ)を貶めるための口実なんだけどさ・・・そんな珍しい需給の一致があるんかいw





「お、お待たせ致しましたわ。さ、さあこのワタクシをそのキャンバスに収めなさい。」


「おっ!ちゃんと戻ってきたようだね。ではでは・・・」


そんなこんなしているうちに着替え終わった栗宮様が帰ってきたみたいね。ほまれがスケッチの準備を完全に終えて椅子に腰掛けるちょうどのタイミングでの帰還。待ちに待った期待のモデルに一瞥をくれる皆の衆。

どれどれ、この私も幼女こまろの姿をこの目に焼き付けようではないか。・・・むむっ。こ、これは!!


「う、嘘だ。大人の女性の容姿で幼稚園児のコスを違和なく着こなしている!?し、しかも表情も純真無垢な子供を的確に捉えているサービスっぷり。やっぱり栗宮さんはクラスのスターだ。」


「めっちゃ可愛い!!けど、何だろう。可愛いだけじゃない。気品の高さ、そして美しさも兼ね備えている魅力がある。こまろちゃんはやっぱり私たちの憧れの存在だ。」


「なんてことだ。心の進化と体の退化をもう絵で表現する必要がなくなった。なぜなら、もうすでにその天衣無縫な素体が目の前にいるのだから!」


「・・・え?な、何これ。思っていた展開とちょっと違うんだけど…だってほら、もっとペットを見るような目で『きゃわいいでちゅね。こまろちゃあ〜ん//』的な雰囲気になるもんじゃないの普通。どうして?」


「ウフフ。お楽しみ頂けたかしら皆さん。さ〜てここで、もう一人モデルになってくださる方がいらっしゃいます。(ガサゴソ)・・・はい、ほまれさん。あなたの出番ですわよ。」


「えっ?ナニソレ、聞いてないんだけど・・・いやだし、そんなの着るなんて。」


「あらあら。あなたは先ほどこのワタクシを『下々を導いてくれる女神様のような存在』とおっしゃっておりましたよね?今その『女神』があなたを導こうとしているのですよ。当然、断る理由など無いはずですが?」


「・・・く、クソがよおおおお!(どう考えても今回は勝ち確だっただろ。なんでこうなるんだよ!導くってアンタと一緒の地獄に導かれてもどうしようもねえだろうがよ。ああ?それとも何だ。柿木ほまれはクソミヤこばかの奴隷として一生辱めを受けながら、ヤツの天狗鼻をへし折ることもできずにボロ雑巾として使命を終えなきゃいけねえとでもいうのか?ああ、そうなのか?天から観察してるだけのたわけがよ!)」


・・・あ、あの…私のことですか、柿木さん?

テレパシーで呼ばれた気がしたんで。その…何かごめん。私にもそれは分からないんだ。

創作行為をする環境で破壊行為をして地団駄踏んでいるほまれさんの様子から察するに、心の中で今まで以上に暴言吐きまくっているんだろうね。相当悔しかったらしいです。





完全勝利を確信していたはずのお調子者だが、謎の天変地異が起こったのか逆に栗宮お嬢様の品格の高さを周囲に再確認させるだけになってしまった今現在。ほまれは幼女こまろから受け取ったコスプレ衣装をトイレにてお着替え中。そろそろ戻ってくるのではないかと思うが・・・


「お、お待たせ。…ったく、なんで私までこんなマネしないといけないんだか(ぶつくさぶつくさ)」


「か、柿木。それは、ちょっと…ま、まあ人の趣味はそれぞれだし、いいと思う…ように努めるよ。」


「ほまれちゃん、きゃわわ〜//!!おいくちゅでちゅか〜?」


「これはいくら何でも…いいかい?芸術とは若さ幼さに自惚れるものじゃないの。もっとグローバルに要素を取り入れ・・・(以下云々)」


どうやらほまれさんのコスプレ姿は低評価の嵐をいただいているご様子。

今の彼女の外観をご説明しますと・・・

頭にはフリフリ付きのカチューシャ、服装はサイズ小さめのメイド服、首から胸にかけては涎掛け、口におしゃぶりを加え、手にはガラガラを持っております。


「ああ、静まれ〜コンチクショー!!なんでさっきの幼稚園児の時にこういう雰囲気にならないんだよ!私とあの人ではなにが違うんですか〜?」


「ウフフ。如何ですか?ほまれさんの為にこのワタクシが手間暇かけて調達した赤ん坊とメイドを融合した作品ですの。ワタクシは非常にお似合いだと思いますわよ。幼い言動をする忠実なしもべという点が。」


「ホントに世界一皮肉るのがお上手ですね〜お嬢さま。・・・ってか、なんで幼稚園児姿のままやねんアンタ。その姿で言われるのは同族嫌悪感あって、何か癪だわ。」


「ほまれさんがご用意していただいたこの衣装、思いの外生徒たちからの評価が高かったので、正直気に入りましたわ。今後もワタクシのドレスアップに尽力して下さいね。」


「そりゃどうも。・・・二度とその分野では戦いませんけど。」


幼稚園児と赤ん坊、そしてそれをスケッチしようとしているモブ生徒の一部たち。・・・何ですか、この絵面はw

この学校では美術室はコスプレ会場ってことでOK?

おいおい、こんなんでいいんですか。美術の先生よ。・・・って先生の顔を覗いたら、『生徒が積極的に美術・芸術に興味を持って取り組んでいる!素晴らしい、感動!!』みたいな表情しているし。・・・もうダメだ、この学校はw


「ちょっと二人とも動かないでもらえるかな?今結構いい感じで描いているんだからさ。あっ、栗宮さん。柿木ともうちょっと顔近づけてもらえる?あと、こういう感じのポーズでお願いしたいんだけど。」


「えっ?わ、ワタクシはそろそろお暇しようかと・・・」


「ちょっとそこの男子グループ!自分たちの要望ばっか押し付けないでよ。あっ、ほまれちゃんはそこにぺたんこ座りで幼稚園児のお姉ちゃんからおまんまをおねだりする感じで…//」


「いや、その…私も自分の課題まだ手つけてないからそろそろ・・・」


「なんだなんだ?素人集団が勝手にポーズ・構図を決めやがって。我々、美術部が手本を見せてやらなきゃならんようだな。栗宮、柿木。美術部コンテストまでの数ヶ月間、放課後の部活動付き合ってもらうからな!頼んだぞ。」


おやおや、スケッチ希望をしていたモブ生徒たちのやる気が一気に爆発したみたいだ。ほまれもこまろも想定外の展開だったのか、あたふたとしておられる。

結局、その後はお二人とも恥じらい顔をしながら、モブ生徒たちの言われるがままのポーズをやり通したとさ。・・・あっ、美術部のお誘いだけは丁重にお断りしたらしいですw

あとがき


・幼稚園児のこまろだけでなく、執筆の流れでなぜか赤ん坊のほまれまで登場してしまうことになりましたw

もうどうせなら、風邪で欠席中の桃咲さんにも何か着せたかった気も…


ここまで読んでいただきありがとうございます!

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