表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/23

第二十話「馬鹿と天才は紙一重」

「こまろちゃん。それ何?」


「ウフフ、今日はあひりさんのためにこまろ特製ランチを作ってきましたの。こちらを是非ともあひりさんにご賞味していただきたくてですね。」


挑咲おひりさんがお勉強を熱心に頑張った後日、こまろ大先生がわざわざ手作りランチを学校に持参してきたようです。ナントモ温情のあるお嬢様でありますなー(棒読み)

ご覧なさい、今のほまれさんの表情を。

(・・・あー、また碌でもないこと考えついたのね〜。はいはい。)と誰が見ても分かるテレパシーを発信しておられますから。


「誠に残念なお知らせだけど、今日あひちゃん風邪でお休みだってさ。」


「な、なんですってぇ〜!!食した相手をマインドコントロールすることができる可能性を秘めた成分をようやく作り出せたと言うのに。事あるごとにこのワタクシの心の内を読んでいるとは…流石はあひりさんです。こうでなくては張り合いがありませんわ。」


「それどんだけヤバイ代物なんだよ。(もういい加減逮捕されとけよこの女)・・・あ、先に言っとくけど、私はいらないからね。自分で食って自分自身に支配される訳のわからん状態になるのも面白いんじゃない。」


なんと、あの皆勤クソ真面目の桃咲あひりが病欠とは。バカは風邪を引かないはずだから、おそらく前日の勉強で彼女の脳がオーバーヒートを起こしたことが原因かと思われます。…ん?何気にひどいこと言ってるかも自分。よ、要は栗宮・モンブラン・こまろ先生が元凶なのよ。彼女の罪は重い!うんうん。それでいい・・・多分。


(にしても、あのあひちゃんが病気って…なんかちょっと心配。あとでこっそりお見舞いにでも行けたらなあ。・・・もちろん目の前のコイツ抜きでね。)


「それにしてもあひりさんの体調は大丈夫かしら。ほまれさん、あとであひりさんのお見舞いにでも行きましょうかね?」


「(コイツ一緒の事考えてんじゃねーよ!変なもん食わそうとしていたやつが人の体調の心配って嘘言うなし)・・・あ、ああ。でもさ、いきなり家に押しかけたら迷惑になりそうだからやめとこうよ。」


「まあ、そうですわね。うーん。全く張り合いはないですけれど、仕方なくしばらくはほまれさんで我慢しましょうかね。」


「あ、あはは。(ざっけんなー!この畜生がぁ〜!!やっぱ、一人でこそこそ隠れてあひちゃんのお見舞い行ってくるわ。)」


まるでブラック企業経営者と労働者のような心のやり取りがw

ももっ娘ワールドのメインヒロインが不在だと色々と面倒ごとが起こりそうね。今更になってあの天然っ娘の存在価値が分かってきた気もするw





移動教室で美術室へと向かうほま・こまペア。この物語の看板キャラクターが欠ける中でまたしょうもない騒動を起こさなければいいと思っ・・・ているけど無理ですね〜。

だってご覧なさい。ほまれさんが金ピカに輝く謎の胸像を美少女とはかけ離れた顔面をしながら必死に運んでいるんですから。


「落とさないよう丁重に運んでくださいね。オーダーメイドで製作していただいた世界に一つだけしかない、このワタクシの胸像ですの。ウン千億円はくだらないですから。」


「なんで私がこんなよく分からないクソ重い鉄屑を自分の手で運ばないといけないんだよ・・・

憎たらしい笑みを浮かべた悪役令嬢が目の前に二人いるみたいで余計腹立つな、これ。あ〜、この顔がプリントされたサンドバッグだったら殴りがいがあるのに。」


「言葉の節々に品性が滲み出ていますわよ。ほらほら、美術室まであともう少しですわよ。そもそもワタクシの美術教材を持っていくお願いを引き受けたのは、ほまれさんではありませんこと?」


「そりゃそうだけど。一生徒の美術教材を運ぶって聞いて、どこの誰が胸像を運ぶなんて思うかよ!普通、教科書とか絵の具セットとかだろ。…ったく、微塵の温情も与えるべきでは無かったわ。(ぶつくさぶつくさ)」


・・・もう隠す気もない、本音ダダ漏れのほまれさんね。もうそんなもの台車にでも乗っけて、坂道ジェットコースターで粉砕してやればいいんですよ。なんか追及されたら『事故です!』とでも言っとけば、丸くおさまるっしょwテキトー

ってか、まずその胸像はどこから何のために持ってきたんだよ。そしてそれをわざわざ美術室まで運ぶ意味もわからんし〜。

そんなこんな考えてたら、ほま・こまコンビと美術の先生が扉の入口出口でちょうどかち合ったよう。


「ん?栗宮さん、そちらは何ですか?」


「見ての通り、ワタクシの胸像ですわよ。」


「・・・あの、栗宮さん。そちらは今日の美術の授業では使わないものになるので、持ち込みはNGです。」


「あらあら、ワタクシ事で勝手な行動をしてしまい大変申し訳ございませんわ。・・・ほまれさん、お聞きになりました?お手数ですけれど、そちらの胸像はまた先ほどの元の場所に戻していただけませんこと。(ゲス顔ニヤニヤ)」


「お、お前なあああああああああ〜!!(プンスカ×10くらい?)」


あひりの何倍ものプンスカ蒸気を上げながら白目を剥いておられる、ほまれ殿。ほらほら、そんな白目を剥いていては前が見えなくなって、無駄な運搬作業の復路を安全に進めませんぞ。怒りによるパワー増強で胸像の重みもあまり感じなくなってる様子だから、さっさとやっちまった方が楽っすよ〜。・・・っていかん!天の保護者であろうこの私が悪役令嬢に汚染されかけているではないかw





「随分と遅かったではありませんこと?もう先生の課題説明も終わって、各々美術課題に取り組んでいる最中ですわよ。」


「いやまあ・・・色々あってさ。・・・ってか、冷静に考えてあんなもん何十分も抱えてたら両腕が悲鳴をあげるでしょうが。」


「あらら、ワタクシの不手際で申し訳ありませんわ。それはそれは大変ご苦労をおかけしましたわね。ほまれさんは発する言葉に力強さがあるので、てっきりお体の方も丈夫だと思っておりましたの。」


「…謝罪風煽りで火に油を注ぐお嬢様ね、ホント。」


「ウフフ、火に油を注ぐと液温が下がって逆に火を鎮火できるのですわよ。ほまれさんご存知ないんですか?」


「御託はいいんだよ、御託は!」


血の気の引いたような表情をしながら、今にも死にそうな様子で美術室へと戻ってきたほまれさん。体の体操をした後に今度は頭の体操をしなければならないのは色々大変そうですね。加えて、こまろさんからの屁理屈攻撃という追い討ちw


「んで、美術の課題って何すればいいの?こまろちゃんが今やってるみたく、イーゼル使って何か描けばいいの?」


「美術関係の創作なら何でもいいらしいです。ワタクシはほまれさんをキュビスムで描いたものをさらにキュビスムで描くを数回繰り返して、美への追及をしておりましたの。そろそろこれも飽きたので、違う創作でもしましょうかね。」


「・・・もはやそれ、原型をとどめていない別の何かになってるだろ。(ん?いや待て。これは美術での表現力を盾にヤツを貶めるチャンスなのでは!毎回毎回ヤツにやられっぱなしは流石に癪だ。一矢向いてやろうぜ。イヒヒ…)」


ああ、ほまれさん何か良からぬことを思いついた表情だわ、アレ。今までに何度も返り討ちにあってやられているのに、性懲りもなく挑む姿勢は目の前の異端の美術家と瓜二つですわね。

どうやら柿木さんはイーゼルと画材を用意してこまろお嬢をスケッチする様子。他方で栗宮さんはどこから持ち出したのかも分からん太めの丸太で彫刻をし始めようとしております。


「こまろちゃん、私スケッチしたいからモデルになってくれる?」


「いいですわよ。でもワタクシも二作品目の制作をしなければならないので…」


「別にしながらでもいいよ。・・・よし!じゃあ早速これに着替えてもらおうか。」


ほまれさんもこれまたどこから持ち出したかも分からんモノを両手に持って、こまろさんの目の前に差し出した。

こ、これは!!!


『黄色い帽子とチューリップの名札に「こまろ」と書かれた幼稚園児のコスプレ衣装』


ではないか!


「な、何ですの?これ。何故このワタクシがこんな幼児の真似事をしなければならないのです?」


「先ほどいいと許可をいただきましたけれど?聡明で知性溢れるお嬢さまがご自身の発言をご自身で否定しませんよね〜?(ゲス顔ニヤニヤ)」


「こ、こんなこと許されるわけがありませんわ。ワタクシには周囲の者たちに与える印象というものがありますの。それに先生も黙ってはいま…(あたふたあたふた)」


「ご心配には及びません。幼少期と学生期のハイブリッドをスケッチを通じて画面に収めたいとお願いしたら先生の許可もいただけました。あと、美術という学問は凝り固まった思想や観念に囚われず、自身の表現を貴び重んじるべきものだと解釈しております。相違ありますでしょうか?(ゲスゲス顔顔ニヤニヤ〜)」


「ぐぬぬ・・・(不覚ですわ。こんな小娘に丸め込まれるなんて…非常に腹立たしい)」


あのお調子者が悪役令嬢を追い込んでいるだと!?

いや、もはや『柿木ほまれ=お調子者キャラ』という印象がなくなっているような…というツッコミは無しでお願いしやすw

まあそれはさておき、ついに念願の下剋上が叶う日が夢では無くなるのか。なんか途轍もなくショボい下剋上ではある気もするが…

この状況では幼稚園児になるしかないであろう、栗宮こまろ大財閥令嬢。さあどうなることやら。

あとがき


・あひ・ほまペアとあひ・こまペアのやりとりは書いたけど、ほま・こまペアはまだ書いていなかったので、今回はその回です。ほまれがこまろを圧している珍しい場面が!

そして、こまろお嬢の幼稚園児コス・・・うん。見てみたいw


ここまで読んでいただきありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ