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第十九話「正解のない選択肢」

「やーい、おひりちゃん。お尻にでも挑むの〜?私のうちにある坐薬でも貸してあげようか?(笑)」


「もう、揶揄わないでよほまれちゃん。似ている文字だったから間違えただけでしょ!そのプリント返して〜(プンスカ)」


「・・・な、何ですの。それ…(クッ!流石はあひりさん。このプリントが奴隷契約書だと既に分かっていたようですわね。ワタクシを焦らし、そして辱めを与えるために敢えて騙されたフリをしていた。『挑咲おひり』という名前も『お尻でも振ってお前を挑発してやる』といった意味合いを込めた侮辱と解釈して間違いないでしょうね。…いいでしょう。まだ策はあります。)」


桃咲ワールドの支配をあと少しというところで逃してしまった栗宮様も『ありえない!!』みたいな反応をしているようですね。まあでも、ケツ振りしてお嬢を煽っているような名前にしたというのは少々考えすぎではw・・・何であれ、今のあひりさんが跪いて頭を垂れるべき存在はこまろではなく、自分の親ですけれどね〜。


「…あれあれ?私の消しゴムが無いよ。たしかこの筆箱に何個か入れてたはずなんだけどなぁ。もう!早くこんな恥ずかしい名前を書き換えたいのに〜。」


「ああ、すまん。あひちゃんの消しゴムは爆発四散したらしくて、もうこの世にはいなくなったと今さっき神様からのお告げがあったこと忘れてたわ。だから悪いけどしばらくは挑咲おひりでいてくれ。」


「ほまれさん、謀りましたわね!(名義変更を阻止するなんて実に不愉快。しもべの分際で賢しいことを!!)」


「もう私そんな嘘に誤魔化されないからね。ほまれちゃんでしょ、消しゴム隠した犯人は!(プンスカプンスカ)」


「えー、こまろちゃんもあひちゃんも何のこと言ってんの〜?ワタシ、ナンニモシーリマセーン。(名前書き直したら奴隷契約が有効になっちまうだろうがよ。ここはあのおバカ娘に挑咲おひりでいてもらった方が都合がいいんだよ。加えてあひちゃんもあのバカらしい名前でしばらくおもちゃにできてオモロいしねぇ〜www 完璧だわ!)」


こまろ様に奴隷契約をさせない反逆の姿勢を見せつつ、あひりさんを弄りまくってプンスカ祭りを満喫する…か。

珍しく頭が回るポジション取りをするお調子者ですな。普段は影が薄くてインパクトのない役回りのくせに・・・っと、彼女らの保護者とあろう者が一娘に対してつい口から本音が漏れてしまったわ。申し訳ないw

…ってか、ほまれさん。いよいよ心の声がドス黒くなってきたわね〜。一体、何こまろの影響のせいなんだろうかw?…いや、もしかしたら元からこういう性格の娘だという可能性もあり得るかもしれんな。


「署名の方はもう良いですわ。別に他人様のお名前でも空欄でも構いません。ただお二方とも覚

えていらっしゃるとは思いますが、そのプリントは全て解答した上で解いた答えを発表していただくものですの。最初にワタクシはそのように宣言いたしましたので。」


「チッ!(あの奴隷契約を回避されるのは想定済みだったってことか。しかしまだこのプリントには別の罠を仕掛けてやがるのかよ。つくづく面倒な悪役ウーマンだこと。)」


「ほまれちゃん、面倒くせ〜みたいな顔してないで早くこのプリントやるよ!どうせ消しゴム戻ってこないんだろうから、早いところ終わらしてこの恥ずかしい名前を忘れたいし。」


おひりさんの催促もあり、結局は栗宮完全監修プリントを解くハメになってしまった三日天下の脇役。厳密は三日もなかったので、三分天下の間違いだわね。

さてさて、どれどれ〜?今、二人が取り掛かろうとしている問題を天からカンニングしてみますか。


まず、第一問目。

『栗宮家への奉仕としてあなたがやるべきことを次から選びなさい。』

 1、あなたの全財産を栗宮家に献上すること

 2、いかなる時においても肉の盾となり、栗宮様の身代わりになること

 3、24時間365日、栗宮様のために労働に尽力すること(うるう日は休暇取得可)

 4、栗宮様への高い信仰心を持ち、信者拡大に尽力すること


う、うん。で、第二問目。

『2XXX年、栗宮大財閥の一大プロジェクトにおける経済・社会活動は地球という枠組みを超え、宇宙規模での生命が居住可能な惑星にまで影響を及ぼすとされている。その影響がもたらす宇宙レベルでの効果を「柿木ほまれ」「価値」「何個分」というワードも用いて説明しなさい。』


・・・あっ、大体分かりましたわ。もう結構ですw


「案の定、訳わからんクソ問題だったわ。うるう日だけは休みでもいいですとか、何その申し訳程度の温情…二問目のワードとかもう文章作る前からこう解答して欲しいという気持ち丸出しなんですけど・・・全部適当に答えたろ〜。」


「ええっ!なんかこまろちゃんが作った問題結構難しいよ〜。教科書で勉強した内容がほとんど出てなくて、初めて見るようなものばっかりだし。…いやでも、こまろちゃんが私たちのために頑張って作ってくれたプリントだもんね。一見難しそうに見えるけど、基本が押さえられていれば解くことができるのかも。うん、私頑張って全部解くぞ!!」


机に片肘つきながら鼻くそほじりたそうな態度している人もいれば、謎の闘志を燃やしている意識高い系の自走型アヒルの人もいるみたいね。・・・ってか最早この人たちはこの教室に何をしに集まっていたのかすら分からんくなってきたわ。ああそうだ、栗宮さんの社会・経済コンサルティングの集まりでしたね。←いや、違うw!!





「はい終わり〜。もう帰ってもいいですか、こまろ先生。私、本番のテスト大丈夫そうなので。」


「別に構いませんわよ。本日でほまれさんはこの学校をご卒業ということで先生方には話をつけておきますわ。ほまれさんがこの学校に残したものの身辺整理もこのワタクシがやっておきますのでご心配なく。」


「すいませ〜ん。テストではなく別の不安事がありそうなので、ちゃんと残ってやりま〜す。(あ〜ダル)」


「よ〜し!全部解き終わった!!私、今までの人生の中で一番頭使ったかも。結構自信もあるよ。」


どうせ逃れることができないのを分かっているのに無意味な撤退許可を伺うしもべH。案の定、撤退したら頭ブチ抜くぞとこまろ様から脅しをもらって大人しくなりました。んで、そんなこんなしているうちに桃咲さんもどうやら一通り問題を解き終わったようです。・・・こんなどうでもいい場面に人生で一番頭を使わないで欲しいところですが…それ以前のあなたは一体何%の脳みそを使って生きてきたのよと些か疑問に思います。


「ウフフ、それでは解いた問題の答えを発表していただきましょうかね。」


「はいは〜い!私からいいですか、こまろ先生。」


「よろしいですわよ。それではあひりさん、手始めにあなたはこのワタクシにどのような奉仕をしていただけるのかしら?」


「(もしやコイツ、言質取りして後から逃れられないようにする算段か?)ま、待て。おひり!これは罠d…」


「第一問目の答えだよね。ええっと・・・」


流石。こまろお嬢に嵌められ慣れてきた分、勘が鋭く研ぎ澄まされてきているようだな。しもべHよ。だが、この場面に一生分の頭脳を注いできたアヒルの勢いには及ばなかったらしい。もう彼女の解答発表を止められるものは誰もいない。やはり、挑咲おひりへとクラスチェンジしようが絶対的女王様には歯が立たないのが世の常なのか・・・←何言ってんだコイツw


「第一問目の答えはどれも間違いです!この中に答えはありません。」


「なっ!?」


「えっ、どうゆうこと?おひり。」


「あのね。私がこまろちゃんにしてあげられることはここに書かれていることのどれでもなくて、ただ…友達でいられること。それだけなんだよ。いきなり一問目からこんな基礎を分かっていれば解ける問題に大分時間をかけちゃったけど(てへへ//)…こまろ先生どうですか?」


「・・・(眉毛が横棒に目が点に口が三角形になって、無言で生徒を見つめるこまろ先生)」


「・・・(い、挑咲。いつから君はそんなに立派に賢くなったんだ。やはり、お前をずっと見てきたこの私の目は間違ってはいなかった!!誇りに思うぞ、おひり。)」


挑咲おひりへのクラスチェンジ、意味があったようですw

下衆な思惑ばかりを考えていたお二方を黙らせるメインヒロイン素晴らしい!・・・自分の名前は書けないけど。小学校高学年用の教科書で勉強してきた成果を存分に見せてもらいましたわ。・・・自分の名前は書けないけど。

こんな一番身近で大切で簡単な答えに気づかない冷徹お嬢様とお調子者ギャルは補習の対象ですねw

これからは挑咲おひり先生に色々と教えてもらいなさい!・・・自分の名前は書けないけど。

あとがき


・死ぬほど久々の執筆です(笑)

あひりが奴隷契約書を華麗に?回避し、そして珍しくほまれにアドバンテージがある状況が回ってきたが上手く生かしきれずに不発。最終的な勝者は自分の名前が書けない人になったとさw


ここまで読んでいただきありがとうございます!

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