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サリアネルスの魔法譚  作者: 朝宮優里
3/5

お着替え室と新しい出会い(前編)


私が白を基調としている豪奢なお着替え室の中に入ると、花緑青色のワンピースに胡粉色のエプロンを着た女性たちが出迎えてくれた。


ここがお着替え室なんだ。とても広いな…。


私は部屋を見渡しながら歩いていると、彼女達の後ろに美しい青いドレスがあることに気づいた。


わぁ!とても綺麗なドレス。まるで物語の女王が戴冠式で着ていたドレスみたい…。


もっと近くで見たいな…。


そう思い、前へ進もうとすると、並んでいる女性たちの中からある一人が私の方へ近づいてきた。


マジョリカブルーの髪を後ろで纏めている、凛とした雰囲気の女性だ。


エメラルドグリーン色の瞳はキリッとしていて、一挙手一投足が洗練されている。


…知的そうな人だな。


私は彼女の流れるような仕草に目を奪われ、自然と立ち止まった。


彼女も私の正面で立ち止まる。


そして丁寧にお辞儀をした後、撫子色の唇を開いた。


「サセナ様、本日は誠におめでとうございます。喜ばしき星の天使の誕生に祝福をお祈り申し上げます。」


すると後ろで並んでいた女性たちも「サセナ様に祝福をお祈り申し上げます!」と続けて言った。


その声が終わるとまた女性が唇を開く。


「初めまして、私はサセナ様付き侍女長エメラルダ・ラーシャと申します。以後お見知りおき下さいませ。私達はサセナ様の日々が快適なものとなるよう誠心誠意お仕えいたします。何か御用がありましたら、私達にお申し付けくださいませ。」


彼女はそう言うと、もう一度丁寧にお辞儀して少し後ろに下がった。


…この美しい女性は、ラーシャという名前なんだ。


そして私の侍女長なんだね。


確か…侍女とは日常生活を支えてくれる人、という意味だったと思う。


まだ慣れてない所での生活を支えて下さる人達だから、しっかりと挨拶を返さなきゃ。


私はラーシャの瞳を真っ直ぐに見て、口を開いた。


「初めまして、ラーシャ、皆様。私はサセナといいます。」


一息つき、


「私はまだ外の世界に不慣れですので、皆様の助けが必要な時が多々あると存じます。ですが、星の天使として精一杯努力しますので、皆様、これからの日々、どうぞよろしくお願いいたします。」


と言った後、皆に向かって一礼した。


途端に空気がピシッと凍った気がした。


え、どうしたんだろう…。もしかして、私、何か失敗しちゃった…!?


私が慌てて周りを見渡そうとする前に、ラーシャが私の前へ来て立ち止まった。


そして、


「はい、サセナ様、こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。」


と言い、私に向かって深々とお辞儀をした。


ラーシャが行動するのと同時に緊迫した空気が柔らかくなった。


その雰囲気に私はほっ、と安堵の息をつき、ラーシャに感謝の気持ちを込めて微笑んだ。


…ラーシャ、ありがとう。


ラーシャは私の視線に気づき、微笑み返してくれた。


これからの生活がどうなるのか心配だったけれど、彼女が側にいてくれるなら大丈夫な気がする。


私の侍女長がラーシャで本当によかった。


私は少し嬉しくなってエネラルドの瞳を見つめていると、ラーシャが口を開いた。


「では早速ですが、サセナ様の御支度を始めさせていただきます。サセナ様、こちらへいらしてくださいませ。」


ラーシャが部屋の奥へ案内する素振りを見せる。


私は頷き、ラーシャの後について行った。


サセナは楽園の外に出て、初めて家族以外の人と接しました。ラーシャ達、侍女たちとの出会いです。これから彼女たちとどのような関係が築けるのでしょうか…。


次回は、お着替え室と新しい出会い(後編)です。

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