水遁の術なの?
今日はすごく良い天気。
じりじりとしてちょっと暑いけど、プール日和だね!
待ちに待ったプールの授業、私プールの時間が大好きなの。
最初は全然泳げなかったけど大好きな先生が丁寧に教えてくれて、去年ついに二十五メートル泳げるようになったんだ。
今年は何メートル泳げるようになるだろう? 先生に良いところを見せないとね!
「うむむー……暑すぎる……灰になってしまうのだ……」
あれれ? ヨミヤちゃん、もしかして暑いのは苦手なのかな?
それにしてもヨミヤちゃん、水着になると白い手足がとっても綺麗に見えるね。
ほら、男子たちもヨミヤちゃんに見とれちゃってるよ。本当に天使みたいに可愛いね。
「美香よ、この暑さはもう生物が生きていける暑さではない、ここは命を優先するべきだ、という訳でサボろう」
本当に、喋らなければ天使みたいに可愛いね。
どうして口を開くと残念な感じになっちゃうのかな? とってももったいないよヨミヤちゃん。
「はーい、それではまずシャワーを浴びて消毒しましょうね」
あ、先生が呼んでる。プールの前には消毒があるのをすっかり忘れちゃってたよ。
すっごく冷たくて苦手なんだよね、でもプールに入るためには我慢しなくちゃ。
「美香よ、消毒とはなんだ?」
おやや? ヨミヤちゃん消毒を知らないのかな?
「消毒っていうのは、プールに入る前に汚い菌とかを綺麗にするために入るんだよ。きちんと消毒しないとプールに入れないよ?」
「綺麗にするだと!?」
あれ? どうしたのかなヨミヤちゃん、消毒せずに先生の所に行っちゃった。
「お主、まさかこの私にも消毒をしろなどとは言うまいな?」
「ヨミヤちゃん、消毒は皆がしないといけないのよ? だからヨミヤちゃんも消毒しようね?」
ヨミヤちゃん、消毒が嫌で先生の所に行ったのかな? でも先生の言う通りだよ、消毒が嫌な気持ちは分かるけど、早く終わらせちゃった方が良いよ。
「無礼者! お主、この私が汚いというのか?」
えぇ? ヨミヤちゃん何を言ってるの? そういう問題じゃないんだよ。
「ヨミヤちゃんが汚いっていうことじゃないのよ……」
「そうであろう? 私の体は清らかなのだ、故に消毒の必要はない!」
ペタペタペタ……
って、嘘でしょうヨミヤちゃん!? 消毒せずにプールに行っちゃったよ! 先生もびっくりして固まっちゃってるじゃない。
消毒はもう終わったから、早くヨミヤちゃんを追いかけよう。クラスメートの皆もパタパタとプールサイドに向かっていくね。
「うむ、来たか美香よ、プールとは中々珍妙なものだな。ここを渡ればいいのだろう?」
プールのどこが珍妙なのかな? ヨミヤちゃんの言ってることが全然分からないよ。
「先生の合図がまだだから、勝手に入っちゃダメだよ」
「問題ない、私に任せておくのだ」
全然任せられないよ、もう怒られても知らないんだからね!
「うむ、では行くかの」
ペチャペチャペチャ……
って、ヨミヤちゃん!!? 水の上を歩いてるよ、いったいどうなってるの?
「おい、ヨミヤちゃん水の上を歩いてるぜ」
「すげえ、マジかよ!」
「足にチャクラを溜めてるのかな?」
「かっけえぜヨミヤちゃん!!」
ちょっと男子! カッコいいじゃなくて異常事態だよ。あとチャクラってなに!?
「美香ー! 見ておったかの? 見事渡りきってみせたぞー」
ヨミヤちゃん、あっという間に反対側のプールサイドまで辿り着いちゃった。でもちょっと頭が追い付てないよ。
「ヨミヤちゃん! プールって水の中を泳ぐんだよー」
「なに! 水の中をだと!?」
当たり前だよヨミヤちゃん、逆に泳ぐ以外の方法を思いつかないよ。水の上を歩くなんて完全に意味不明だよ!
「私に水に入れというのか! 美香よ、お主私を殺す気か!!」
なんでなんで? ヨミヤちゃんは水に入ると死んじゃうの?
あーあ、結局ヨミヤちゃん、水に入らないまま終わっちゃったよ。
水着に着替えた意味、なかったんじゃない?
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