夜宮上等本気上等
ギンッ!!
今日は何だかヨミヤちゃんの様子がおかしいみたい。朝から目が異様にギラついてるよ。
眉間にしわもよってるし、ずっと歯をギリギリいわせてるね。いったいどうしちゃったのかな?
「うむぅ? 美香よ、お主今メンチを切ってきおったのう?」
はて? メンチ? なんだかかつてない絡まれ方をしてるみたいだけど、何事だろう?
「良く分からなけど、ただヨミヤちゃんのことを見てただけだよ」
「何ィ? あ~ん?」
どうしてそんなに睨みつけてくるのかな? でもヨミヤちゃん、すっごく可愛い垂れ目だから、全然怖くないんだけどね。
「お主! 今笑っておったのう? 上等だのう? おうおうぅ!」
おやや? 何だか分かってきたかもしれないよ。もしかしてヨミヤちゃん、昨日やってたヤンキードラマの再放送を見たのかな? あれの真似をしてるのかな?
「良い度胸だのう? やってやろうかのう? あぁ~ん?」
うん、これはもしかしなくてもドラマの影響をもろに受けてるね。何だかこんなシーンがあったような気がするもんね。
でもヨミヤちゃん。よくよく聞いてみると、話し方とかいつもとあまり変わってないよ。言ってることが少しだけ荒々しくなってるだけだよ。
ヤンキーっていうより、様子のおかしなただのヨミヤちゃんだよ。
あれ? でもヨミヤちゃんはいつも様子がおかしいから、いつも通りってことなのかな?
「何を笑っておるのかのう? かかってこんかいぃ」
ヨミヤちゃん、どうして突然しゃくれてるのかな? 相変わらず全然怖くないし、似合わないからもうやめた方が良いよ。
「ヨミヤちゃん。もうすぐ授業が始まるから、ヤンキーはもう終わりにしようね」
「何おぉう? ……何おぉう?」
ヨミヤちゃん、今何を言って良いか思いつかなかったんでしょ? 同じことを二回言ってたよ。
ほらほら、そうこうしているうちに先生がやってきたよ、授業はきちんと受けようね。
「では皆さん、今日は教科書の十五ページを開いてください」
「あ~ん? 教科書十五ページィ? 上等だのう!」
ちょっとちょっとヨミヤちゃん、授業中はマズいよ! 先生もビックリしちゃってるよ。
「ヨミヤちゃん、どうしたのかな?」
「どうしたのかな? だとぅ……やきいりれられたいのかぁ? すてごろ……なのかぁ?」
ヨミヤちゃん、言ってることがメチャクチャだよ。あと言葉の使い方が分かってないでしょ、ものすごくおかしな使い方をしちゃってるよ。
「私に教科書を開かせたいのならなぁ、タイマンだのう! そうだろう、美香よ!」
「えぇ!? なんで私に?」
「美香はあれだからのう、裏番だからのう」
どういうことなのヨミヤちゃん? 裏番って何? お願いだから私まで巻き込まないでよ!
「おらぁ! 美香よ、お主の必殺技、天上天下唯我独尊を見せてやるのだ!!」
「そんな必殺技ないよ! 知らないよ!!」
「いい加減にしなさい! 二人とも後で職員室に来るように!」
嘘でしょ!? 何てことなの、先生怒られちゃったよ!
私まで巻き込まれちゃったし。もう、ヨミヤちゃんのせいなんだからね!
どうしてくれるのヨミヤちゃん!!
「何おぉう? ……何おぉう?」
いや、それはもう良いよヨミヤちゃん!
この後先生にこっぴどく叱られました。
あんまりだよヨミヤちゃん。
ここまで読んで下さりありがとうございました。次話もよろしくお願いします。