七並べ風
「うむ……ううむ……」
「ヨミヤちゃん、まだ?」
難しそうな声を上げているヨミヤちゃん。さゆりちゃんが心配そうに声をかけているね。
今はお昼休みの時間。ヨミヤちゃんとさゆりちゃんと一緒にトランプで遊んでるの。
七並べのルールなんだけど、ヨミヤちゃん、はじまってからずっと難しそうな声を上げてばっかりで、中々次のカードを出してくれないんだ。
おかげでまだ何枚かしかカードが出てないよ。全然ゲームが進まないよ? どうしちゃったのヨミヤちゃん。
「うむ……出せるカードが……もうない……」
えぇ? 嘘でしょうヨミヤちゃん。まだまだゲームははじまったばかりなのに、もう出せるカードがないの?
「口惜しいっ、何故私のところには使えぬカードばかりが集まっておるのだ!?」
わあ、ビックリしたよヨミヤちゃん。急に大きな声を出さないでね。
それにしても、この様子だと本当に出せるカードがないみたいだね。なんて運が悪いのかな、ヨミヤちゃん。
こうなったらパスするしかないよ、そうしたら次の番でカードが出せるかもしれないからね。
「ヨミヤちゃん、パスならパスって言ってね?」
「何だと! 美香よ、この私にパスを宣言しろというのか!?」
あれれ? なんだかヨミヤちゃん、ずいぶん怒っちゃったみたい。もしかして私、おかしなことを言ったかな?
「この私が、そのように屈辱的なことを言えるはずがなかろう!! なんという侮辱なのだっ」
待って待って、今やってるのは七並べだよ? ただの遊びだよ? 全然屈辱的なことじゃないよ。侮辱もしてなからね?
このままだとゲームが進まないんだから。早くパスをしてしまった方が良いよ、ヨミヤちゃん。
「ヨミヤちゃん、そういうことじゃなくてね。これはただのゲームなんだから、それに次の番になったらカードが出せるかもしれないから、ここはパスにしておこう?」
「うむぅ……美香よ、私は思うのだよ……」
はて? 何やら腕を組んで目をつむってるよ? どうしたのかな?
「これからの世の中はの。独り占めばかりしていては、先に進むことはできぬのだよ。大切なことはの、与え合い、そして共に分かち合うことなのだよ」
??? どういうことなのかな? またまたヨミヤちゃんが難しいことを言い出しちゃたよ。でも七並べだから、そんなに難しく考える必要はないと思うんだけどなぁ。
ほらほら、さゆりちゃんも首をかしげちゃってるよ。
「つまり言いたいことはだの、お主ら出せるカードを持っているのなら、私にも分け与えるべきなのだということだよ、そういった行いや考え方が大切なのだからな」
ええぇ!? ヨミヤちゃんってば何を言ってるの? それはもう七並べじゃなくなっちゃうよ。ゲームなんだからルールは守らなといとダメだよ!
さゆりちゃんもおかしいと思うよね? ほらほら、何とか言って上げてよ。
「え……うん、じゃあ私のをヨミヤちゃんに上げるね」
ダメだよさゆりちゃーん!! ヨミヤちゃんに騙されちゃってるよ! 出せるカードがなくて悔しがってるだけなんだから。
「おぉ! さゆりよ、お主は中々見どころがあるのう。それに比べて美香よ、お主は……」
ちょっと! なんでそんなに残念そうな顔で私を見てるの?
なんだかとっても気分が悪いよ!
分かった分かったよ、もうヨミヤちゃんの好きなやり方で遊んで上げるから!
この後、皆でカードを交換し合いながら、順番通りに埋めていくだけの、謎の遊びをしました。
もう! いったい何の遊びなのコレ!?
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