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だから僕は左目なんかいらない。  作者: 日暮 絵留
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09 逃亡の理由

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「なるほどねぇ…」

「僕の話を聞いて、芹沢さんはどう思った?」

「その話マジすかって思った」

「マジっす」

「だとしたら、いきなり「しばらく家に置いてほしい」なんて無茶ぶりは、断るのが普通だろうね」

 僕も、すももちゃんのお願いを聞いてあげられなかったこと自体は仕方がないと思っている。

 一人暮らしならまだしも、僕はまだ親のすねかじって生活している身なのだ。

 芹沢さんが言ったように、普通、出会ったばかりの“家出少女”をいきなり家に泊めたりはできないだろう。


 たぶん、すももちゃんは家出をしたのだ。

 今までは友達などの家を転々としていた彼女は、今度は見知らぬ「誰か」に頼ろうとしている。

 おそらく、親に潜伏先がバレることを恐れた、とかだろう。

 手品が得意(やっぱり手品師の卵?)なので、それを披露して「誰か」の気を引く作戦を立てた。

 そしてその作戦に引っかかったのが僕だった―――。


 すべて僕の推論だ。

 でも十分あり得る話だと思うし、当たらずも遠からずなのではないだろうか。

 僕はそんな彼女を置き去りにしてしまった…。

 もしかしたら今頃は別の「誰か」の家に転がり込んでいるかもしれない。

 でももし、その「誰か」が悪意を持ってすももちゃんを招き入れていたとしたら―――

「それはさすがに考えすぎじゃん?」

「そうかもしれないけど……でもやっぱり気がかりで」

「確かにあり得ない話ではないけど、知らない人の家に泊まり込むつもりなら、ある程度は“そういう覚悟”もあるんじゃない? もしかしたら、泊めてもらう代わりに自分から誘ったりするような子かも知れないじゃん」

「そんな子には見えなかったけど…」

「例え話だってば。あたしだって颯太の話を聞いた限りではそんな子ではないと思うよ? でもそういう風に考えとけば少しは気が楽になるでしょってこと」

「うーん…。それはどうだろう…」

「とにかくあまり気にしなくていいんだってば。て言うか、颯太はお昼ご飯を“おごらされた”んだから、むしろ被害者の可能性すらあるんだよ? 分かってる?」

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