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だから僕は左目なんかいらない。  作者: 日暮 絵留
32/45

11 ターニングポイント

         1

 修二くんから続けざまにいくつかのメッセージが届いた。


『すずとはぐれた』

『見つけてから戻る』

『行き違いになったらマズイ』

『二人は集合場所にいてくれ』


 この事態は一体どんな意味を持つ…?

 はぐれてしまったのは高野さんだけど、これが芹沢さんの運命と無関係な出来事とは思えない。

 僕たちも高野さんを探すべきなんじゃ…

 でも修二くんが言うように、二人ともここを離れるのもよくない。

 かと言って、芹沢さんをここに残して、僕だけが探しに行くわけにもいかない。

 どうする…

 どうすればいい…

 ここで選択を誤れば、きっと、取り返しのつかないことが起きる。

 それまで何か考えている様子だったすももちゃんがテレパシーを送ってきた。

『颯太は高野さんを探しに行ってください。』

 例えテレパシーであっても、その声は苦渋に満ちたものだった。悩みに悩んだ末、そうするべきだと判断したのだろう。

 僕にはテレパシーを送ることなどできないけど、心と表情だけで声を上げる。

『でも―――』

『考えてみてください。もし仮に、何も知らずに今の状況になっていたとしたら颯太はどうするでしょう? きっと、高野さんの捜索は有坂さんに任せるはずです。彼に任せておけば大丈夫だと信じているから。…違いますか?」

 確かに、僕なら、たぶん…いや、ほぼ確実にそうするだろう。

『颯太が「本来取るはずだった行動」を実行すれば、「本来訪れることになっていた未来」へと至ってしまうはずです。逆に言えば、少しでもイレギュラーな結果を作り出せれば、その分、芹沢さんの「死」も遠ざかるのではないでしょうか…。』

 確かに理に適っているかもしれない。

『大丈夫です。芹沢さんのことはわたしが見ていますから。』

 となれば、すももちゃんの言う可能性にかけてみるしかない。

 迷っている時間などないのだから。


         2

「やっぱり僕も高野さんを探しに行ってくるよ。芹沢さんはここにいて」

「えっ。だったらあたしも行くよ。一人でこんなところにいる方が嫌だし」

「それじゃ、万が一、行き違いになったときに困るんだ」

「で、でも…」

「大丈夫。すぐに見つけて三人で戻ってくるから」

「…分かった。でも本当にすぐに戻ってきてよ?」

「うん。じゃあ、行ってくる」

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