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だから僕は左目なんかいらない。  作者: 日暮 絵留
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09 普段どおりの夏休み

         1

 青春を謳歌おうかしている高校生にとって、夏休みというのはイベントのオンパレードだ。

 例年通り、修二くんと高野さんも誘って、海水浴や夏祭りなどにできるだけ多く参加した。

 普段と変わらない行動を取るという意味ももちろんあったけど、人の多い場所の方が反って安全かもしれないという思惑もあった。

 そしてもう一つ。

 こんなときにこんなことを言ったら疑われるかもしれないけど、すももちゃんに夏休みの思い出作りをしてほしかった、というのもある…。

 例えそれが、いずれ彼女の記憶からなくなるものだったとしても…。

 彼女の存在は僕にしか認識できていないし、あくまで芹沢さんを見張るために行動しているのだから、一緒になって楽しむこともできない。

 それでも、ゴールデンウィークの最後の日にした約束をほんの少しでもいいから果たしたいと思った。


         2

 夏休みはあっと言う間に日数を減らしていった。

 その間、特に変わったことも起きず、正直、少し肩透かしを食ったような気さえするほどだった。

 基本的にはすももちゃんがいてくれたので、僕が一日中見張りをするようなことはほとんどなかった。

 どうしても芹沢さんの側から離れる際には、例の「優秀な後輩さん」が見てくれていたそうだけど、僕がその後輩さんと顔を合わせることは一度もなかった。

 そしていよいよ、夏休みも残り一日となった。

 無事に明日を終えることができれば、芹沢さんの命は助かる。

 そして、すももちゃんは晴れて生き返ることができるのだ。


 あと一日。


 あと一日だ。

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