03 募る後悔
1
ゴールデンウィーク最後の日以来すももちゃんを見かけたことはない。
あの後、ほとんど一方的に追い出して、喧嘩別れのようになったっきりだ。
去り際に彼女が見せた寂しそうな表情が、今、僕の心に楔のように影を落とし続けている。
あの瞬間は頭に血が上っていて気にも留めなかったけど、その後、後悔や罪悪感を感じるようになるまで、そう時間はかからなかった。
確かにすももちゃんがした悪戯は質の悪いものだった。
それを無条件で許すことはできない。
でも、それを無条件で追い出す理由にすることも間違っているような気がした。
少し言い過ぎたかもしれない。
彼女の言い分も聞かずに怒鳴り散らしてしまった。
きちんと話すべきだった。
あんなことをしてしまった理由を聞いてあげるべきだった。
そこにどんな理由があったのかも知らないで、一方的に怒りをぶつけるなんて間違ってた。
もし軽い気持ちでしてしまったことだったのなら、二度としないよう、説き伏せてあげればよかったんだ。
そもそもあれは本当に質の悪い悪戯だったのだろうか?
彼女はどこか浮き世離れしているような、少し変わった子だった。
でもとても素直で優しい子でもあった。
あんな笑顔の可愛らしい女の子がするような悪戯とは思えないのだ。
例えば、こんなのはどうだろう。
もしあのとき芹沢さんの名前があったページを一枚捲れば、僕や修二くん、高野さんの名前も書いてあって、
「僕たちの名前まであるなんてひどいじゃないか」などと笑いながらページを遡っていくと、表紙には『大切な友達』というタイトルが印字されている―――。
仮にそのような手品だったとしたら、僕はとんでもない過ちを犯し、すももちゃんを傷つけてしまったことになる。
どちらにせよ、僕はもう一度彼女にあって、謝らなければならない。
夏休みはすぐそこまで迫っていた。




