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だから僕は左目なんかいらない。  作者: 日暮 絵留
17/45

17 一日の終わりに

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「今日は楽しい一日でした。本当にありがとうございます。」

 ぺこり。

「いやいや、こっちこそ、すもものお陰でいつも以上に楽しかったよ!」

「俺も」

「私もだよ。すもちゃんにはたくさん癒やされちゃったし」

 ほとんどなんの意識もしないで、僕はこう言っていた。

「また夏休みに五人で遊ぼうよ」

 すももちゃんが僕の従兄妹だと思っている修二くんと高野さんにはなんてことない一言だっただろう。

「すもも、その時はまたボウリングをやろうな」

「私は夏までに『ほむほむ』の衣装を用意しとくね♪ コスプレしたら画像をSNSにアップしていい? そしたらきっと業界がざわつくよ~?」

「夏になったら「棒りんぐ」と「こすぺれ」…ですか。」

 その頃にはすももちゃんは自分の家に戻っているか、もしくは別の人の家にいるだろう。理想はもちろん前者だ。

 いずれにせよ、二ヶ月もの長い間、僕の家に居候している可能性は限りなくゼロに近い…。

 当然だ。

 もともとはゴールデンウィーク期間中だけの宿泊予定だったわけだし、その許可がもらえただけでも普通なら有り得ないことのはずなのだ。

 予定期間以上の滞在はさすがに両親の許可が下りないだろうし、金銭面や社会的観点から言っても問題があると思う。

 ただ、二ヶ月後、僕とすももちゃんの繋がりが絶たれていませんように―――そう、願わずにはいられなかった。

 少しでもその気持ちを表明したくて、僕はみんなと同じような言葉を繰り返した。

「夏休みが楽しみだね。すももちゃん」

「そう、ですね。…できるといいです。どちらも。」

 彼女がそう言ってくれたことが素直に嬉しかった。

「じゃあ、レイヤーデビュー決定だね~♪」

 すももちゃん自身がやりたいと言うのなら僕には反対する理由も権利もないのだけど、一応、「従兄妹の画像をネットに流すのは許可できないけどね」と釘を刺しておいた。

「颯ちゃん、親みたい…」

「はは…芹沢さんにもそんなこと言われたよ」

 と言うか、そこはせめて「お兄さん」にしてくれないかな…

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