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だから僕は左目なんかいらない。  作者: 日暮 絵留
16/45

16 フードコートにて

         1

 それぞれが思い思いの食べ物屋の前に並んでいる中、僕はすももちゃんに問いかけた。

「何か食べたいものある?」

「えっと。できるだけお安いものを…。」

「あはは。そんなこと気にしなくていいんだよ? 母さんから少し多めにお小遣いをもらってきたから」

「でも颯太は芹沢さんにもデザートを奢らなくてはいけないのですよね?」

「だいじ、だいじ」

「大丈夫」の意味を表す我が県の方言で見栄を張ったけど、本音を言えば、かなり痛い出費だ。

 けど、そんなつまらないことでこの子に気を遣わせたくはなかった。

 ふと思えば、二人とも、昨日のファミレスでの一件とは大違いだ…。

 考えてみれば、すももちゃんとは出会ってからまだ一日しか経ってないんだよな…。

 それなのに、僕はもうすっかり彼女のことを従兄妹どころか、本当の妹みたいに思っている。

ついつい甘やかしたくなってしまう僕は、シスコンの素質があるのかもしれない…。

「あっ! あれがいいです」

 きょろきょろと見回していた彼女のお眼鏡にかなったのは、フードコートとは微妙に離れたところにあるドーナツ屋だった。

 レジを担当してくれた「研修中」の店員さんからトレイを受け取り、フードコートの方で食べても問題ないかを確認する。

「少々お待ち下さい」と、別の店員さんに確認に行かせてしまったことを少し申し訳なく思っていると、ほどなくして、先輩らしき女性店員さんがやってきた。胸元には『神崎│(ゆ)』とある。

 そういう要望には慣れているのか、神崎さんは「うちの宣伝にもなりますから」と、気さくな態度で出向の許可をくれた。

「トレイはこちらに戻してくださいね」

 すももちゃんにウインクまで寄越した神崎さんに感謝の意を示し、僕たちは他のみんなと合流した。

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