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だから僕は左目なんかいらない。  作者: 日暮 絵留
13/45

13 就寝

         1

 夜十一時。

「そろそろ寝た方がいいんじゃないかな」

「ふぁい…。」

 どちらかというとクールな印象が強いすももちゃんも、さすがに欠伸交じりに返事をする姿は年相応―――いや、むしろそれ以上に幼く見える。

「じゃあ、また明日だね」

「お休み…なさい…颯太…。」

 もそもそとした動きで、すももちゃんがベッドに潜り込む…。

 ―――って、ちょっと待てぇーい!

「あ、あの…すももちゃん? まさかとは思うけど、部屋で寝るつもり…?」

「当然れす…。少しれも長く……しょう太と時間…を……きょうゆう………。」

「…すももちゃん?」

「………くぅ。」

 寝てるし…。

 一見普通そうにしてはいるけど、彼女には家出をするほどの事情があって―――きっと色々疲れてるんだろう…。

 僕は部屋の電気を消し、一階に向かった。

 リビングに行くと、母さんと父さんがお酒を飲みながらレンタルしてきたらしい海外ドラマのDVDを見ていた。

「あら颯太? どうしたの?」

「すももちゃんが僕のベッドを占領しちゃったからソファーで寝ようと思って」

 言いながらソファーに腰を下ろすと、隣で丸くなっていた先客が「にゃー」と僕の膝の上に移動してきた。

「モカ。今日は僕と一緒に寝よう」

 再び丸くなった彼女はごろごろと喉を鳴らして上機嫌だ。

「ねぇ颯太。母さんたちは颯太のことを信じているわ。だからあの子のことは何も聞かないでおくわね」

「その代わり…」と言葉を引き継いだ父さんがテレビの画面を見たまま言った。

「何か困ったことが起きたらすぐに父さんたちに相談しなさい。いいね?」

「うん。ありがと。母さん。父さん」

 家事はなんでも完璧だけど、どこかおっとりし過ぎていて少し子供っぽいところのある母さん。

 会社ではそこそこの地位があるものの、家では母さんの尻に敷かれていて、ちょっと頼りない印象の父さん。

 そんな愛すべき両親ふたりだけど、やっぱり子供ぼくなんかじゃ敵わないらしい…。

 そんな風に思った。

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