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少女

  ……どれほどの時間が経ったのだろうか。

 僕の周りはほとんど景観が変わらなかった。

 しかし、しばらく木の上にいて、違和感の正体がいくつかわかった気がする。

 まずは僕の目の前に広がる景色。よくある公園の風景に見えるが、これは現実じゃない。上下左右いろいろな方向に視線を移したときに違和感を感じたのだ。なんとなく、少し前に流行ったVRとかいうゲームでありそうな動き方っぽい。

 そして空の色。周りの景色が変わっていないというのなら分からんでもないが、空は青々としたままである。……まあ、僕の感覚だから、多少なりとも変わっているかもしれないが。

 さらにもうひとつ。

 僕の登っている木から少し離れた茂みの裏でしゃがんでいる少女。

 先に述べた景観が変わらないということに加え、人っ子一人いないのもまた事実であった。そんな時に人を見かけたら気になってしまうのはしょうがないだろう。

 少し前に見つけ、ちょいちょい観察してみている。何故かよく分からないが、だんだんこっちに近づいてる気がする……。

 気のせい……だと信じたかったが、少女を見ている限り、確実に距離を詰められていた。

 僕はなんとなく、嫌な感じがした。根拠は全くないのだが……。


「ねぇねぇ」


 僕は微かに声が聞こえた気がして、思わず周りのを見渡した。


「私も上に登っていい? 」


 微かに声が聞こえた。今度は確実に下から聞こえた。

 僕は少女の方を向いた。少女の目元のあたりは碧碧あおあおとした木の葉で見えなかったが、こっちに視線を向けられているのはなんとなく感じた。

 僕がゆっくり頷くと、少女は口角を上げ、木をゆっくりと登り始めた。

 この感覚……嫌な感じ、というより……恐怖……?

 だとしたら僕は……なんでこんなに怖がっているんだ?


「どうしたの? 」


 僕の右から声が聞こえた。

 少女だ。もうここまで登ってきたのか……心臓飛び出るかと思った。


「あ……いや、なんでもないよ……」


 僕はそう言いながら、彼女の方を向いた。


「そう? 何ともないならよかった! 」


 そう言って少女にニコッと微笑まれた。

 茶髪のショートに白いワンピース。目元は前髪で隠れている。下から見た時と比べて、少女の容姿がはっきり確認できた。


「……そういえば、他の子達は? 」


 僕は思い切って聞いた。聞くなら今しかない気がした。


「……あー……んー…………どこいったんだろうねー……」


 ……え?


「ごめん。私、逃げるのに必死だったからわかんない」

「……に、逃げる? 」

「そうだよ。………」


 少女が何かを話しているのはわかった。しかし、テレビの砂嵐のようなザザーっという雑音が入っていて聞き取れない。

 それに続いて、キーンという鋭い音がした。思わず耳を塞ぎ、反射的に目を閉じた。


今回は物語の場面の都合上、少し短いです。

が!これから話がどんどん進んでいく(?)ので次回もぜひよろしくお願いします!!!

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