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ちっさいおじさんに出逢うと、本当に幸せになれるのか?  作者: ハナミヅキ
第2章 黄金色の秋
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結局、大谷とは険悪なままバイトを終えた。

外はすっかり暗くなり、かなり冷え込んでいる。


「寒っ」


上着を羽織って、バス停に向かって歩きだす優衣。

混み合うバスに乗り、家に辿り着くと……。まずは、おじさんの居るサンルームに向かう。


「おじさん、ただいまーっ」


『オッ、ユイお帰りー』


おじさんは、サンルームいっぱいに並べてある植物の葉のホコリを、1枚1枚丁寧に拭き取っていた。

その様子を眺めながら、倒れ込むように寝転がる優衣。いつもと同じように、今日1日の出来事をおじさんに報告する。


「沙也香はね、絵を描くことが本当に好きなんだと思う」


『ヘェ〜、サヤカは絵を描くのカァ』


忙しそうに作業をしながらも、一応、話を聞いているおじさん。

真面目に相手をしなければ、優衣の機嫌が悪くなることを、しっかりと学習したからである。


「でもね、沙也香の親は、沙也香を医者にしたいみたい」


『サヤカは医者になるのカァ』


「子供の将来、勝手に決めちゃうなんて酷くない?」


『ウーン……』


作業を中断して、優衣の方へと歩いてくるおじさん。


『確か、サヤカの親御さんも医者ダッタヨネ?』


「うん」


返事をしながら起き上がり、


「パパが外科の先生で、ママは小児科の先生。おじさん、よく覚えてたね」


おじさんと向かい合って座る。


『ワタシの記憶力は、ずば抜けてるんダヨ』


「へぇー」

(自分で言ってるし……)


『オソラク、サヤカの親御さんは、医者が1番スバラシーと思ってるんだろうナァ』


「そんなの、勝手な思い込みじゃない! 自分の子供のこと、なんにもわかってないよ」


『マァ、親子とイッテモ、別々の人間ダカラネ。自分の気持ちや想いは、勇気を出して伝えようとしなケレバ、何も始まらないんじゃナイノカイ!?』


「まぁ、ね〜……。おじさんも、たまには妖精らしいこと言うんだね」


「ワタシは、正真正銘の妖精ダヨ」


「はいはい……。あっ、そうだ! おじさんも一緒に行こーよ。沙也香の絵、見たいでしょ」


『ウーン……』


盛り上がる優衣とは対照的に、おじさんは何か考え込んでいる。


「瑞希達に、おじさんを紹介したいし」


『ソレは嬉しいケレド……。ワタシは、あまり多くの人に会ってはイケナインダヨ』


「どうして? 会ったら、どうなっちゃうの」


『サァ〜? ソレガ妖精界の(おきて)ダカラネ』


「おきて? ……わかった。もう誰にも言わない! 陽太にも言っておかなきゃ」


『デモ……、ユイの友達、見てみたいナァ』


「会わなければ平気なの?」


首を傾げるおじさん。


「こっそり隠して、連れて行くのはあり?」


『ナルホドーッ、それは面白い!』


優衣の提案に、おじさんも喜んで同意する。


「そうそう、それからね。今日は、朝っぱらから大谷に怒鳴られて、もーっ最悪だったんだよっ」


『オータニの話は、モーイイヨ』


「えっ!? だって、酷いんだよ」


嬉しそうに大谷の話をする優衣が、おじさんは気に入らないらしい。


『モー、聞きたくナイ』


「どうして?」


『飽きたカラ……』


「飽きるほど、話してないでしょ!」


『モー、寝る』


「えーっ、そんなこと言わないで聞いてよーっ! ちょームカついてんだから」


『オヤスミ……』


「ちょっと、おじさーん!」


『電気ケシテ』


「もーっ」


そしてその夜、優衣は再び、あの謎めいた夢を見ることとなる。

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