道すがら
サキュバス館という言葉の響にwktkしながら
先輩の山さんのあとをついていく俺。
山さんは黙々と歩き続ける。
山さんはそういう性格のようだ。
まぁ余計な話を振られない方が
ダンジョンの観察に集中できるので
今はありがたい。
先ほどの小部屋を出てからの通路も
岩肌むき出しではなく壁はレンガ積み
床はタイル張りと、人為的な作りになっている。
灯りも壁に5mほどの間隔でついており、
足元を確認するには十分な明るさが確保されていた。
その灯りも松明やロウソクではなく、電球のように見える。
なんだろう・・・魔法ってやつなのかな。
*ミニクリプトン球、ホワイト、E17
うぉ!見てたらいきなり脳裏に知識がっ。
この、知らないと思ってるものを悟る感覚は
脳の回路がジュワっと改変されてるようで
気持ち悪さを伴った快感があるな。
クリプトンって、たしかアレ作ったとこだよな。
ボカロの初音m*******
*クリプトンは不活性ガスの一種。
*アルゴンガスの代わりとしてよく電球に使用されている。
*アルゴンガスの白熱電球より寿命が長い。
*型番にKRやKが入ってる白熱電球は大体クリプトンだ。
いきなり知識がかき消されて上書きされた。
なにこの記憶改変。こわい。
「っつか、まんま電球じゃねぇか・・・」
ついボソッと口からでてしまった。
「・・・お前がいた世界には同じものがあったのか」
静かに話し出す山さん
「俺のいた世界では灯りといえば火だったから、
初めて見た時は、知識の波に意識が流されて動けなくなったよ」
「いや、俺も驚いてます!ダンジョンで灯りといえば
松明みたいなものだと思っていたので!」
思いがけず会話に発展したので少し嬉しい。
なにか体がゆすられて歩きにくい。
体を確認すると、シッポがブンブン振られている。
なにこれ、なんで動いてるの?止められないんだが。
とりあえず手でシッポを押さえながら歩く俺。
マヌケな姿だなぁ。
「今でも、松明をもった人間が入ってくる事はある」
「人間としては、酸素濃度の確認の意味もあるからな」
「しかしダンジョン側としては、設備は汚れるし、
二酸化炭素や一酸化炭素、浮遊粉塵の増加もある。
場合によっちゃ火災の恐れもあるのでご遠慮願いたい」
「えっダンジョン内って火はダメなんですか!?」
「ダメって言ったって人間どもは使うから対策はしている」
「だからそこまでダメというものではない」
「見たらイラっとして狙撃したくなるくらいさ」
「・・・(攻撃してんじゃん)」
「だいたい、火や煙で一番初めに死ぬのは人間なんだがな」
「そうなんですか」
「種族にもよるが、魔族は酸素濃度さがったくらいで死なん」
「しかし人間は酸素濃度が少し下がっただけで動けなくなる」
「熱気や煙を吸い込むだけで喉にヤケドを負うなどして死ぬ」
「だいたい焼け死ぬ前に紫色になって倒れるな」
「自らの大火炎魔法で全滅するアホなパーティも居るくらいだ」
「怖いですね・・・」
「それらも踏まえて、ダンジョンには排煙機などもあるんだがな」
「普段は天井裏に隠蔽されていて見えないから、
おいおい見て覚えてもらうことになるだろう」
「よろしくおねがいします・・・」
気付くと、シッポのフリフリはおさまっていた。
そのまましばらく歩くと、少し開けた場所にでた。
「で、このエレベーターでB15Fまで降りる」
「エレベーターあるんすか!」
そこはエレベーターホールだった。
「もちろんあるよ」
「でなきゃ縦に長いダンジョンなんか作れないだろ」
「確かに・・・」
「冒険者側に使わせてないダンジョンも多いからな」
「知らないのも無理はないか」
だいぶ俺の知っているダンジョンと違うな・・・