夏と終わる私の白いワイシャツ
涼しい風がスカートを揺らす。
ワイシャツの袖を通り抜ける。
朝は比較的涼しい。
高校三年の夏、私は幸せの中にいた。
みんなに愛され、求められ、何も悩み事もなく。
ただただワイシャツを輝かせる太陽に身を任せた。
今まで生まれてこんなに幸せだと思う瞬間があっただろうか。
夏が好きなのではなく、この夏が好きなのだ。
風が吹けば髪がなびき、朝付けたコロンの香りがする。
細い自分の手足は光の反射で普段よりも白く見える。
私は高揚感の中にいる。
今が最高に幸せだ。
日差しをあびて白く輝くワイシャツに、風が吹くと中が少しスーとする短く切ったスカート、スラリと長い手足、サラサラな髪、自分のコロンの香り
私を愛してくれて愛している友人。
思った通りに進んで行く物事。
世の中こんなにちょろいものなのか、
意外となんでもうまく行くな。
通学電車の中でそう思った。
もっと白く、もっと細く輝いていたいなあ。
もっと私を愛して欲しいなあ。
夏は湿った匂いがする。
でも乾いた風がそれを補ってる。
私はもう直ぐ終わる。
そう思った。