人外転生狼として生きる道
「人は死ぬ時はアッサリ死ぬ」
だれかがそう言っていたが、実際にそうなってみると本当にあっさり死ぬんだな...。などと俺 保坂 智也は、車にはねられた衝撃で空を飛びながらだんだんと暗くなる意識の中で思った。
「.....きて.........おきて.......起きてください!!」
凛とした聞いていて気持ちの良い声を聞きながら智也は意識を覚醒させた
「ここは...?」
周りを見渡して見ても先程声を掛けてくれたであろう女性以外見当たるものは無い真っ白な世界にいた。
「やっと目を覚ましましたか、私はあなた達の世界でいうところの女神です。私は死者の魂を新たな輪廻へと導くのが仕事のいわゆる、輪廻女神です。貴方は先ほど車に跳ねられて不幸にも亡くなってしまいました」
そう言われて寝ぼけていた意識が一気に覚醒した
「え?俺は死んだんですか??」
俺は言われたことが呑み込めないでいた。なにせまだ16歳でやり残した事も沢山あるし、友達とこれから遊ぶ約束もしてたし、彼女も作ってないし、なんならDTも卒業してない。色々とやりたい事もあったので俺は言われた事を信じたくなかった。
「はい、貴方は居眠り運転で暴走した車に跳ねられて即死でした…。 そこで貴方に相談があるのですが、私の選択した世界に転生してくれるのであれば今の記憶のまま異世界に転生することが出来ます。いわゆる異世界転生ですね。どうですか?転生しませんか?」
どこか軽いノリで提案してきた女神様、異世界転生....俺も年頃の男の子だから小説なども読むし、異世界転生ものは好んでよく読んでいた。だから憧れるかと聞かれたらもちろん憧れるし行ってみたい。だけど危険だと相場が決まっているから行きたくないという気持ちもある。
「貴方が心配していることなど私が解決してあげましょう!」
自称女神様があまり豊満と言えない胸を張って自信げに言った言葉に俺は驚いた。
「貴方今失礼な事を考えたでしょう...? まぁいいわ私が貴方に合うスキルを三つ選んであげましょう。しかもそんじょそこらの人が持っていないような超激レアなスキルをあげます! できれば転生した異世界で魔王を倒してほしいのです」
だいぶまた物騒な名前が出てきたな...魔王とか俺が倒せるのかな? まぁ女神様がすごいスキルくれるって言うし無理だったら諦めるか!
「心の中を勝手に読まないでください... まぁ女神様がそう言うのなら行きたいです。ですがその魔王というのはどのくらい強いのですか?俺でも倒せるんですか?」
「まぁ勿論 魔の王と言うのですからとてつもなく強いですが私があげるスキルを使えば勝てなくない相手ですよ」
などと簡単なことを言ってくるがだったら女神様が倒せばいいのに... って思ってしまうのはきっと俺だけではないだろう。
「私は輪廻を司る神ですから戦いは不向きなんです! 男の子なんだからつべこべ言わずに転生するんだったらこっちに来て頭を前に出しなさい!」
また心の中を読まれてしまった、まぁここに居てもしょうがないから女神様に従うか... などと思いながら頭を女神様の方に差し出す。
「そう、そのままじっとしてて....
【輪廻を司る神が命ずる その魂を新たなる肉体に宿し生を授かれ】」
女神様が魔法の詠唱をした途端に俺の意識がまた暗闇に落ちていく感覚にとらわれた、薄れゆく意識の途中で最後に女神様が「次に目が覚めたら【ステータスオープン】と言ってみなさい」と聞こえた気がしたところで俺の意識は完全に途絶えた。