時計の針は、止まることを知らない
15話です
「やられた……まさかイデスが来るとはね、」
クロノスは悔しさと悲しさが混じった顔でそう呟く。
そうしている間にも地震は大きくなっていった。
「おい!どうにか助かる方法は無いのかよ!」
どうなってるんだ。やっとクロノスを倒したっていうのに……
「このままだと君も死ぬよ……早く逃げた方がいい。」
「ふざけんじゃねぇ!ここにはマーティやグリン、沙月がいるんだ!一人だけ逃げてたまるか!」
そうだ、俺はみんなを守るために戦った。こんなところでみんなを死なすわけにはいかない。
それに、
「クロノス!お前も行くぞ!」
クロノスは目を見開き僕を見る。
「なんで、そんなことを言うんだ、僕は敵だよ?」
「知るかそんなもん!俺は、俺の手で死ぬ奴を見たくはない!」
クロノスは顔を上げる
「お前……泣いてんのか?」
「!?、僕が涙を流すとは……いつぶりだろうね。
やっぱり君は面白いよ。ただね、その甘さは戦場では命取りになる。僕を置いて、早く逃げろ!」
クロノスの悲痛な叫びが響き渡る。
「なにか、何か無いのか!この場からみんなを助ける方法が!」
クロノスは微笑むと
「そこまでしてみんなを助けたいんだね。……いいよ、力を貸そう」
クロノスの体が光始める
「今から僕はこの地を、この命を持って止める、その間に君たちは逃げろ」
「そ、そんなの!」
「みんなを助けたいんだろう?ならやることは一つじゃないか、君はこんなところで死んでいい人間じゃない。」
ーー本当は僕も君たちの冒険を見たかったけどね。
さぁていつまで持つかな。
「ーーーーーいくよ。」
《永遠の刻》
辺りが一瞬モノクロの世界になった。
そして、
「あ……あぁ……クロノスが……止まってる……」
そこには傷だらけのクロノスの姿、気のせいか微笑んでいる顔をしていた。顔には涙の跡が、そして何も話すことはなかった。
「ば、馬鹿野郎……」
気づくと辺りは静かになっていた。
この地の時が止まったのだろう。
「みんな、行くぞ!」
俺たちは振り返らずに走り出した。振り返るといつまでもその場にいてしまいそうだったから。
ーーーーーしばらくすると巨大な爆発音が鳴り響いた。まるで巨大な叫びのように、
16話で会いましょう