芳香のロマンス
あれを一緒に踊りましょう
テンポが跳ねる爽快の踊り
からからと真夏日の今日
ふるまわれたラムネは氷入り
ビーズで描いた風景のよう
パートナーとして美青年の隣
彼の名前はフレグランス
左手には淡い色のエメラルド
曇りのない笑顔に口紅
他愛のないステップはさやかに
彼をそのまま表すダンス
右足から華やかに開く輪舞曲
光のない北側の窓でも咲く
迷いのないリードで笑みを振りまく
これも一緒に踊りましょう
ランプが燃えるポプリの踊り
ころころと霜が遊ぶ今日
古めかしい暖炉の煤を取り
孤独を焚いてお茶を飲もう
ワーグナーをかけて落ちる眠り
あなたの名前は名無しのエリカ
荒野には淡い色のアメジスト
ほころんだ口元にハーモニカ
ところどころ音を外すオーケストラ
あなたは裸足で駆け出した
大空まで軽やかに歌う独唱者
衣をなびかせるいたずらな風と
子供のようにひたすらなタクト
そして一緒に眠りましょう
灯を消して闇のまにまに
どうして一緒に眠れましょう
鼓動の速さで踊っているのに