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『ショパンへのオマージュ』“愛する姉上様”  作者: 大輝
第21章《バレンタイン》
21/22

愛する姉上様21

【オルフェウス学院 星の教室】


〈星が登校して来る。鞄から教科書を出して、机に入れようとするが、何かに引っかかって入らない〉


「あれ?」


〈机の中を覗く星。中からプレゼントの包みを取り出す〉


「星。お前いくつ貰った?」


そうか、今日は、2月14日だった。


「わからない」


「いったい、いくつ出て来るんだ?」


〈机から全部取り出す。数える健人〉


「1、2、3…15、16…ガクッ…すでに負けた」


「勝ちとか負けとかって、有るのか?」


「ま、まあ、帰りまでには…」


〈チョコを抱えてロッカーに行く星。扉を開けると、ザラザラと滝のようにチョコの包みが落ちてくる〉


「あ…」


どうしよう、こんなに…また叔母ちゃまに食べてもらうかな?


〈チョコを集める星。女の子の靴が見える〉


「あの?城咲君これ」


「ああ…ありがとう」


「おい、ちゃんと並べよ」


健人の奴…


〈チョコを持った女子生徒達を並ばせる健人〉


「勝負有ったな、健人」


「まーだ、わかんないぞ」


「義理チョコとか友チョコとか、やめれば良いのにな」


「酷ーい、城咲君。義理じゃないわよ」


「酷いです」


「本当酷い」


「ごめん…失言」


〈そして、昼休み〉


【カフェ】


〈ランチを食べる星、健人、涼太〉


「はい、チョコ」


晴香もか…


「ありがとう」


「はい、橘さん」


「お、おう、サンキュー」


「はい、花園さん」


「え、私も?ありがとう」


「何か…星のだけ違う気がするぞ」


「え?」


「あら、本当」


「気にしない、気にしない」


「気にする!」


〈晴香にドンとぶつかる、女子生徒〉


「きゃっ」


「ちょっと失礼。はい、星さん」


「わー、これはまた大きなチョコ」


「ありがとう、一条さん」


「あの、城咲さん」


「あ…ありがとう」


「あら、中等部の子達も」


「あらー、こんな小さい子まで」


「ありがとうね」



「くー、まだ、負けは認めないぞー」


「あのなあ、だから、勝ち負けが有るのか?」


「橘さんは、いくつ貰ったんですか?」


「まだまだ、勝負は放課後までだ」


〈そして、放課後〉


【裏庭】


「あ、やっぱりここに居た。城咲君」


桜井さんだ。


「はい、これ」


「ありがとう」


「皆んなーここに居るわよー」


「大学の人達まで…」


〈後ろの集団に押される菜々〉


「あっ…」


(2人っきりの時にあげれば良かったわ)


〈チョコの山に埋もれる星〉


「星ちゃん。家までどうやって持って帰るの?」


「どうしよう…?」


「食べ物ですからね、学校に置きっ放しはダメですよ」


「そうだね…」


こんな日に限って姉上は来ないし…


居たら車で運んでもらうのにな。


「罰ゲームだ。俺が運んでやるか」


「何の罰ゲームだか…でも助かるよ」


「私も手伝うわよ」


「私も」


【城咲家の隣 叔母の家】


「叔母ちゃま、今年も食べて」


「あら、星ちゃん。今年も沢山貰ったわね…手伝うわよ。全部は無理だけど」


「ありがとう」


「女の子の気持ち無駄にしたらダメよ。自分でも食べなさいね」


「はーい」


【城咲家のリビング】


「先生こんにちは」


「お邪魔します」


「こんにちは」


「皆んないらっしゃい」


「星さん、これ、どこに置けば良いですか?」


「ここで良いよ、ありがとう」


「あらあら、随分沢山頂いたわね」


「半分隣りに置いて来た」


「じゃあ、これ…いらないかしら?」


「え?あ、いるいる」


これが一番嬉しいかも?


「フフフ。星君の好きなホワイトチョコにしたのよ~」


「だけど、弟にチョコって…他にあげる人居ないの?」


「居るわよ、沢山」


僕は、ついでかい。


「先生からチョコ貰えるなんて、幸せな人達ー」



インターホンが鳴った。


来客みたいだ。


姉上が出て行った。


玄関で声がする。


「どうぞ~」


「失礼します」


2人が来た…


「え?!」


「わあ…」


〈固まる涼太〉


み、美月さんだ。


今日来るなんて…


姉上の「言ってなかったかしら~?」が、また出そうだ。


「お久しぶりね、星ちゃん」


「お久しぶりです」


「小学生の頃に有ったきりね」


「そうですね」


「敬語は、ちょっとよそよそしいわね」


「今年の日本公演で、共演するとは聞いてたけど」


「それで、今日は、合わせにお邪魔したの」


「言って無かったたかしら~」


出たよ、いつものやつ…


「皆さん、星ちゃんのお友達?」


「はい!」


涼太が興奮気味に返事をした。


「彼、ヴァイオリン弾くんだ」


「そうなの?あ、良かったたら聞いて行って。良いわよね?陽さん」


「美月ちゃんが良いなら、私は構わないわ~」


〈微笑む陽〉


「良いんですか?是非是非」


「わあ、素敵ー」


「え?俺も良いんですか?」


「勿論」


〈微笑む美月〉


「皆んな~こっちへいらっしゃ~い」


「はい!」


皆んなレッスン室に移動する。


「あ、そうだったわ。星ちゃん」


「うん?」


「はい、これ。ホワイトチョコの方が好きって聞いたから」


「わあ、ありがとう」


これは、凄く嬉しいぞ。



「これって、義理チョコ?」


「え?そういう事聞く?」


「他の人にあげたの?」


「弟にあげたわよ」


義理チョコだろうけど、これは凄く嬉しいよな。


本命…居るんだろうか…?


【レッスン室】


〈ヴァイオリンを出す美月。ピアノの前に座る陽。美月のチューニング。目をウルウルさせる涼太〉


(こんな風に聞けるなんて…何て幸せなのかしら…)


〈演奏が始まる。曲はシュニトケのヴァイオリンソナタ第1番〉


当たり前だけど、僕の演奏とは全然違う。


僕が何百年練習したって、こんな風には弾けない。


(俺…何だか今、凄いもんを聞いてる気がするぞ)


(私もいつか、こんな凄い人達と共演したいなー)


ピアノとヴァイオリンが会話してる。


この2人は、宇宙にたった一つの太陽と月。


僕は、沢山有る星だから…


【星の部屋】


「何かさ、俺、演奏会で聞くより凄いもん聞いちゃった気がする」


「あー私、まだ興奮してるー」


「こんな風に聞かせてもらう事って、中々出来ないものね」


「僕も、普通は遠慮するんだけどね」


「聞いて良い、って仰るんだもの、びっくりしたわよ」


そして、2人の演奏会は、沖縄から始まった。


僕達は、東京公演に行く事にしたんだ。


早く来ないかな…


【オルフェウス学院並木道】


「城咲君。今帰り?」


「うん」


「一緒に帰ろう」


【校門の外】


「城咲先生、今日九州でしょう?」


「そうだね」


「ご飯は、どうするの?」


「いつもの洋食屋さんに行こうかな」


「私、作ってあげましょうか?」


「え?でも」


作るって言っても…


姉上の留守に、女の人と家で2人なんて嫌だしな。


「後でメールするわね、じゃあね」


「あ、うん。じゃあ」


うん…って言っちゃった。



【城咲家のキッチン】


「はい、どーじょ」


〈猫にご飯をあげる星。ご飯を食べるフレデリク、ニコロ、アマデウス。携帯の通知音〉


メールだ…桜井さんから…


ご飯が出来たから来て…って。


行くのか?


【菜々の部屋】


「どうぞ、上がって」


「失礼します」


誰も…居ないよな…やっぱり。


「あ、これ、どうぞ」


「あら、ここのケーキ美味しいのよね、ありがとう。後で一緒に食べましょう」


来ちゃったけど…


「座って」


〈テーブルには料理が並んでいる〉


「まだお酒は飲めないから、コーヒー?」


「あ、ごめんね。僕コーヒーアレルギーなんだ」


「あら、知らなかったわ。じゃあ、紅茶?」


「うん」


「コーヒーアレルギーも知らなかったし、私まだ、城咲君の好みとかも良く知らないのよね」


(でも…これから少しずつわかっていけば良いんだわ)


「クリームパスタは?」


「うん、こういうの好き」


「良かったわ。食べましょう」


「頂きます」


「どうぞ」


「あ、これ美味しい」


「良かった。本当はね、ドキドキしてたの。だって、城咲君お料理するでしょう」


桜井さんの料理は、本当に美味しかった。


そして、ケーキと紅茶…


「あ、カザルス先生のCD」


「城咲君も好き?」


「うん、好き」


「こっちにも有るわよ」


〈菜々は、CDを持って星の隣りに座る。CDを見る2人。肩が触れ合い手が重なる〉


あ…微かに…お化粧の匂い?


どうしよう…ドキドキしてきた。


姉上以外の女性と、こんなに近くに居るなんて…


しかも2人っきりって…あまり経験ないからな…


「どれ聞く?」


「バッハの無伴奏チェロ組曲」


〈CDをかける菜々〉


「バッハって、天上の音楽だね」


「そうね。2人で、雲の上に行きましょう」


雲の上って…?


「バッハ聞いてたら、こんな時間に女性と2人っきりでも、変な気にならないよな。何だかバチが当たりそうで」


先に言っちゃった。


「じゃあ、他のにする?」


「え?いや…」


他のって…


「今日は、もう帰るよ。ごちそうさま」


【マンションの前】


フー…


僕だって男なんだからな、危ないだろ。



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