仕事場所へ
ついに・・・主人公の名前が明かされる!?
目が覚めるとそこは、雲の上だった。
白い袴を着て、木の杖を持ち、白いあごひげを蓄えた老人がいた。
老人が口を開いた。
「さぁ、人間道の呪縛から解放されたぞ。 頑張りなされよ。」
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「ちょっと待ってください。 状況が理解できないんですが・・・」
「何が理解できない?」
「さっき寺みたいなところにいたのに、ここ雲の上じゃん。」
「確かに雲の上だ。 何が理解できない?」
「どうやってここに来たんですか?」
「企業秘密だ。」
「何でですか? 教えてくださいよ。」
「じゃあお主は、帝国ホテルのカレーのつくり方を聞いて「企業秘密だ。」と同じように言われても、まだしつこく聞くのか?」
「たとえが微妙だな。 それに帝国ホテル行ったことねぇよ。」
「人間道の天の川銀河の太陽系の地球星の日本国に住まうものは帝国ホテルが好きと聞いておたが・・・」
「長いなおい。 それ小学生が自分の住所答えるときに使うやつだぞ。」
「なぜ住所を省く必要があるんだ? 正しい住所を表記せい。」
「なんか説教されたし・・・ いやそうじゃねぇ。 人間道ってなんだよ。」
「そんなこともわからんのか・・・ 説明するぞ。」
~人間道の説明~
「ここは神の世界だ。 神界と呼ばれている。 その周りには六つの<迷い>の世界がある。」
「迷い?」
「あぁ、そうとも。 それらの世界はそれぞれ<人間道><天道><地獄道><畜生道><修羅道><餓鬼道>と呼ばれている。」
「地獄とかあるんだな・・・」
「お主は<人間道>にいた。 人間の世界じゃな。」
「なんで人間だけ特別扱いされてるんだ?」
「まぁ詳しく解説する。 人間道は人間が住む世界で、四苦八苦に悩まされる苦しみの大きい世界だ。 苦だけでなく楽もある。 唯一自力で仏教に出会える世界で、解脱し仏になりうるという救いもある。」
「おお、なんかすごいな。」
「ほかに質問はないか?」
「さっきと違って色々と聞けそうだな・・・ まぁでもこう言われると聞きたいことがないな・・・」
「じゃあ説明したいこと説明していいか?」
「説明って何をですか?」
「仕事の説明だ。」
~仕事の説明~
「やってもらうことを簡潔に言うとふるい分けだ。」
「ふるい分け?」
「それぞれの世界から来た願い事をその対象の今までの善行や悪行でランク付けしてもらう。 願い事を叶えるのは神の仕事だ。」
「ほうほう。」
「膨大な量の願い事が来るからな。 働いているのはお主だけではないぞ。」
「はいはい。」
「それぞれの世界からやってきた者たちだ。 意思疎通はできるから安心しなさい。」
「地獄の鬼とか来ないよな・・・」
「賄いと住むところはちゃんと与える。 今来ているその服が制服だ。 服はそれだけしかないから、仕事中も寝ている時もずっとその服を着ていなさい。」
「汚くないですか?」
「この世界には汚れが存在しないから、大丈夫だ。」
「なんかそれロマンチックだな。」
「ここは神界じゃ。 本来ならもっと喜んで欲しい。 お主はドライな人間だな。」
「今になって喜びが溢れ出してきた。」
「真顔でそれを言うのはやめなさい。 仕事部屋へ案内するぞ。」
仕事部屋へ案内された。
中には6脚の椅子があった。
それぞれが壁の方向を向いている。
壁にはモニターのようなものが複数ついている。
これで仕事をするようだ。
椅子と対応している机もある。
中には5人・・・と読んでいいのかわからないが5人いた。
人間ではない者たちだった。
「やぁ皆の者。 新しい仲間を紹介するぞ。 人間道出身の斉木 瞬君だ。 仕事とか教えてやってくれ。」
「三話目にしてやっと主人公の名前が明かされたな・・・」
「給料はお主の世界で使われている暦で言う一ヶ月ごとに支払われる。 困ったこととかは彼らに聞いておきなさい。」
そう言って老人はどこかへ消え去った。
「皆さんよろしくお願いします。」
・・・
しばらく沈黙が続いた。
「あれ意思疎通できてますよね?」
・・・
誰かが口を開いた。
「使えなさそうな奴が入ってきたな。」
「あぁ、こんなやつ入れるくらいなら俺らだけでやったほうがいいぜ。」
「うちさ、コイツに教えるのめんどくさーい。」
「同感だ。」
「まぁまぁ、そんなこと言わずに。 退職届の書き方を教えてあげましょうよ。」
五人が口を揃えてこう言った。
「「「「「ようこそ。 どれだけ耐えられるかな・・・」」」」」
ブラックバイトですね。
主人公の名前も明かされましたね。