バイト見つけました
はじめましての方ははじめまして
このお話は連載小説です
最後までお付き合いいただけたら幸いです
俺は人生に絶望していた。
大学を出て、大手企業に就職したものの、その企業が倒産した。
仕事を探し回り、安い給料だが何とか職を見つけた。
アパートで独り暮らしをしていたのだが、そのアパートは火事で全焼した。
金をため、新しいところへ引っ越そうとした矢先、友人が借金から夜逃げをし、連帯保証人だった俺に返済の義務が来た。
せっかくためた金を全部使っても、返しきれなかった。
会社に借金取りが押し掛け、せっかくの働き口もつぶされた。
父親が浮気をしてどこかへ行き、母親も蒸発した。
実家もいつの間にかなくなっていたため、帰る場所もなかった。
兄弟もいない。
親友もいない。
住所不定の一文無しに働ける会社などなかった。
日雇いバイトで小銭を稼ぎ、ネットカフェで寝る。
生きている意味というものが分からなかった。
まだ28歳だというのに・・・
今日もまたただただ生きていくためにバイトを探していた。
バイト求人雑誌をもらいにコンビニにいく。
雑誌に目を通した。
素晴らしい条件の求人はなかったが、贅沢は言ってられない。
電話をかけるため、公衆電話のもとへ行った。
公衆電話のボックスに入る。
財布から金を取り出そうとして気が付いた。
もう・・・金がないのだ。
市役所に行けば何とかなるだろうと思い、市役所のもとへ行った。
道中に古い木造の民家があった。
今まで何回かこの道を通ったがこのような家は見たことがない。
だがこの家の感じからして、だいぶん前からあったようだ。
表札はない。
表札が本来あるべき場所に張り紙があった。
[求人募集中 住み込み 賄あり 時給10000円 詳しくは中で]
家がない、食べていくのにも大変。
こんな俺にとってはとても素晴らしい条件だ。
だがそれ以上に素晴らしい条件がある。
[時給10000円]
今までのバイトで見たことがない。
よっぽど危険な仕事なのだろうか。
でもそんなことどうでもよかった。
民家のドアを開け、中に入って行った。
玄関のすぐ先に居間があった。
居間には机と座布団がある。
机の上に手紙があった。
手紙にはこう書いてあった。
[光明蓮華と唱えよ]
バイトの面接なのだろうか。
とりあえう唱えてみることにした。
「光明蓮華!」
あたりが白い光で包まれた。
目が覚めるとそこは、寺の本堂のようなところだった。
お坊さんのような老人がいた。
老人が口を開いた。
「よくきたのぉ。 今から君は神じゃ。」