ゲーム少女
ー放課後ー
桜場高校2年3組、団野リツコは、コクられていた。
「団野さん、前から君の事が好きでした。僕とつきあってくれませんか?」
告白している男は、さわやかなイケメンである。
「またか・・・今月、何人目だ?まいった。まいった」
団野リツコは、美しかった。まだ高2だが、松嶋菜々子似の、正統派、王道の美人である。
「・・・あなたは、ゲーム好きですか?」とリツコ
「ゲーム?いや、僕はゲームより体動かすほうが好きで、サッカー部に入ってるけど・・・」
「あー、そうなんですか・・・そーか、そーか、ふーん」
立ち去ろうとするリツコ。
「あの、団野さん、返事は?」
リツコは振り返り、
「ごめんなさい。私、ゲームが好きなんです。だからゲームが好きな人じゃなきゃ合わないと思うの。だから、ごめんなさい」
とリツコは一礼してその場を立ち去った。
ー次の日・2年3組の教室・朝ー
リツコと友達のリカが話している。
「ねぇ、ねぇ、聞いたわよ!昨日、あなたサッカー部の吉田君ふったの?ほんと?」
「ふりました」
「し、信じらんない。あの吉田君ふるなんて・・・」
「だって、ゲームやんないって言うし。私、モンハンのハントランクが自分より下の男に興味ないの」
「モンハン?ゲームなの?」
「そう、モンスターハント。今、はまってるの」
「あ、そう」
とリカは呆れたように言った。
「ちょー面白いから、あなたもやんなさいよ。絶対はまるから。私、極めようと思ってるの!」
「やんないわよ。私はガッツリしたゲームに興味ないの。スマホのかるーいゲームを、ちょこっとやるぐらいで十分満足してます」
「あんた人生損してるなー」
「いやいや、あんたに言われたくないわ。せっかくカワイイ顔してるのに、男も作んないでゲームばっかりしてる、あんたに」
「いーや、あんたが損してる」
「いや、あんただ」
「いーや・・・」
とリツコとリカが、ペチャクチャ喋ってるうちに朝の朝礼の時間が来た。
「ねぇ、ところで今日、転校生がくるんだって?男?女?」
「そうそう、男の子らしいわよ!楽しみー!あーイケメンだったらいいなー」
「あー私よりハントランク上だったらいいのになー」
ー朝礼ー
先生が教室に入ってくる。
「みなさん、おはよう」
「おはようございます」と生徒達。
「えー、まずお知らせがあります。みなさんの中には知っている人もいるかもしれないが、今日、転校生がこのクラスに入ってきます」
「そうなの?」「マジ?」という声もちらほら聞こえる。
「君たちの新しい仲間だが、転校生というのは不安でいっぱいなものだ。だから君達のほうから積極的に話しかけて、温かく迎えてやってくれよ。よろしく頼んだぞ。えー、それでは早速、村田君入って来なさい」
「はい」と教室の外から返事がした。
入り口を見つめる生徒達。
教室の戸が開き、村田が入ってきた。全身をモンハンのシンオウシリーズでかためている。それは明らかにコスプレの域を越えていた。
ざわつく教室。
「な、なんだ、あいつ!?あいつ、なんだ!?頭おかしいんじゃねーか!?」と話し声がする。
「モ、モンハンの・・・マジ?」とリツコ
村田は、教壇の隣までゆっくり歩き、仁王立ちでクラスメイトの方を向いた。その顔は自信に満ちあふれ、何かをやり遂げた男の顔をしている。なんか変なオーラも出ている。
「えー、皆さん。村田君は、モンスターハントというゲームが得意だそうです。ハントランクというのがMAXで、モンスターハントを極めたそうだ。ちょっと変わった格好をしているが、先生は何か極めたのなら、こんな格好してもいいと思ってるぞ。みんなも何か一つの事を極めてみるのはどうだ?とりあえずモンスターハントをして、村田君みたいに極めるというのもいいな。こんな身近に手本があるんだからな。ハッハッハッ」
と先生が言うと村田は、
「ぷっ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ」と笑った。
(おいおい、先生、冗談きついぜ。無理に決まってんじゃねーか。バカヤロー)というような笑いだった。
ドン引きするクラス。
唖然とするリツコ。
そして、リツコは隣の席のリカに言った。
「リカ・・・私、あの人とつき合う!!」
第1話 完
(第2話があるかどうかは分からないのです)




