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ラッキーキャットウォーク  作者: もんかる
第一話【トラジという名前の猫】(シズネ編)
5/17

⑤トラジは「黙ってろ」を覚えた

 いつの間にやら眠らされてたみたいだ。

 目が覚めるとそこは小さななケージの中。ケージというか檻という方が正しいような感じだ。

 どうでもいいけどお腹すいたなぁ。


『目が覚めたようだな。明日、お前を高値で買いたいと言っている商人に引き渡す。それまで大人しくしてな』


 ケージの目の前には赤髪の男が見下すように俺を見ていた。なんか言ってるようだけど、まるでわからない。

 ただ、その態度から察するに、俺は歓迎されてないらしいことは感じ取れた。

 このままじゃご飯をくれない!


「ご飯よこせー!」


 赤髪の男は俺を強く見下して、まるで黙ってろとでも言いたげにしている。


「理不尽だー! ご飯をよこせー!」

『黙ってろ!』


 今! 今のは絶対に黙ってろ! って言ったよね! ちょっと怖かったし……。

 なるほど、人間の言葉で黙ってろはあんな感じで言うのか。

 ひとつ言葉を覚えさせて頂きました。

 もちろん俺はかしこい猫だから、これ以上騒ぐと逆効果になって痛めつけられる可能性があることがわかってるんだよ。

 だから素直に大人しくなります。

 でも、こんな小さなケージの中じゃ身体を舐めることくらいしかすることがないじゃないか。

 ヒマだから赤髪の男を観察すると、スーツをきっちりと身に纏っているが、そこからでも筋肉質とわかるようなでかい身体をしている。さらに、左頬に傷があり、手にはなぜか黒いゴム手袋(匂いでわかる)をはめていた。

 赤髪の男は俺が静かになるとあっさりと部屋を出ていった。

 部屋を見渡す。

 暗いけど見えちゃうのが猫の目。

 どうやらこの部屋は倉庫らしく窓がない。

 そして置いてある物に一貫性がない。

 絵画だったり、食糧だったり……食糧だと!?

 たしかに目の前には野菜やベーコンなどが綺麗に並べられている。

 なんてことだ……食糧を目の前にして、俺は何をすることもできないのか!

 ん? そもそもなんで俺はケージの中に入ってるんだ?

 さっきはお腹がすいたことが優先されてどうでもいいとか思っちゃったけど、おかしいじゃないか。

 ただ歩いていただけ(住居不法侵入)で、こんな仕打ちがあるなんて!

 俺があまりにイケメンだったから飼いたくなったということなのか?

 いや、それならとっくにご飯をくれて頭を撫でてくれているはずだ。

 じゃあどういうことだ。

 ……そうか!

 周りには食糧がある。ということは、俺も食糧として確保されたということなのか!

 もしそうであるなら、必ずご飯が出るはずだ。なぜなら、太らせて食べた方がおいしいに決まってるからだ!

 そうかそうか、ならもうちょっと待ってればご飯をくれるんだろうな。


 ゴーン ゴーン


 時計の鳴る音をは三回目だ。いっこうにご飯をくれる気配はない。


「飯をくれー! 頼むー! 死んでしまうよー!!」


 叫んだ瞬間だった。

 トンっとなにかが地面に着地する音がした。


「あら、君は……」

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