ポニーテールとシニョンとツインテールと三つ編み
病室のベッドで髪を伸ばし始めてから、気づけば2年。
ようやくゴムやヘアピンで髪を結える長さになりました。
ポニーテール、シニョン、ツインテール、そして三つ編み——。
憧れだった「髪型のアレンジ」に奮闘する、ささやかで少し特別な日常のお話です。
どうぞ気楽にお楽しみください
髪を伸ばし始めてから、後ろ髪をゴムやシュシュやバナナクリップや簪などで結えるようになるまでの年月は、実に長かったような気がする。確か前回の入院前から伸ばしていたのだから、最低でもかれこれ2年ぐらいは毛先と前髪だけをちょいちょい切り揃えながら持ちこたえてきたのだ。
さあ、憧れの髪結いの儀式━━。
そもそもそれは、わたしに似合うのであろうか?
当時はそれが一番の不安であった。が、せっかく伸ばしたのだから、何のアレンジも試さずに放置しておくのも宝の持ち腐れだと思った。
それから、わたしの試行錯誤が始まった。髪型の問題は重要だ。
━━まずは基本中の基本、ポニーテール。してみると首の周りに掛かっていた乱れ髪はすっきりとまとめられ、印象も洗練される。、ポニーテールは馬の尻尾。
ボリュームある毛束が弧を描くように肩口に落ちる。
うまく髪をかき集めて緩みのない毛束を作る。それだけで髪まわりは、しっくりと来た。でもまだまだ。
━━まずは基本中の基本、ポニーテール。してみると首の周りに掛かっていた乱れ髪はすっきりとまとめられ、印象も洗練される。ポニーテールは馬の尻尾━━。
ボリュームある毛束が弧を描くように肩口に落ちる。
うまく髪をかき集めて緩みのない毛束を作る。それだけで髪まわりは、しっくりと来た。でもまだまだ。
お団子ヘアに挑戦してみることにした。お団子ヘアは、シニョンだ。
ポニーテールでまとめた毛束を、くるくると軸にして丸め込み、ピンで根元を固定していく。
最初は崩れやすかったり、毛先が飛び出したりと手こずったものの、手慣れてくると頭の後ろにきれいな丸みが出来上がった。耳の後ろや襟足の髪がキュッと引き締まり、ポニーテールとはまた違った軽やかで清潔感のあるシルエットが生まれる。首筋がすっきりと露わになり、顔まわり全体がパッと明るい印象に変わった。
「案外、悪くないかもしれない」
鏡の前で横顔や後頭部を確かめながら、髪を伸ばし続けてきた2年間の月日がようやく報われたような満足感を覚えていた。
さて、お次はさ、に難易度の高いツインテールだ。その名の通り、ふたつの尻尾を頭の横両側につくるよ。だ。
さて、お次はさらに難易度の高いツインテールだ。その名の通り、ふたつの尻尾を頭の両側につくるのだ。
左右対称に髪をふたつに切り分け、それぞれを耳の後ろあたりでゴムで結ぶ。鏡に映った自分の姿を見て、思わず吹き出しそうになった。
「……さすがにこれは、若作りが過ぎるか?」
幼さや可愛らしさが前面に出すぎてしまい、どうしても気恥ずかしさが勝ってしまう。けれど、ふたつに分かれた毛束が首筋の両側で揺れる感覚は、なんだか妙に新鮮で面白い。家の中限定の秘密のアレンジとしてなら、たまにはこんな遊び心も悪くないかもしれない。
そして最後は、本命とも言える三つ編み。
髪を三つの束に分け、交差させながら編み込んでいく。最初は後ろ手での作業に指先が迷い、右と左の力が均等にならずに歪んでしまったが、何度も編み直すうちにすっきりと整った一本の編み目模様が出来上がっていった。
肩の前に垂らした三つ編みの先を指先でなでる。少し崩してふんわりとほぐしてみると、上品で落ち着いた雰囲気が漂い、どこか懐かしく優しい気持ちになれた。
ポニーテール、シニョン、ツインテール、そして三つ編み。
あの日、病室のベッドで髪の毛先をいじりながら「いつか結えるようになったら」と夢見ていた未来に、わたしは今、たしかに立っている。
鏡の中のわたしは、少しだけ得意げに微笑んでいた。手元にある色とりどりのゴムやヘアピンを前に、明日はどの髪型で出かけようかと考える時間が、今のわたしにとって何よりのささやかな楽しさだ。
【了】
入院中の病室から始まった髪型探し——ポニーテールにシニョン、ツインテールに三つ編みと、いろいろ試す時間のささやかな楽しさを感じていただけたら幸いです。
どれもそれぞれ違った味わいがありますが、皆様はどの髪型がお好みでしょうか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました!




