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その6~7

「これで戸締まりは大丈夫。おまたせ、みんな」


 秋葉ねぇが家の鍵を閉めて門の前で待っている俺達に合流する。月陽と春音、俺と秋葉ねぇの小中学生組は途中まで一緒に通学しているのだ。なお高校生の冬歌ねぇは俺達より先に家を出ている。俺の見送りに一緒に通学できないことを涙を流しながらくやしがるのもいつものことだ。


 今日は俺と月陽、秋葉ねぇと春音の二組に分かれている。これが日によって秋葉ねぇと並んだり四人一緒にワイワイやりながら通学したりするわけだが月陽と秋葉ねぇが組むことはない。

 これは秋葉ねぇの”この世界の男を同じ人間としてみることができない”という異常性のせいなのだがそれが適応されない男の子に対してもやはり少々冷たい態度になってしまう。俺も二年ほど前まではそんなだったからな。また、月陽もそんな姉に嫌われたくないのか衣装やしぐさが女の子っぽいものになってしまった。この世界の女のような過激な格好で「夏樹にいさん、この格好どうかな?」なんてはじめて相談された日は我が目を疑ったよ。俺がなんとか説得してこの格好におさめたけど。

 俺は隣を歩く月陽を見やる。この世界ではなく俺の前世の女の子の格好をしている月陽は俺のラッキースケベが働くこともないので非常に安心してそばにいることができる。この世界の女性もこんな格好をしてくれればいいのにと思わず思ってしまった。

 この世界の女性は前世の感覚からしてまるで痴女のような格好をしている。そんなところにラッキースケベが起こったらどうなってしまうのか? 直です、直。いや、もう、ね? そうなると意識が一瞬フリーズして鼻血は出ないんだけど体が俺の意志に反して動いちゃうの。そして響き渡る艶声。からの時間差の鼻血ですよ。

 せめて服の上からならまだこちらの被害も少ないんだがなぁ……と学校での制服の上からのラッキースケベを思い返してそう思う。


7.


「ねぇ! キーくん! 春音ちゃんの胸をキーくんが育てたって本当!」


 秋葉ねぇがいささか興奮した面持ちでこちらに尋ねてくる。その手を春音の胸に添えて。……秋葉ねぇ何やってるの?


 詳しく聞けば胸は揉まれると大きくなるといううわさ話が春音のクラスで流行っているらしい。で、春音の胸がこんなに大きいのは俺が日常的に触っているせいだからとかなんとか……いや、まぁ確かにラッキースケベで日常的に触れ合っちゃいますがね!


「ただの噂話だよ、秋葉ねぇ。それに揉んでる頻度なら秋葉ねぇだって……」


 そこまで言ったところで自らの失言に気づき急いで秋葉ねぇに視線を合わせる。秋葉ねぇは目に涙を浮かべそれを零さないように口をへの字にしながら必死にこらえていた。これが俺の失言でなければ「涙をこらえてプルプル震える秋葉ねぇかわいい」と言ってられるんだが……


「どうせ……どうせ……私の胸は揉んだって育つほどありませんよ~~っ! うわ~ん。春音の胸なんてこうしてやる~」


 そう言って泣きながら春音の旨を揉みしだく秋葉ねぇ。いやぁ百合百合しいですなぁ。非常に眼福です。と後でこれを収めなければならないという考えを放棄し微笑ましい目で二人を見つめることにする。


「ねぇ、夏樹にいさん……僕なんだか最近おかしいんだ。ああやって女の子が楽しそうにはしゃいでるのを見ると胸がきゅ~っとするんだ。僕どこかおかしくなっちゃったのかなぁ……」


 その月陽のセリフを聞いた俺は驚きのあまり思わず飛び上がりそうになった。女の子を見て胸が締め付けられるということはそれはすなわち恋なのではないか? この男がみんな動物愛あふれる世界でちゃんと女の子を好きになるとは……俺のやってきたことは無駄ではなかったのだ、と月陽に説いてきた数々を思い返す。このまま俺が導いてやれば中学生に上がっても動物愛に目覚めることなく女の子を好きでいることができるかもしれない。

 俺は自らに課せられた使命を新たにし月陽のセリフを肯定してやる。


「そうだよな、ああやって女の子同士が楽しそうにしてると一緒に混ざりたくなるよな!」


 ところがそれを聞いた月陽はものすごい剣幕で


「何言ってるんだいにいさん! あんな綺麗なものの中に混じってそれを壊してしまうなんてとんでもない!」


 と言い放った。

 ……あ~月陽? お前ひょっとして女の子を好きになったんじゃなくて……性癖:百合に目覚めたのか?

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