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7、かんさつ日記1


 ○月☓日


 テオ様を観察するだけでは忘れてしまうので日記として記録しようと思う。


 そう決めたのにテオ様は学院に行った後だった。あ、テオ様を学院に送ったフリッツさんが帰ってきた。そういえば、フリッツさんは夕方にテオ様を迎えに行くまで何をしているのだろう?観察してみようかな。


 今日のフリッツさんは、私やウータさんとお茶して一階のぬいぐるみ店に行って、お昼ごはんを食べたらお昼寝してテオ様のお迎えに行った。他の日は部屋の掃除や修理や買い出しもしていた。私が初めてこの部屋に来た時の自己紹介で、ここにいる間は何でも屋さんだと言っていたけど、本当にそうかも。でも、公爵家に帰れば騎士一本だと言ってた。



 

 ○月□日


 今朝のテオ様は寝起きが悪かった。たまにあるそんな日は、ベッドに起き上がって枕を抱えてぼーっとしている。初めて見た時、それが何かの作法だと思って同じようにしたら、うっかりそのまま二度寝してしまった。

 目が覚めたらもう昼で、先に起きてたテオ様はシャッキリ、スッキリしててなんだか騙されたような気になった。だからそれ以来、テオ様がぼーっとしていたら先に一人で起きて、ウータさんのお手伝いをしている。こう見えて掃除は得意な方だ。


 掃除といえば、昨日踏み台に乗ってハタキをかけていたら通りがかったテオ様と目があった。いつもと違うなと思えば、目線が同じくらいになっていて、『テオ様、見てください、背が同じくらいになりました! テオ様の頭のてっぺんが見えます!』とはしゃいだら、そのまま抱え上げられてぎゅうぎゅうに抱きしめられて愛でられてしまった。

 嬉しかったけど、掃除の途中だったのに!


 


  ○月△日


 テオ様は読書が好き。いつも本を持ち歩いて空いた時間に読んでいる。


 この間、テーブルの上にぽんと置いてあったので、どんな本を読んでいるのかとこっそりめくってみたら、小さい文字がびっしりでクラクラした。

 書いてあることも私にはまだ難しかったのでそっと閉じて立ち去ったのだけど、次の日にテオ様が子供の頃に読んで面白かったという本を何冊か渡された。


 ・・・こっそり本を見たことが、バレていたのかも?


 テオ様と私は夕食後、寝るまで二人きりで三階の彼の私室で過ごすことが多い。私室といっても広くて大きな机と壁一面の本棚に加えて、ふかふかのソファとローテーブルがあって小さな居間みたい空間だ。


 テオ様おすすめの本は、文字が大きくて挿絵が多く私でも楽しく読めそうだったので、早速、ソファで読書中のテオ様の横に座って本をめくっていた。一生懸命読んでいたら、いつの間にかウトウトしていたらしい。


 目を覚ました時、視界いっぱいにテオ様の顔があった。そして、灰色のまつ毛が瞬いて薄青の瞳が柔らかく微笑んだ時の破壊力! 膝枕、という体勢は何だかとっても緊張すると知った。



 

 ○月○日


 お茶会が無事終わった。ウータさんに教えてもらいながら手配したお菓子や食事も楽しんでもらえたようでホッとした。

 ジャンニさんはぬいぐるみの種類が見分けられるようになったと嬉しそうだった。最初は全部同じに見えて困ったらしい。

 ロメオさんは子供達とようやく打ち解けられて、挨拶しても飛び上がって逃げられなくなったとほっとしたように言っていた。

 ルノーさんは食堂のお手伝いの人が怪我でお休みして手が足りないって言ってたから、早く誰か見つかればいいな。


 そういえば、お友達の皆さんをお見送りして、部屋に戻ったらテオ様とフリッツさんがいて片付けを手伝ってくれた。その後、テオ様と反省会という名のお茶をしたのだけど、テオ様は何故かずっと笑顔で私の口にお菓子を運んできた。この調子で体重が増えたら大変!

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


短めの若奥様の日記でした。彼女の日記、どれくらい続くかな・・・。私は続かない人なんですよねえ。


次回から第二章開始です。よろしくお願いいたします。


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