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3、歪曲

クソみたいだ。

そう考えながら俺は額に手を添える。

それから授業を受けながら窓から外を見る。

クソッタレ忌々しい。

マジにクソ忌々しいのだが。


「...」


俺は黒板を見る。

先生が計算式を書いているその姿を見つつ俺はシャーペンでノートを記載していく。

もういいわ。

こうなった以上は俺は...幸せよりも。

そんなものよりも勉強で大金持ちになって幸せになってやる。

そう考えながら俺は授業を受けた。



「おう。帰ろうぜ」

「ああ。智和。帰るか」


放課後になった。

俺は体操服を仕舞いながら立ち上がる。

それから智和と一緒に帰宅をする。

俺は部活動に入ってない。

その為、こうして帰宅する...のだが。

部活に行っている七瀬が心配だな。


「なあ。仁」

「なんだ。智和」

「今からカラオケ屋行かね?」

「あー。ちょうどいいや。俺、絶叫したかったから」

「だろうなって思って誘った」

「クソ食らえだわ」

「だろうなぁ」


そんな感じで歩いていると目の前の電柱から誰かが出て来た。

それは瀬本だった。

しつこいなこのクソ馬鹿。

俺は考えながら居ると「浮気した瀬本さんじゃないか」と智和が小馬鹿に声をかけながら瀬本を見た。


「何の用事ですか」

「話がしたい」

「無い。去ってくれるか。お前と話す事は何もない」

「...だ、だから...その」

「なんだってんだ」

「せ、性行為はしてない。あくまで...してない」

「それを信じろと。で。信じてどうなる?」

「お願い仁...わ、私は別れたくない」

「嫌だって言ってんだろ。俺は別れる。お前汚らわしいもん」


そして瀬本にそう言いながら俺は「帰るか。智和」と言いながら歩く。

すると瀬本が俺の肩を掴んだ。

それから「お願いって!!!」と言ってくる。

その手を払おうとしたのだが先に智和が俺より先に手を動かした。

「瀬本。俺は見損なった」と。

瀬本は「...と...智和くん...」と泣きそうな顔をする。


「...なんで俺が恋相手として仁を紹介してやったのにこんな真似をするんだ。...見損なった」

「そ、それは悪かったって。私は...それでも仁を愛する覚悟だから」

「冷えたって言ってんだろお前」

「冷えてないって。わた、私は」


すると背後から「見損ないました」と追加で声がした。

その声の主を見る。

八鹿だった。


「...しつこいですよ」

「八鹿ちゃん...」

「貴方の事、信頼していました。昨日まで」

「...」

「お姉ちゃん条約も破棄します」

「そ、そんな...今までお姉ちゃんって慕って...」

「知りませんよそんなの。貴方が悪いんですから」

「...」


泣き始める瀬本。

俺はその姿を見ながら「行こうか」と2人を連れて歩く。

そして瀬本を置き去りにしてから歩き出す。

八鹿もそうだが。

智和も複雑な顔をしていた。


「私、あくまで彼女を信頼していたんです」

「気持ちは分からんでもないよ。八鹿ちゃん。俺も信頼していたから」

「お姉ちゃんだって...思っていたのに」

「...俺も幼馴染って思っていたしね」

「最低」


八鹿は吐き捨てながら「...」と黙る。

俺はその姿を見る。

すると智和が「全部アイツが壊したな」と呟いた。

俺は「だな」と言う。


「...忌々しい」

「そうだな」


そして俺達は歩いてからカラオケ屋に行く。

迎えに来てくれた八鹿も参加した。

俺は失恋の歌を歌いまくって...気晴らしをした。

それから家に帰る。

すると電話がかかってきた。


それも一宮勇人から。



「何の用事だお前。状況は理解しているだろ」

「そうですね。状況はまんざら理解しています」

「お前死ねよマジに。なに俺の恋人を横取りしているんだ」

「僕は横取りしたとは思っていませんよ」


一宮とスマホで話す。

それから俺は部屋の中に鞄を置きながら椅子に座る。

そして「どういう意味だ」と問いかける。

すると一宮は「僕は可哀想だから拾ってあげただけです」と言葉を発した。

は?


「どういう意味か理解できないんだが。説明してくれるか」

「つまり簡単に言うと彼女は孤独だったんですよ」

「...」

「愛犬が死んでね」

「...知ってはいるがお前な。それで俺の許可なしに口説くな。クソだろマジに」

「僕はあくまで彼女が可哀想だから寄り添ったまでです」

「...」


その言葉に俺はスマホを握りしめる。

それから「寄り添って奪うな。お前のやった事はクソッタレ最低だ」と言う。

「それを言うなら彼女もですよ?」と言う。


「俺はだからお前も彼女もクソ野郎って言ってんの。お前死ねよマジに」

「死にませんって。仁さんも大概ですね」

「お前のせいだろ。ふざけんな」

「僕はあくまで彼女に寄り添ったまで。彼女が後は僕に沼っただけです」

「...この薄ら下種野郎が」

「アハハ。まあ何とでも言って下さい。それだけ魅力が無かったんですよ貴方は」

「...」


俺は「じゃあ」と言った一宮との通話を切ってからスマホをベッドに叩きつけた。

それから俺は沸き立つクソみたいなイライラの炎を燃やしながら唇を噛んだ。

そうしているとまたスマホに通知が。

しかし今度は七瀬からだった。


(先輩。大丈夫ですか)


そう聞いてきていた。

俺は「...」と立ち尽くすのを止めてからスマホをまた手に取る。

それから(ああ。...一宮と話したんだ)と書いた。

すると七瀬は(ですか。...外道でしょ?)と書いてくる。


(開き直った事ばかりでな)

(先輩。復讐しましょう。もう無理です。導火線に火が点きそうなんで)

(少し待ってくれるか。気持ちを落ち着かせたい)

(はい)


正直復讐する気は無い。

だが...だが。

怒りが収まらない。

確かにダイナマイトが爆発しそうだ。

心が虚無状態だ。

クソ!!!

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