三話
会話している途中で、彼女が街を見てみたいと言っていたので店などを見て回ることにした。20年ぶりに見たため、懐かしさを感じる。
「花梨さん、なんで異世界なのにデパートらしきものとか大型ショッピングモールとかあるんですか?……自動ドアまでありますし。」
「いや、異世界もそれなりに文明は発達してるよ。ラノベに影響受けすぎじゃないかな。それにこういうの建てているのは前世で凄腕の大工だった人だからね。」
「すごいですね……。でも、なんでゲームコーナーまであって、しかもVRが置いてあって日本よりも発展してるんですか……。」
「それは前世で超人気イラストレーターだった人と前世で器械方面に強かった人達の共同作品だよ。すごい人気なんだよね。私も持ってるよ。」
「なんで今さっき転生したばかりの花梨さんがVRゲームを持っているんですか。」
「前にこの世界に来たときに、家を建てて引きこもりみたいな生活を送っていたからね。」
「前に私に結構失礼なこと言っていた人とは思えませんよ。同志じゃないですか。」
「いや、私は20歳できちんと別の世界に転生したから大丈夫。」
「大丈夫じゃない気がしますが……それよりも20歳で転生したってどういう意味ですか。」
そういえばそのことについて話していなかったなと思い、私はこの世界での転生について話し始めた。
「この世界って、最低でも20歳まで生きないといけないんだよね。つまり、20歳まで何しても死ねないんだよ。この世界では何回かの周期でまた来ることができるんだけど、その間は正真正銘のラノベのような異世界転生ができるんだよね。チートみたいな。それで変わり者以外は暇つぶしと承認欲求を満たしに、死にたがるんだよね。そうしたら転生できるから。基本的にはこの世界以外には同じ世界に行くことは出来ない。だからこの世界には観光スポットが自殺できるところが多いんだよ。」
「転生魔法とかないんですか?正直引いたんですが。」
「転生魔法はないんだよね。前はそういうのがあったんだけど、神を介入してから転生しないといろいろバグみたいなのが起こるから。」
「バグ、ですか…。……いろいろ大変ですね。」
「いやまあ、大変なのは私じゃないけどね?というかもう昼頃だよ。レストランとかいいとこ知ってるから一緒に行こうか?」
「はい、すみません。お金とかあるんですか?」
「この世界にはお金とかないよ。」
「……はい?」