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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第弐拾章 苛烈氷界
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弐拾之参拾陸 救援

『リンちゃん、私! 私を優先してください! お願いします!!』

 東雲先輩と花ちゃんのどちらのサポートに回ろうかと考えていたところで、救援を希望する声が上がった。

『私、パワーアップしてないんです、正直きついです!!』

 あまりにも気持ちの籠もった花ちゃんの訴えに、確かに花ちゃんだけは『魔除けの鈴』の援護を受けていない。

 それに、志緒ちゃんも、舞花ちゃんも、結花ちゃんも戦い終えたタイミングで、パワーアップが切れていたけど、タイミングが良かったわけではなく、使い斬ったからだとすると、エネルギーの上乗せが必要だったんじゃ無いかト気が付いた。

 軽く東雲先輩の状況を確認して、花ちゃんに集中しても大丈夫だと判断した私は、エネルギーを花ちゃんの方へ移動させた。


 花ちゃんと黒い人型の戦いは、一方的ではあった。

 黒い人型の攻撃は花ちゃんに命中することは無い。

 一方で花ちゃんのクナイの攻撃は、百発百中と言っても良い高い精度で黒い人影に命中していた。

 そんな状況にも拘わらず、花ちゃんが救援を訴える。

 理由は簡単だった。

 何度も何度も黒い人型に攻撃を命中させているのに、その表面にほとんど傷が付かない。

 さらに、傷が付いてもしばらくすると、付けたはずの傷が塞がってしまうのだ。

「これって……」

 理由に思い当たった私の呟きに、リンリン様が『おそらく、主様の考えの通りじゃ』と同意してくれる。

 私の考えを読み取って意見をくれるリンリン様のやりとりは、当然ながら二人の間でしか成立しないわけで、一人取り残される格好になった林田先生が「どういうことか聞いても?」と戸惑いながら声を掛けてきた。

 そんな林田先生に対して、リンリン様が『くノ一の攻撃が通用していないのは『魔除けの鈴』による強化を受けられてないからでは無いかと主様が推測されたのじゃ』と返す。

「そういうことですか、なるほど」

 林田先生はそう言うと「つまり、くノ一……花子さんのサポートは『魔除けの鈴』の力を贈れば良いって事ですね」とさりげなく私のすべきことを示してくれた。

「林田先生、ありがとうございます!」

 私が素直にお礼を言うと、林田先生は少し戸惑った様子で「え、あ、いや、どういたしまして?」と疑問符付きの言葉を返してくる。

 その反応に少し噴き出しそうになりなったものの、気持ちを切り替えて、花ちゃんに魔除けの鈴の力を届ける方法を考えることにした。

「林田先生のアイデア、実行できるように考えてみます!」


 基本的には、魔除けの鈴はヴァイアの皆が使える能力になっていた。

 花ちゃんのそばで誰かに発動して貰う方法がまず浮かんだけど、そう簡単に実行するわけにはいかない。

 というのも、元々は『穢』を払う為の力だったのだけど、神格姿が神様に近い存在だからか、清めの力によってパワーアップできてしまった。

 問題となるのは、その効果が神格姿に近しい存在である『種』にも有効かもしれないという可能性である。

 範囲を清める今の使い方では『種』も巻き込んでしまう可能性が高かった。

『澱』の様に力を減衰させる方向に働けば良いけど、強化してしまっては花ちゃんも『種』も力を付けてしまって、状況は変わらない。

 加えて、もしも『種』の方が相性が良くて、力を増してしまったら、花ちゃんを窮地に陥れるだけになってしまうのだ。

『ならばいっそ、くノ一の身体に埋め込んではどうじゃ?』

 リンリン様の提案に、私は驚きのあまり「えっ」と声を漏らしてしまう。

 その後で恐る恐る「そんなことをして、大丈夫なんですか?」と尋ねてみた。

 すると、リンリン様は『拒否反応は無い……と、おもうのじゃが、自信は無いのじゃ』と申し訳なさそうに言う。

 危険がある以上、リンリン様のアイデアをそのまま実行は出来ないけど、まずは『魔除けの鈴』:を作ってみることにした。

 それを身に付けることで効果が出るようにしたら、多少は花ちゃんの助けになるんじゃ無いかと思う。

 対して、リンリン様は『効果はあるじゃろうが、常に鈴が鳴る状態では『種』にも影響が出るかも知れぬの』と口にした。

「確かに、鈴の音だと『種』にも聞こえて、影響が出るかも知れませんね」

 それでは意味が無いなと私が思ったところで、林田先生が「音が、あの黒いのに、聞こえなきゃ良いなら、イヤホンとか……じゃ、だめですかね」と言う。

『ふむ。耳に音を伝える機械か……多少は力になるかもしれんが、力を増すには耳から聞くだけでは足らぬかもしれぬ……全身に浴びせることが重要だと思うのじゃ』

 林田先生のアイデアに、リンリン様が残念そうに返した。

 対して、林田先生も残念そうに「耳だけでは意味が無いですか……骨伝導のようなものでも意味がなさそうですね」と軽い溜め息を吐き出す。

 けど、二人の会話を聞いた私には閃きが起きていた。

「EMS」

 私の口にした言葉に、林田先生が「……それって……筋肉に微電流を流して動かす機械……でしたよね?」と聞いてくる。

 次いで、私の考えを読んだリンリン様が『その機械で、魔除けの鈴の波だけを、くノ一の身体に流すワケじゃな!』と声を上げた。

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