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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第弐拾章 苛烈氷界
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弐拾之参拾伍 銀と白の雨

『マイ、一端、白い鳥居の方に戻ろう』

 結花ちゃんの言葉に、舞花ちゃんは『うん』と短く応えて、侵入するために使ったゲートへと向かって移動を開始した。

 恐らくかなりの力を消耗したのであろう舞花ちゃんと結花ちゃんは、バレエのチュチュのような衣装から、元々のドレス姿に戻ってしまっている。

 そんな二人がゲートを通るのを確認してから、未だ戦いを続けている三人に意識を向けた。


 残る『種』は黒い人型が二体、青い人型が一体で、東雲先輩と花ちゃんが黒、志緒ちゃんが青と対峙していた。

 私から見て、三者の戦いの中で、志緒ちゃんが一番疲労が大きそうに見える。

 他の二人に比べて、足が止まる気配が無いほど動き回っていた。

 私の出現させたレイピアを振るってくれているけど、元々、素手で戦っているイメージが強いので、そこも無理させてしまっているような印象がある。

 慣れない戦い方は、きっと志緒ちゃんに負担の筈だ。

 まずは志緒ちゃんを助けようと決めたものの、未だ具体的なフォローの方法は思い付いていない。

 せめて、すぐ形に出来るように、舞花ちゃんが地面に刺していった金行の槍と、透明を閉じ込めていた氷球をエネルギーの状態に戻した。


 空中に出現した巨大な水の球が地に落ちたことで、なぎ倒された木々を足場に、青い人型と志緒ちゃんは軽やかに追いかけっこを続けていた。

 左右の動きだけで無く、天に斜めに伸びた木に、逆さまに着地をして、上から下に向かって飛ぶ。

 互いに距離が近づけば一撃を放ち、紙一重で躱し合い、また距離を取るという戦い方を繰り返していた。

 どちらも決め手が無い。

 そんな拮抗した戦いが繰り広げられる中、突如、青い人型の周囲にアイコンが出現した。

 透明の攻撃を瞬時に連想したが、アイコンに表示された二文字が違うと主張する。

 それを認識した次の瞬間、自分でも驚く胃ほどの速度で、私はエネルギーの変換をしていた。

 間を置かず青い人型から放たれた電撃は、目標であるハズの志緒ちゃんには向かわない。

 一度具現化したことでコツを覚えた避雷針が、電撃を誘導していた。

 私の介入が予想外だったのであろう青い人型と志緒ちゃんは、一瞬、動きを止める。

 だが、逸れもほんの一瞬で、両者ともすぐに動き出した。

 それでも、志緒ちゃん方が僅かに早く、手にしたレイピアが、深く青い人影の胸部に突き刺さる。

 志緒ちゃんが攻撃を繰り出した一方で、青い人型の方は距離と取ろうと後ろに飛ぼうとしていたせいで、深く突き刺さってしまっていたレイピアが手を離れてしまった。

 直後、志緒ちゃんが『リンちゃん、おかわりっ!!』と声を張る。

「えっ」

 驚きで間抜けな声を出してしまった後で、何をおかわりしているのか察した私は「す、すぐにっ!」と返した。

 避雷針を元に戻すより、未だ余ってるエネルギーを変換した方が良いと考えて、志緒ちゃんの目の前に新たなレイピアを出現させる。

 直前の舞花ちゃんと結花ちゃんの活躍を参考に、青い獣同様、青い人型も金行を弱点とするだろうと考え、レイピアに金行の力が宿るように念じた。

 結果、二本目のレイピアは銀では無く純白へとなる。

『ありがっっとぉっ!』

 レイピアを掴むなり、身体を低くして、ツッコむように志緒ちゃんは駆け出した。

 後ろに飛んでいるだけの青い人型に、一瞬で追いついた志緒ちゃんは、白いレイピアを放つために身体を回転させて、思いっきり後ろに引く。

 接敵を許した青い人型は苦し紛れに電撃を放つが、元に戻さず、志緒ちゃんに随行させていたお陰で、逸らすことに成功した。

 その隙を突いて、白いレイピアを放つと思った志緒ちゃんは、なんと、足で思いっきり刺さったまんまのレイピアの柄を踏みつけるようにして蹴る。

 足によってより身体に押し込まれた銀のレイピアが、青い人型の身体を貫通して後ろから飛び出した。

 更にそのままレイピアの柄を踏み込まれ、青い人型は地面に縫い付けられる。

 そこへ怒濤の勢いで志緒ちゃんが純白のレイピアの雨を降らせた。

 金行の力が青い身体に突き刺さる度、そこを中心に円形に身体が弾けていく。

 短時間で何劇も放たれる度に、青い人型の体積は小さくなり、志緒ちゃんが最後の一撃を放ったとき、地面には銀と白のレイピアが突き刺さるだけで、青い人影は完全に姿を消された。

 怒濤の攻撃に、何も言えずただ見ていることしか出来なかった私は、志緒ちゃんが大きく息を吐き出すのを見て、ようやく自分が固まっていたことに気が付く。

 膝に手をついて息を吐き出していた志緒ちゃんが身体を起こしたときには、ネコスーツが端から光へと替わり、志緒ちゃんの姿は元の神格姿の姿ヘと戻った。

『私も一端、白い鳥居の世界に戻るね』

 そう口にした志緒ちゃんは、迷い無く一直線にゲートに向かって駆け出す。

 志緒ちゃんの無事を確認しつつ、私は二本のレイピアと避雷針をエネルギーに戻し、残る二人のフォローに入る準備を始めた。

 志緒ちゃんが無事にゲートをくぐり抜けたのを確認して、東雲先輩と花ちゃんの状況を確認する。

 東雲先輩はいつの間にか腕から刀のような形状の突起物を生やした黒い人型と切り結んでいて、一方の花ちゃんは、黒い人型と間合いを取りつつ対峙していた。

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