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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第弐拾章 苛烈氷界
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弐拾之弐拾肆 激突

『花ちゃん、良いかな?』

 志緒ちゃんの問い掛けに、花ちゃんは真剣な表情で考えてから『現場判断で、行動しましょう』と結論を出した。

 私は一応、那美ちゃんに皆が行動を起こそうとしていることを念じて伝える。

 上手くいったらしく、那美ちゃんから『雪先生には伝えるわぁ』という答えが返ってきたので、改めて東雲先輩達に意識を戻した。

 那美ちゃんの報告は、志緒ちゃんたちも聞いていたようで、既にモニターに映る『種』対応メンバーの皆はそれぞれ頷き合い行動を開始する。

 最初に行動を起こしたのは、結花ちゃんと舞花ちゃんだった。

 二人は息の合った動きで、結花ちゃんは時計回り、舞花ちゃんは反時計回りに『種』の周りを、それぞれ火の球と水の球を飛ばす。

 直接攻撃するのでは無く、まずは周りに飛ばして反応を見るつもりでは無いかと思った。


 火と水の球を飛ばすことで、状況の異常さが浮き彫りにされた。

 遠距離で撮影しているドローン二機のカメラ映像には、火と水の球が映っているのに、ヴァイア達の視線映像には映し出されない。

「ヴァイア達、皆の映像がおかしい?」

 私が呟いた直後、東雲先輩の声が響いた。

『直接攻撃を加えてみる。何が起こるかわからないから、皆警戒をしてくれ!』

 そう言うなり、東雲先輩は左の腰に下げられた刀を抜く。

 緑がかった青い刀身が姿を見せると同時に、白いスパークが刀身を走った。

 右肩を前に前傾姿勢を取った東雲先輩が、身体を回転させて、刀を振り抜くと、刀身に纏わり付いていた電撃が一直線に『種』へ向かって行く。

 空気を一瞬出かける電撃だったが『種』に命中する直前で電撃が弾けた。

 正確には、何かにぶつかったと思われた瞬間、いくつかの過ぎに分かれ、ドーム状の表面をなぞる様な軌道で走り抜けていく。

 そんな電撃を防いだドーム状の壁の下で『種』は大きくその姿を変えていた。


「アレが、さっきの怪獣ですか?」

 私の隣でモニターを見ていた林田先生が戸惑った様子で呟いた。

 林田先生の問いに答えることも出来ないどころか、起こったことが上手く飲み込めなくて、私は言葉に窮してしまう。

 モニターに映し出されているのは五つの水の球で、恐竜を思わせる巨大な身体は消え去ってしまっていた。

 丸くなっていた場所から動いていない前提で考えれば、その五つの水の球が『種』が変化したものになるのだろうけど、前後があまりにも違うもの過ぎて、納得が出来ない。

 私がそんなことを思っていると『主様』ろリンリン様が声を掛けてきた。

 モニターを見たまま、リンリン様に「なんですか?」と返す。

 それを切っ掛けに、リンリン様は『あの五つの水の球は、首が変化したものでは無いかと、オリジンが推測したのじゃ』と教えてくれた。

「首が……なんで?」

 思わずそう口にしてしまった私に、林田先生が「あの、大きな身体では対処できないと考えて、変化というか、進化というか……変わったんじゃないか?」と言う。

 それを聞いた私は「一つじゃ大変だから、五つに分かれた?」と疑問符付きで考えを口にした。

 林田先生は「元々頭ごとに違う攻撃をしていたわけだから、頭ごとに分離できるのかもしれない」と考えを口にする。

「それじゃあ、目隠しをしてたのは、五つに分かれるのを悟らせないため!?」

 私がそう口走ると、林田先生は「僕も理解の追いつかないことは多いけど、状況から推測すれば、辻褄が合うと思う」と言い切った。

 林田先生と同意見だったわ足しは、皆にも伝えようと「リンリン様」と声を掛ける。

『うむ。既にオリジン達も同じ結論に達したようじゃ』

 一端そこで言葉を切ったリンリン様は、更に『よって、敵の分離が終わる前に攻勢に出るようじゃ』と続けた。

 リンリン様の言葉を受けて状況を確認しようと『種』の影響を受けていなかったドローンのモニター映像を注視する。

 その中央、『種』がはったと思われるドーム型の障壁の直上に、巨大なハンマーを背負って飛翔する志緒ちゃんの姿を見つけた。

「あ、あれって……」

「僕達の作ったあのハンマーですよね!?」

 志緒ちゃんの手にしたものを見て、私と林田先生は顔を見合わせながら答え合わせをする。

 那美ちゃんが球魂に戻って失われたと思っていたけど、ちゃんと残っていたようだ。

 志緒ちゃんはそんな巨大ハンマーの柄の先端部分を両手で握りしめ、自分の頭上高く振り上げると、一気に振り下ろす。

 巨大質量の移動は遠心力を産み出し、振り下ろしたまま手を離さなかった志緒ちゃんはそのまま回転に巻き込まれた。

 縦方向の回転に巻き込まれ、そのまま一緒に落下していく志緒ちゃんだったが、離せなかったのでは無く、離さなかったらしく、その身体を小さく丸める。

 巨大ハンマーの持ち手部で志緒ちゃんが身体を丸めたことで、回転速度、落下速度ともに急激に増加した。

 回転速度を見る間に上げる志緒ちゃんがくっついた巨大ハンマーは、もの凄い速度で『種』の生み出した障壁へと激突する。

 空中を飛ぶドローンが大きく上下するほどの強烈な衝撃波が、もの凄い轟音と共に生じ、激突の直後、神世界を大気を震わせた。

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