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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾玖章 救出作戦
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拾玖之参拾漆 祈り

 後ろに立った林田先生が「え、えーと……」と声を漏らしたことで、何を考えているか察することの出来た私は「右肩に右手を、左肩に左手を置いて、私たちの身体で輪を描くようにしてください」と指示を出した。

「わかった」

 林田先生がそう言って指示通り私の肩に手を置いてくれる。

 瞬間、身体の中へ大きなエネルギーが入り込んでくるのを感じた。

 その流れ込んできたエネルギーがリンリン様に流れるように思いを込める。

「リンリン様! 頑張って!!」

 思わず口から出た言葉に従って、私の中から組んだ手を通じて別の空間へとエネルギーが流れ始めた。

 それがリンリン様の元に届いているのだという確信の中で、私はその力が皆に注がれ、皆の力が増すようにと願う。

 そうして、林田先生から私の中に送られたエネルギーの全てがリンリン様の元へと流れていった。


 自分の中からエネルギーが全て送られたことを感じ取った私は「林田先生、送り終わりました」と伝えて目を開いた。

 モニターで白い鳥居から繋がる神世界の皆の様子を覗う。

 扇状に囲む皆の中心、扇の要の位置に立つリンリン様はこれまで以上に猛烈な光を身に宿していた。

 そんなリンリン様に届くように、私は胸の内で『エネルギーの送信が終わったこと』が伝わるように念じる。

 すると、モニターの中のリンリン様が『皆、これから『魔除けの鈴』を使うのじゃ!』と声を張り上げた。

 リンリン様を取り囲む各人がそれぞれ身構えるように動いたところで、リィンと高く清らかなすすの根が響く。

 同時にモニター越しでもその姿が見えなくなる程リンリン様の姿が輝き、すぐにモニターが白一色に塗りつぶされてしまった。


 光が収まり、モニターに光が戻ってくると、皆の姿がパワーアップ後の姿に変わっていた。

 東雲先輩は金色の羽織と薄衣の羽衣を纏う巫女姿、舞花ちゃんと結花ちゃんはチュチュ姿に変わっている。

 志緒ちゃんは既に猫スーツ姿だったけど、大きな変化が起きていた。

 それは他の三人も一緒で、衣装が変わるだけで無く、身体の周りにキラキラと輝く光の球が周囲を回るように浮いている。

 光の球はそれぞれの属性を示しているようで、舞花ちゃんには紫色、結花ちゃんには赤、志緒ちゃんには緑がかった青い光が纏わり付いていて、東雲先輩に至っては、その三色に加えて白と黄色の二色の光の球も纏わり付いていた。


『ちょっと、動いてみるね』

 志緒ちゃんは言うなり膝を折ってグッと身体を沈み込ませた。

 直後、モニターから志緒ちゃんが姿を消す。

「へっ!?」

 思わず驚きで間抜けな声が出てしまった私に、那美ちゃんが「ジャンプしただけよ」と冷静に教えてくれた。

「み、見えたの?」

 那美ちゃんに視線を向けつつそう尋ねると「聞こえたのよ」と答えが返ってくる。

 思わず、なるほどと手を叩いたところで、モニターの中では、上からふわりと志緒ちゃんが舞い降りてきた。


『パワーアップしたスーツだけでも凄かったのに、今の光の球が付いてる状態だと、更に筋力が増えているよ!』

 興奮気味に訴える志緒ちゃんの横で、舞花ちゃんが『はいっ』と右手を挙げた。

 舞花ちゃんに振り返りながら、志緒ちゃんが『何、マイちゃん?』と聞く。

 対して舞花ちゃんは『私も水出してみていいかな?』と目を輝かせて尋ねた。

『どのくらい能力が強化されてるか、実験しておかないとだね』

 志緒ちゃんがそう言って頷いた直後、舞花ちゃんの周囲を回る紫の光の球が輝きを増す。

 舞花ちゃんの目の前に空中から無数の水滴が出現し、それが渦を描くように回転しながら合流し、一つの水球ができあがった。

 舞花ちゃんの出現させた水球は、時を経る毎に回転速度と水滴の数を増やし、ドンドンとそのサイズを大きくして行く。

 勢いと大きさが想定外だったのであろう舞花ちゃんが『わぁ、ストップストップ!』と慌てて制止を掛けた。

 決して暴走していたわけでは無かったようで、舞花ちゃんの言葉に応じるように水球はピタリと回転も拡大も止める。


『大丈夫、マイちゃん?』

 胸に手を当てて肩で息をする舞花ちゃんに、志緒ちゃんが声を掛けた。

 舞花ちゃんは『想像以上に早く回って大きくなって、驚いちゃったけど、ちゃんと言うことを聞いてくれるみたい』と苦笑を浮かべる。

 志緒ちゃんは頷きつつ『単純に出力が上がってるって感じね……あと、私のジャンプと違って、何かを出現させると光の球が強く輝くみたい』と自分が見て気付いた点を上げた。

『え、光の球がもっと明るくなるの?』

 能力に集中していたからか、舞花ちゃんは自分の周りに浮かぶ光の球の変化に気付いていなかったらしい。

『それじゃあ、ユイが炎を出すところを見ていれば良いわ』

 自分の周りに浮かぶ紫の光を見た舞花ちゃんに、結花ちゃんがそう言って声を掛けた。

 そして、舞花ちゃんと結花ちゃんが同時に視線を志緒ちゃんに向ける。

『試しても良いわよね?』

 結花ちゃんの問い掛けに、志緒ちゃんは『もちろん』と頷いた。

 志緒ちゃんにの承諾を得た結花ちゃんは少し皆から距離を取る。

『流石に火力が強すぎて、機会を溶かしたら困るからね』

 そう言ってから結花ちゃんはゆっくりと手を挙げた。

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