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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾玖章 救出作戦
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拾玖之弐拾漆 すりあわせ

 変に気を遣ったり、知恵を使った気になっても、問題を起こしかねないと、自分の残念さを把握した私は、最早取り繕ったりせずにストレートに話をすることに決めた。

 一応、月子先生にも雪子学校長にも意向は伝え、様子を見ながら徐々に情報は開示するようにという指示付きで許可は貰っている。

 改めて、林田先生を目の前にした私は表情を引き締めて「まずは疑わずに、最後まで聞いてください」と伝えた。

 私の気迫が伝わったのか、林田先生は多少戸惑ってはいるようだけど、しっかりと頷いて「わかりました」と同意してくれる。

 これで話す土台が出来たと確信した私は、早速本題に入ることにした。

「まず、一番伝えたいことで、一番信じられないと思うんですけど、私と林田先生は元は一人の存在だったんです」

 私の言葉に驚いたような顔を見せた林田先生は、やはりすぐに受け入れられるわけもなく目を泳がせる。

 感触的にはほぼ十割信じていない感じなので「最後まで聞いてください」ともう一度繰り返した。

 林田先生は、その言葉を聞くなり目を閉じて気持ちを整えると「大丈夫です、続けてください」と目を見開いて私を見ながら言う。

 僅かな時間でどの程度』気持ちが整えられたかはわからないけど、一番受け入れがたいだろう部分は伝えたので、後は大した衝撃は無い筈だ。


「まず、神世界についてはどの程度覚えていますか?」

 私の問いに対して林田先生は「そうだな……まず、赴任してから雪子学校長に話を聞いて、君たち……生徒達が命掛けでこの世界を護るためにこことは異なる世界で戦っているという説明を聞いたのは覚えている」と答えた。

「その時、わた……林田先生は、身体に神世界で負った怪我が反映されて……傷ついた生徒を見て、自分も助けに入ろうと思ったのは、覚えてますか?」

 あの時のことを思い出すと東雲先輩が傷を負ったシーンが明確に蘇ってきて、もの凄く心が苦しい。

 出来れば思い返したくないけど、林田先生の状況を確認する為には、耐えて乗り越えるしか無いと、私は反応を窺った。

 林田先生は細かく目を泳がせながら真剣な表情で考え込んでいる。

 しばらく過ぎたところで、林田先生は「確かに、それを目撃したかもしれない……確か、東雲くんの腕が……」と震えた声で呟くように口にした。

 具体的な名前が出たこともあって、私は林田先生に記憶が蘇ったのだと判断して話を先に進める。

 何よりも、私自身が、このまま東雲先輩に怪我に触れていたくなかった。

「その時、得た神格姿がこの姿です」

 口にするなり私は変化の術を使う。

 那美ちゃんによって、二人に分離して以来、林田京一から神格姿の獲得によって作り替えられた狐や狐人間の姿はベースでは無くなり、今のベースは黒髪の()()()少女の姿になっていたのだ。

 全身にエネルギーを巡らせ、身体を作り変えるイメージを浮かべる。

 その最中、頭にエネルギーの不足という感覚が生まれた直後、スカートのポケットに入れていたアイガルカードが反応した。

 具現化と同様エネルギー源で使えることに気付いた私は、林田先生に記憶を呼び起こして貰うためにも変身はし終えなければと考えて、スカート越しにカードに触れてエネルギー化をイメージする。

 不足を訴えていた頭の中の声というか、メッセージが消え去った。


 目を丸くした林田先生は「狐耳に……尻尾……」と視線を動かしながら私を見た。

 無事変身できた事に安心して、私はホッと息を吐き出す。

 林田先生は何度も瞬きを繰り返した後で、ゆっくりとこちらに手を伸ばしながら「その、耳に触れてもいいだろうか?」と尋ねてきた。

 その問い掛けで我に返った私は飛び退きながら「駄目です!」と強めに言い放つ。

 対して林田先生は「あ、いや、その、すまない……急に触らせてほしいなんて、嫌だよな」と明らかに肩を落とした。

 私は誤解を招いたのだと察して、慌てて説明の言葉を並べる。

「そ、そうじゃないです。触られたくないということは無くて、さっきも言いましたけど、私と林田先生は元々一人の人間だったので、触れられてしまうと、何か予想もしなかったことが起きるかもしれないんです!」

 かなり早口になってしまったがどうにか言い切った私の言葉を聞いて、林田先生は「そうだったね。なるほど」と頷いた。

 明らかに納得していないか、ショックを引き摺っているとわかる反応に「触られるのを嫌がったりしませんよ。私は林田先生で、林田先生は私でもあるんですから!」とはっきりと言い切る。

 私の剣幕に驚いた表情を見せた林田先生は「……気を遣わせてしまったね」と力なく笑った。

 これはもう口でなんと言っても駄目だと思った私は、月子先生と雪子学校長に確認のための視線を送る。

 二人を代表して月子先生が「まあ、いずれ接触は必要なところだからね……嫌な予感や気配がしたら、すぐに距離を取ること」と条件付きの許可をくれた。

 私は頷きを返してから、自分の中に警告を告げる様なイメージや閃きが起こらないか意識しながら、林田先生と距離をつめていく。

 今にも触れそうなところまで近づいたところで、逆に距離を取るように動こうとしている林田先生を見上げながら、私は「動かないでくださいね」と告げた。

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