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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾玖章 救出作戦
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拾玖之拾捌 開通

 花ちゃんにおすすめされたモノの中から、動きを阻害しないモノということで私はスパッツを選ぶことにした。

 丈の長さはある程度イメージで変えられるので、なるべく丈を短くして、影響を心掛ける。

 チェックを買って出てくれた花ちゃんに問題ないといって貰ったので、とりあえず新たな衣装問題は無事片付けることが出来た。

 私がそんな風に花ちゃんと衣装の手直しをしている間にも、志緒ちゃんは『オリジン』と連携して、林田先生の身体と接触するためのゲートの位置を算出してくれている。

 大事なこととは言え、少し脱線してしまっていた気がして、真面目に作業を熟してくれた志緒ちゃんには、少し申し訳なかった。

 その事を私が謝ると、志緒ちゃんは『後でオリジンに録画を見せて貰うから大丈夫』と良い笑顔で返してくる。

 何がどう大丈夫なのかわからなかったけど、踏み込んだら駄目な気がして「そう、なんだ」と曖昧な相槌を打って流すことにした。


「雪ちゃんたちに合流するならこの場所が良いと思う」

 志緒ちゃんの案内で、私は自分の身体の乗った車椅子を押しながら、ゲートを開く予定の場所にやってきた。

「ゲートは私が開くよ!」

 四季の箸を握った舞花ちゃんがそう言って、私の前に歩み出る。

 魔除けの鈴の効果は受けていないので、舞花ちゃんは水色のドレス姿だ。

 一方、私はリンリン様の『魔除けの鈴』の影響を受けパワーアップした姿になっている。

 このままであれば、東雲先輩達のように現実世界に戻っても実体を維持できる筈だ。

 私はその検証を兼ねて、車椅子を押すのを立候補してくれた花ちゃんに無理を言って、自分で押させて貰えるようにお願いして、どうにか頷いて貰っている。

 とはいえ、全部を任せて貰ったわけでは無かった。

 というのも、まず那美ちゃんの前の学校の『黒境』付近にゲートを開いた場合、四季の箸の消耗は大きく、短時間しか維持することが出来ない。

 そして、私が実体を保てるのか、あるいは保てたとして維持できる時間が不明瞭なため、最悪、ゲートを移動している間に、私の実体化が失われてしまうかもしれず、立ち往生してしまうのは間違いなかった。

 ここで唯一私を引き戻すなり、押し出すなりできるのは、神世界を潜っても実体を失わない大人の花ちゃんだけなので、どうしても頼ることになってしまったのである。

 まあ、花ちゃんは嫌な顔はしなかったし、力強く任せてと言ってくれたので素直に頼ることにした。


『大丈夫だと思うけどぉ。気をつけてねぇ~』

 ゲートを開く秒読みが始まったところで、間延びした那美ちゃんの声がシャー君から伝わってきた。

 一応脱走したばっかりなのもあって、那美ちゃんは東雲先輩と結花ちゃんの監視の下、学校に居残りになっている。

 私たちが介入したことに加えて、那美ちゃんの前の学校の『黒境』はコンクリートに固められて接触できる状態ではないので、割り切って任そうと思ってくれたようだ。

 皆も、私も、那美ちゃんの元生徒を助けたい気持ちに嘘はないし、全員が願っていることなので、そこが伝わったんだと思う。

 林田先生との接触で何がどうなるかはわからないけど、神世界からエネルギーを引き出せるようになれば、より確実に那美ちゃんの生徒を助けられる確率は爆増する筈だ。

 そう考えた私はシャー君に視線を向けて「那美ちゃん! 頑張ってくるね!」と宣言する。

 すると、何故か、シャー君から『ぶはっ』と噴き出した後咳き込む那美ちゃんの声が響いてきた。

 それに続いて、結花ちゃんの『ちょっと、なっちゃん、大丈夫?』という声と、東雲先輩の『体調が悪いなら、無理するな』という木塚柄の声が聞こえてくる。

 何かあったのかも知れないと白い鳥居を見たところで、那美ちゃん本人から『だ、大丈夫よ……ちょっとむせただけだからぁ、リンちゃん、マイちゃん、しーちゃん、花ちゃんは作戦をそのまま続けてぇ』との声が届いた。

 私の真後ろで待機してくれている花ちゃんも私の肩に手を置いて「何かあれば雅人君のユイちゃんが動いてくれますから、私たちは信じて向こうに行くことに集中しましょう」と言う。

 花ちゃんの言葉を聞いて、志緒ちゃん、舞花ちゃんを順番に見れば、皆笑顔で頷いてくれた。

 急に何かが起きるとつい心配になってしまう。

 だけど、ただ無闇に駆けつけるだけが仲間じゃ無いと学んだ私は、自分のやるべきことに集中するべきだと、舞花ちゃんが開くゲートの予定地に視線を向けた。

 丁度、オリジンによる秒読みは、残り30秒を切って10秒ごとから1秒ごとに切り替わる。

 自然とほどよい緊張感が全身に巡り始めた。

「リンちゃん、頑張って」

 舞花ちゃんがそう言って笑いかけてくれる。

「大したことをするわけじゃないけど、私なりに頑張るよ!」

 頷きつつ私がそう返すと、舞花ちゃんも軽く頷いてからくるりとこちらに背を向けた。

 オリジンのカウントが10秒を切り、舞花ちゃんは手慣れた動きで志緒ちゃんの指示に従って、ゲートの頂点に最後に打ち込む一膳である春の箸を振り上げる。

 カウントが『ゼロ』二タッすると同時に、舞花ちゃんは空中に箸を突き立て、即座に横に飛び退いた。

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