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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾捌章 反抗乃刻
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拾捌之拾捌 人体実験

「まあ、そんな気はしてた」

 満面の笑顔で志緒ちゃんに言い切られてしまった私は、恥ずかしくて仕方なかった。

 とはいえ、操作に関しては頭が回っていなかったのは紛れもない事実なので、これから対策を立てなくてはいけない。

 私はそんな風に考えていたのだけど、志緒ちゃんは「『オリジン』動かせるか試して貰っても良い?」とタブレット経由で、指示を出した。

 シャー君に似た声で『実験を開始します』と『オリジン』が答えた直後、ブンと音を立てて、蜂型ドローンが羽根を動かし始める。

「お! いけそうだね」

 志緒ちゃんの言葉を肯定するかのように、発言の直後、蜂型ドローンはふわりと舞い上がった。

 緩急のついた動きで、飛ぶ蜂型ドローンを見守りながら、私は飛んだことよりも、しっかりと『オリジン』が操作出来そうだということにホッとする。

 少なくとも操作方法で、悩むことにならずに済んだのが、正直、私には大きかった。


「さて、リンちゃん、花ちゃん」

 急に声を小さくしながら、志緒ちゃんは私たちの名前を呼んだ。

「どうしました、しーちゃん?」

 花ちゃんは志緒ちゃんに習って声を潜めて問い掛ける。

 私も二人に会わせて声を抑えつつ「なに、志緒ちゃん」と続いた。

 志緒ちゃんは私たちが乗ってきたのに満足そうに頷いたところで「薬の効果も確かめないとダメだよね?」と視線をハチのドローンに向ける。

 確かに試していないモノを本番でいきなり使うのはリスクが高いとはいえ、内容が内容だけに反応に困ってしまった。

 それは花ちゃんも同じらしく、腕を組んで悩む素振りを見せている。

 とはいえ、結論は二択だ。

 やるか、やらないか、しかなく、実験せずに本番に投入するには問題がある。

 と、なれば……と思考したところで、志緒ちゃんが「私実験台します」と言い出した。

「ちょっと、志緒ちゃん!? そんなの駄目だよ!」

 止めなければという気持ちが強く出てしまって、思わず声が大きくなってしまう。

 でも、志緒ちゃんは私の大きめの声に驚くことも怯むことも無く、冷静に「でも、実験はしなきゃだよね?」と切り返してきた。

 それはそうだけどと思って言葉を探してる内に、志緒ちゃんの言葉はドンドンと重ねられていく。

「私たち三人の中で、洗脳した後に命令を出すリンちゃんが被験者になるわけにはいかないよね? いざという時は解毒剤も作って貰わなきゃだし」

 ズバリと言い切られてしまったけど、否定する言葉は浮かばなかった。

「花ちゃんは今ここにいる中で唯一の大人で、ここの責任者なワケだから、当然何かあったらダメでしょ?」

 正直、正論過ぎて「……そう、ですね」と頷くことしか出来ない。

「消去法で、私だよね?」

 頷くしか無いのに、頷きたくない気持ちで私は身動きがとれなくなってしまった。

 そんな私に志緒ちゃんは「大丈夫、リンちゃんの作ってものだもの。後遺症なんか無いって信じてるよ」と真っ直ぐ私の目を見て言い切る。

 信頼の籠もった覚悟の眼差しを受け流すことは出来ず、私は白旗を揚げるしかなかった。


「それじゃあ、オリジン。蜂型ドローンの操作は、リンちゃんの命令に従ってくれるかな?」

 志緒ちゃんの言葉に、即座に『オリジン』から『了解しました』と返答が成された。

 既に唱道したことだし、花ちゃんも仕方ないと追認してくれた実験なので、気は重くとも実行するしか無い。

 言い聞かせるように自分の中で繰り返してから、私は命令を口にした。

「オリジン。起動や動きはは任せるから、志緒ちゃんに蜂型ドローンに薬を投与させて」

『了解しました』

 私の言葉に『オリジン』からの返答がされた直後、ふわりと蜂型ドローンが舞い上がる。

 驚くべきは、初期起動の時はモーターの駆動音というか、羽ばたきの音が聞こえていたのに、今は全く静香だということだ。

 本番では不意打ちをする以上、必須な進化だとは思うけど、操作の仕方だけでそれをしてしまう『オリジン』の凄さを感じる。

 一方、蜂型ドローンの方は急速に高度を上げ、そのサイズの小ささもあって、あっという間に目で追えなくなってしまった。

 志緒ちゃんは本番で、林田先生や那美ちゃんも警戒しているだろうということで、細かく動きながら周囲を警戒したいる。

 本番と違って、来るのがわかっているので、志緒ちゃんに刺す方が難易度が高いんじゃ無いかと思われたのだけど、開始して数秒後には「あっ」という声が漏れる。

 志緒ちゃんは耳の近くを刺されたらしく、手を当てようとしたところで、ピタリと動きが止まった。

『任務完了しました』

 オリジンの報告で、志緒ちゃんに薬が投与されたことが確定する。

「し、志緒ちゃん。警戒を解いて」

 私がそう口にすると、志緒ちゃんは無言のままで、両手をだらりと下げた。

 何故かテンションを爆上げした花ちゃんが、燥ぎながら私に抱き付いて「リンちゃん、何か命令をしてみましょう。普段、しーちゃんがしないような感じのヤツを!」と言い出す。

「そんなの駄目に決まってるでしょ!」

 操ってる状態の人に何をしようとしてるんだという思いで、私は花ちゃんに怒ってしまった。

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