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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾捌章 反抗乃刻
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拾捌之壱 明暗

「それじゃあ、なっちゃんの救出作戦を開始することにしましょう」

 花ちゃんの言葉に「「「はいっ!」」」と私たち全員の声が重なった。

 これまでの実験は東雲先輩や志緒ちゃんが主導権を握っていたけど、ここからは遠征作戦になるので、主導は花ちゃんに移っている。

 そのサポートとして『オリジン』が情報収集、作戦立案、さらに必要な計算に至る全てを兼任することとなった。

 情報収集は引き続き、ステラ、きらり&ぴかり、ドローンがメインで行い、リンリン様、シャー君は『魔除けの鈴』発動要因として、桃源郷のゲート前で待機する。

 現場の状況にも寄るけど、私たちの配置は、花ちゃんと私が、この学校にある白い鳥居の前に待機、志緒ちゃんと東雲先輩が桃源郷のゲート前に待機し、パワーアップした上で、舞花ちゃんと結花ちゃんがトンネルと化した桃源郷を経由して、那美ちゃんを先回りする作戦だ。


「おおよその担当は今の説明の通りになります」

 花ちゃんの説明に皆が頷いた。

 私としては、この場に残されるのは不服でしか無い。

 が、私がアチラに、那美ちゃんのそばに出現した場合、分離した私の阪神、林田京一トの間に何が起こるかわからないこと、おとめ……私の祈りでリンリン様の力を押し上げるに当たって、前回発動した状態に近づけるのが最適解と『オリジン』が判断したことが大きかった。

 確かに、現場でどうなるか、桃源郷で発言出来るかは検証出来ていないために未知数なので、前回発動出来たのに近い環境が望ましいというのは納得出来てしまう意見である。

 納得出来る理由を示されたことで、学校での待機という配置に飛びついてしまったわけだけど、その裏には私の心の弱さというか、情けない部分もあった。

 正直に言うと、那美ちゃんと林田京一に追いついたとして、どうすればいいのかが私にはよくわかっていない。

 いや、止めなければいけないという目的はあるので、全力で止めに入れば良いんだとは思うけど、果たして顔を合わせた時、目を合わせた瞬間、私は最良な……最良といかないまでもふさわしい選択肢を選び取れる自信が無かった。

 だからといって、そんな自分が出来そうも無い役割を一番幼い舞花ちゃんと結花ちゃんの二人に託していいのかという引っかかりも私の中にはある。

 結局、最後の最後で行動を起こせず、他人に委ねようとする自分の弱さが悔しくてたまらなかった。


 パシッ。

 乾いた音の後で、両頬にじわりと痛みと熱が広がった。

 何が起こったのかと思って顔を上げると、目の前には舞花ちゃんの怒ったような顔がある。

 目の前の舞花ちゃんに両手で頬を挟まれていたことに、私はそこでようやく気が付いた。

「舞花ちゃん……?」

 何故、どうしてという思いだけで、私は目の前の怒っている様子の舞花ちゃんに声を掛ける。

「リンちゃん? リンちゃんは神様なの?」

 その問い掛けに、私は自分でもビックリするような勢いで「違う!」と否定していた。

 これまでの出来事、神様になりかけていると月子先生に指摘されたことが強く思い起こされたのだと気付く。

「じゃあ、リンちゃんは、舞花達と変わらないんだよね?」

 真っ直ぐ私の目を見て問うてくる舞花ちゃんに、私はすぐに答えを返すことが出来なかった。

「神様じゃ無くて、舞花達みたいに、神格姿を出せて、あっちの世界にも入れて、それで、なっちゃんを助けに行く仲間でしょ?」

「それは……うん」

 自分でも自分の頭が上手く回っていないことに気づきながら頷いてしまう。

 頭は回っていないのに、直感がとてもずるいことをしているのだと訴えてきて、苦い気持ちが胸の内に広がった。

 自分でわかるのは、そのせいで表情が曇っていく事くらいしかない。

 そんな私の頬に触れる舞花ちゃんの手に力がこもった。

 グッと頬を内側に押し込まれながら、舞花ちゃんに「だったら……仲間だったら、役割を分け合うのは当たり前だよね?」と問われる。

 即座に答えを返せない私は、舞花ちゃんの言葉を聞くことしか出来なかった。

「リンちゃんが神様じゃ無いなら、全部自分で出来なくて当たり前だよね?」

 唇が尖る程頬を押し込まれながら、舞花ちゃんが顔を近づけてくる。

「どうなの、リンちゃん?」

 スッと舞花ちゃんの目が細まった。

 私からの答えを聞くためだろう。

 頬を押さえる手が下ろされて、舞花ちゃんの私を見る目が真剣な眼差しに変わった。

「確かに……全部、自分では出来ないと……思う」

 情けなくなるくらい小さな声で答える自分に嫌悪感が津y待っていく。

「だから、仲間が、友達がいるんだよね?」

 目の前まで近づいた舞花ちゃんの瞳が心の中まで見抜こうとするかのように、私の目をのぞき込んできた。

 心のどこかで、この問いに頷くのはズルイという声が私の中に響く。

 責任を押し付ける行為だと苦いもので胸が一杯になった。

 それでも、弱い私は、舞花ちゃんの問いに「……そうですね」と頷きと共に答えてしまう。

 対して、舞花ちゃんは「じゃあ、リンちゃんに出来ないところは、舞花達に任せてよ!」とどこまでも輝く表情で笑った。

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