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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾漆章 作戦準備
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拾漆之拾漆 右手を

『わらわ達が協力して護る故、安心するのじゃ、凛花姫様!』

「そうだね。私の水で敵なんか流して、氷で凍らせちゃうよ! だから安心してください、凛花姫!」

「マイの反対は私の炎が火を噴くわ! だから任せて頂戴、姫様!」

『わらわが魔除けの鈴で、接近を許さぬ故、安心されよ!』

 ノリノリの連携に、羞恥心を掻き立てられた私は「なんで、姫、姫言うんですか!!」と思わず絶叫してしまった。

 舞花ちゃんは「え?」と口にした後、真顔で「舞花達が護る対象だからだよ」と言い切る。

「そもそもリンちゃんって、姫ポジションなんだから合ってるでしょ?」

 真顔でとんでもないことを言い放った結花ちゃんの断言に、私は言葉を失ってしまった。

 更に志緒ちゃんが「リンちゃん、皆がやる気の出るやり方なんだから、ここは乗っておこう、なっちゃんのためにも!」と言い出す。

「うぐっ」

 折角の良い雰囲気に水を差すことで、那美ちゃん救出の足を引っ張ることを考えると、確かにこれ以上は言えないなと思ってしまった。


 呼び名だけ、皆が気持ちよく行動するためと言い聞かせてたところで、東雲先輩が真顔で「俺も緋目を付けた方が良いか?」と聞いてきた。

 真面目で誠実なのはわかるけど、その質問はして欲しくなかったと思ってしまった私は「お任せします」と返す。

 恥ずかしすぎるので言われたくないという気持ちが私の心の大部分を占めていたけど、どこかで呼ばれてみたいかもという気持ちも混在していて、東雲先輩がどんな結論を出すのかが気になってしまった。

 すると、私がジッと見ているのに気付いた東雲先輩は「じゃあ、俺は……今まで通りで」と言う。

 私自身の認識では、ほんの少しだと思っていた期待が、その瞬間想像以上に大きかったのだと気付いてしまった。

 そんな私に東雲先輩は、もの凄く照れた様子で「流石に、俺も、その、姫は恥ずかしいから……すまないな」と言う。

 謝られている以上、私が期待をして、それを裏切られたと思っていたとつたわ……受け取られてしまっていることに気が付いた。

 東雲先輩が照れたのはなんだか嬉しく感じるものの、がっかりしたように認識されるのは羞恥心が許容限界を超えてしまう。

 自分では着地点を見つけられずパニック状態になった私に代って、いつの間にか頭の上に戻っていたリンリン様が『ほれ、戯れはここまでじゃ。早う追い掛けねばならぬのじゃろ?』と皆に声を掛けてくれた。


「それじゃあ、私が右手で試しますね」

 花ちゃんはそう宣言すると、右腕の袖をまくり上げた。

 これから挑むのは白い鳥居の先への突入であり、花ちゃんが挑むのは、今現在、生身の体が『神格姿(かみかくし)』と同一であるのが花ちゃんだけだからである。

 そもそも肉体から離脱した球魂が、神世界で実体を得た姿が『神格姿』だ。

 だが、大人に……第二次性徴を終えることで、この分離が出来なくなってしまう。

 この際に、無理矢理『神世界』に立ち入ることで、生身の肉体が、神世界に対応した身体『神格姿』へと変容するのだ。

 月子先生はその体質故に、生身の身体を神格姿へと変えていなかったが、私、そして、雪子学校長、花ちゃんは肉体を変容させた。

 だが、雪子学校長はこの場にはいない。

 そして私は球魂が身体から離れるようになってしまった。

 結果、私の身体はカミカクシのままなのか、それとも別のモノなのかわからなくなってしまい、結果として、現状で神格姿の肉体を持つのは花ちゃんだけということになってしまっている。

 つまり、球魂から『神格姿』へはこちらの世界では変化出来ないために、右腕だけを通してみて試すという行動がとれるのは花ちゃんだけなのだ。

 いきなりの突入より身体の一部の部位だけ試す方が確実にリスクが低い為、花ちゃんの立候補を止めようとしても代案を用意出来ず、結局任せることになってしまっている。

 ドローンの時、準備もしないうちに突入してしまったシャー君の時と違い、花ちゃんを見守る全員が緊張に包まれていた。

 一方で、花ちゃんはもの凄くワクワクした様子で右腕をゆっくりとしっろい鳥居の柱で区切られた平面へと突き入れる。

 直後、平面に波紋が起きて、花ちゃんの手首から先がこの世界から消え去った。


「んーー。特に感触に変化はありませんね」

 右手は鳥居の向こうにツッコんだままで、手を広げたり握ったりして見せた。

 桃源郷にある右手はシャー君とドローンが、こちらに残った左手はステラの視点で記録され、タブレット上の映像では比較しやすいように二つ並べて表示されている。

 同じタイミングで握ったり開いたりを繰り返す左右の手に時差はなく、花ちゃんが言うとおり違和感はなさそうだ。

「じゃあ、ちょっと引き抜いてみますね」

 花ちゃんはそう宣言すると、スルリと右手を引き戻す。

 白い鳥居の柱で区切られた平面から引き抜くと、消え去ってしまっていた右手の手首から先が何事もなかったかのように出現していた。

 改めて握ったり開いたりを繰り返しながら花ちゃんは「やはり違和感はありませんね」と口にした後、おもむろに鼻を自らの右手に近づける。

「花ちゃん?」

 突然の行動にどうしたのだろうという気持ちで呼びかけると、花ちゃんは「ふむ」と一言呟いた。

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