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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾漆章 作戦準備
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拾漆之参 抜け道

「確かに、実験しましたね……」

 どこか警戒するような態度で、花ちゃんは頷いた。

 私が何を言い出すのかを警戒しているように見えるので、ここは勿体ぶらずに言ってしまうことにする。

「アレって、神世界とこちらの世界にズレがあるから、黒境のそばに穴を開けてもこちらでは大きくズレてましたよね?」

 花ちゃんが私の放った言葉に「そうですね」と頷いた。

 明らかに警戒しているのがわかる花ちゃんに「神世界の数センチが、こちらの世界では数メートルの誤差ですよね? 数百メートルなら、こっちでは数十キロってなると思いませんか?」と踏み込んで聞いてみる。

 私の問い掛けに明らかに嫌なかをを浮かべた花ちゃんが答えをくれるより先に、志緒ちゃんが手を叩きながら「あー、神世界をワープ用の通路に使うってことね!」と嬉しそうに口にした。

 志緒ちゃんの話になる程と頷いてから、東雲先輩が私に「距離が連想の切っ掛けになったのはなんとなくわかったが、時間は?」と尋ねてくる。

「あ、えっと、時間制限があったから、それを連想したんです」

 私がそう説明すると、東雲先輩は改めて「なるほど」と言いつつ、深く頷いた。

 志緒ちゃん、東雲先輩の様子からして、いけるかもしれないと思ったところで、花ちゃんが「待って、流石に難しいと思うのだけど……」と盛り上がる私たちにストップを掛ける。

 一応、月子先生からの話も覚えているので、花ちゃんの懸念は理解出来るのだけど、改めて問題点を認識するためにも、あえて「それはどういうことですか?」と聞いてみた。

「月子お姉ちゃんも説明してたと思うんだけど、神世界はこちらよりも上位の世界なの……だから、こちらの世界から穴を開けることは出来ないのよ」

 花ちゃんにそう言われて、確かに似たような説明を月子先生から受けたのを思い出す。

 肝心なことを失念してしまっていたことに気が付いて、思い付いたアイデアが使えないと諦めかけたところで、志緒ちゃんが「あー、でも、なっちゃんが言ってたけど、リンちゃんの具現化の能力のエネルギーの出元って神世界なんじゃなかったかな?」と口にした。

 次いで、東雲先輩が「もし、それが正しいなら、凛花は神世界との繋がりを生み出せるって事じゃないか?」と続く。

 自然とその東雲先輩の発言の後、皆の視線が集まったのは私、そして次に向かったのは花ちゃんだった。

 花ちゃんは皆からの試験を受けた後で大きめの溜め息を零してから「確かに、月子お姉ちゃんも同じ推測をしていました……けれど、その力は……」と口にしつつ私を見る。

 その言葉の先をなんとなく感じ取った私は、確認の意味も込めて「那美ちゃん……いえ、林田先生が私から持っていったってことですね?」と返した。

 無言のまま花ちゃんは深く頷く。

「ついさっき実験した皆からエネルギーを集めて具現化する方法は、そのエネルギーを代替出来るかというモノだった」

 東雲先輩の言葉に、志緒ちゃんはハッとした表情になって「それって、具現化能力は使えるようになったけど、前のようにエネルギーを引き出せるようになったわけじゃないってこと?」と深刻な表情で尋ねる。

 その問い掛けに対して少し間を置いてから、東雲先輩は「現状では、そうなると思う」と頷いた。

「だが」

 この話も終わりかと視線を下げたところだったせいか、東雲先輩の逆説の一言は強く響く。

 顔を上げた私に「オレ達がエネルギーを補えば具現化が出来るということは、エネルギーの供給源を開く事だけが出来なくなっているんじゃないかと思うんだ」と東雲先輩は続けた。

 ジッと私を見てくれている東雲先輩の意図が全く感じ取れずに、情けなく思いながらも、私は「つまり?」と話の続きを求める。

 対して、東雲先輩は「既に神世界からのエネルギーを原動力にしている具現化したモノなら、具現化エネルギーを調整して、神世界への門に作り替えられるんじゃないか?」と力強い笑みを浮かべた。

 いけるかもしれないという空気が流れたことで慌てた花ちゃんが「ま、待ってもらえますか? 確か人工的に門を作れそうな気はしますけど、神世界を通り道にするなんて、前代未聞過ぎて、危険が……」と口にするも、舞花ちゃんに「危険なのはいつもだよ」とサラリと流されてしまう。

「なっちゃんを助けに行くには多少の無茶はしないわけにはいかないわね」

 結花ちゃんも何でも無いことのように言うけど、二人の目に宿る真剣な色を見れば、子供の戯言でも、ましてや覚悟のない言葉でもないのが感じ取れてしまった。

 花ちゃんも同じように二人の意思と覚悟を感じ取ったのだろう。

 続ける言葉を上手く浮かべることが出来なかったらしく、表情を険しくするだけで黙り込んでしまった。

 そんな硬い空気の中、志緒ちゃんが「予測でしかないけど……」と口を開く。

 皆の視線を集めたところで「なっちゃんは防御用の何かを具現して身を守ってるわけなんだから、リンちゃんに同じものを作って貰えば安全面もかなり改善出来ると思うわ」と笑顔で言い切った。

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