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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾陸章 急転直下
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拾陸之肆拾弐 土行と金行

「行くぞ、凛花」

「はい!」

 返事をした直後、これまで感じたのとはまた違うエネルギーが私に送り込まれたのが感じ取れた。

「えっと、エネルギーが送られてくるのを感じてます……火行程ではないですが、暖かい……それに水行程じゃないですが湿った感じがします……それと、木行の風程じゃない纏わり付く感じ……あと、なんとなく硬いものが触れてる感じでしょうか……」

 肌から伝わってくるエネルギーに対しての私の実感を、感じたままに言葉にしていく。

「なんかいろいろ混ざってる感じなんだね」

 舞花ちゃんが私の報告を聞いてそう感想を漏らした。

 私も「確かに、なんとなく皆に送って貰ったエネルギーの特徴を少しずつ集めた感じですね」と同意して頷く。

「土行は全てを調和する五行とされていますからね。それぞれの特性を少しずつ持ち合わせることが触媒となる五行としての特性なのかも知れませんね」

 花ちゃんの発言に続いて、志緒ちゃんは私の表現から思い付いたらしいことを口にした。

「全部の属性の特徴を少しずつ持ってる……なら、硬いっていうのは金属の固さかな?」

「なるほど、確かに今まで硬い者の感触はなかったですからね」

 志緒ちゃんの意見の同意したところで、結花ちゃんが「それで、右足が空いてたと思うけど、そこに溜まっている感覚はあるの?」と聞いてくる。

 そう言えば確認を忘れてたグラフと溜まってる感覚を確認するために「待ってくださいね」と断わってから意識を集中した。


「さっき言った感覚は続いているので、東雲先輩からの土行のエネルギーは受け取れていると思います」

 前提として、現状を改めて伝えてから、私は結花ちゃんに尋ねられた部分の報告に移った。

「えっと、エネルギー自体は私の中に入り込んでいる感覚はあります。でも、右足に溜まってるって感じはしないですし、グラフの方にも新たなモノが出現したりもしていません」

 私の報告が終わると、東雲先輩が一言「わかった」と口にして、直後エネルギーの流れがピタリと止まる。

「あ、エネルギーの流れが止まりました」

 必要なかったかもしれないと思いながらも、そう報告を入れると、東雲先輩は「じゃあ、次は金行のエネルギーの切り替えて送ろうと思うが、大丈夫か?」と尋ねてきた。

 私は軽く体の調子を確認してから「はい、大丈夫です」と返す。

「じゃあ、いくぞ」

 東雲先輩の宣言に、私は「はい!」と短く応えて、エネルギーを受け止めるために身構えた。


「少し冷たくて……硬いモノ……金属の棒みたいなモノが押し付けられているような感覚があります」

 東雲先輩から青く荒れてきたエネルギーの感触を伝えつつ、私は意識をグラフに向けた。

「グラフに新しく白の……えっ!?」

 私が驚きの声を上げたことに、即反応した東雲先輩は「どうした凛花!?」と聞いてくると共に、すぐにエネルギーの送り込みを止めてくれる。

 私は軽く息を吐いて気持ちを落ち着けてから「他の皆の時と違って、白のグラフ……多分金行のグラフなんですけど、それが一気に皆のエネルギーと変わらないくらい溜まったというか伸びたというか……」と驚いた内容を言葉にした。

 東雲先輩は、私からの報告を聞いた上で「エネルギーが右足に溜まってる感覚はあるか?」と尋ねてくる。

 言われて意識を向けた私は、十分なエネルギーが右足に溜まっているのを感じ取った。

「多分ですけど、十分な量のエネルギーが溜まってる気がします」

「……そうか」

 そう呟いた東雲先輩はそのまま黙り込んでしまう。

 どうしたんだろうかと思いながら、次の反応を待っているだけなのに、時間の経過と共に不安が大きくなってきた。

 何かアクションを起こした方が良いかなと、黙って待つのも限界になってきたところで、タイミング良く、東雲先輩が口を開く。

「まず、俺の感覚としてだが、金行も含め、凛花に送ったエネルギーは、舞花、結花、志緒の送ったエネルギー量を参考に、同程度の量と勢いで送った」

 ともかく状況が動いた事への安堵感もあって、私は「はい」と返事をする。

 私の返事を同意と解釈した東雲先輩は「凛花も受け取る量で感じ取っていたわけだな」と納得してしまった。

 ここはちゃんと訂正した方が良いと思ったモノの、何故か声が出ない。

 その間に東雲先輩は話を進めてしまった。

「送る際のエネルギー量が三人と変わらないのに一気に溜まったのだとしたら、五回分が一気に加算されたんじゃないかと思うんだ」

 東雲先輩の言葉に、舞花ちゃんが「あ! リンちゃんが行方不明って言ってたまーちゃんの送ったエネルギーが、一つに集まったってことだ!」と手を叩く。

 対して結花ちゃんが「まってよ、マイ。リンちゃんの中に入ったエネルギーって吸収されたんでしょ? それに、吸収されて無くてリンちゃんの中にあったとしても、エネルギーの属性は別のモノだったでしょ?」と矛盾点というか、引っかかった点を口にした。

 舞花ちゃんは結花ちゃんの指摘に「そっか、じゃあ違うのかな?」と呟く。

 少し気落ちしたような舞花ちゃんの呟きに対して、今度は志緒ちゃんが「もしかしたら、土行のエネルギーが他のまーちゃんのエネルギーを繋げて、金行のエネルギーに統合されたんじゃないかな?」と新たな見解を示した。

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