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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾陸章 急転直下
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拾陸之参拾玖 次のステップ

「志緒ちゃんの手が離れた感覚がありましたけど、エネルギーは引き続き私の中に入ってくる感覚があります」

 私の報告に、東雲先輩が「いいぞ。これで志緒もエネルギーを放出出来るようになったって事だ」と明るい声で言った。

 対して、志緒ちゃんが「う、うん。で、でも、集中してないとすぐに……だ、駄目になりそう」と情けない声を上げる。

「凛花、どうだ触れてない今なら、何か肌が感じるものはあるか?」

 東雲先輩に話を振られた私は「あ、はい。確認します」と答えて、意識を向けた。

「えっと、なんだか肌に息を吹きかけられているような感触……と、ちょっとピリピリと肌がする感覚があります」

 私の報告に東雲先輩は「十分だ」と言うと、すぐに「志緒、凛花の手を握って必要量を送り込んでくれ」と指示を出す。

「うん!」

 即座に返事をした志緒ちゃんのもの思われる手が、再び私の左手を握った。

「はぁ、やっぱり握っている方が安定するよ」

 志緒ちゃんの言葉からは、かなり放出が大変だったようで、もの凄く安堵しているのが伝わってくる。

「初めての放出だからな……だが、これで、志緒の能力もより強化されるはずだ」

「そ、そうだね」

 東雲先輩の力強い言葉に、志緒ちゃんは少しぎこちなく同意した。

 私も勢いで押し切られることが多いので、ちょっと志緒ちゃんの気持ちがわかる気がする。

「凛花」

「はっはいっ!」

 考え事をしていたせいで、東雲先輩への返事の声が裏返ってしまった。

 もの凄く恥ずかしく思ったのだけど、東雲先輩は自分のペースで話を進めてくる。

「緑のグラフに変化はあるか?」

 東雲先輩からの問いに、頭が即応出来ず「え、あ、ちょ、ちょっとまってくださいっ」と何度もつっかえてしまった。

 恥ずかしさで逃げ出したい自分を抑え、ともかく東雲先輩の質問に答えるために頭の中に浮かぶグラフに意識を向ける。

「じゅ、順調に増えてます……えっと、その、志緒ちゃんからのエネルギー!」

 私がそう報告すると、東雲先輩は「そうか」と口にした後で「じゃあ、二人ともそのままで聞いてくれ」と続けた。

「了解~」

「は、はいっ」

 私たちが返事をすると、東雲先輩はゆっくりとした口調で話し始める。

「まず、凛花が感じた息を吹きかけられた感触だが、空気の流れ、つまり風が起きていたんじゃないかと思う。それにピリッとした感触は電気……雷に通じる。風と雷は五行では木行に分類される」

 東雲先輩の説明で、自分の感じたモノが何だったか理解出来た私は、なるほどと思いつつ、知識の深さに感心した。

 一方、東雲先輩の話は志緒ちゃんに関する内容へとシフトしていく。

「つまり、志緒はその放出の可能性を伸ばしていけば、風や雷を使える可能性があるって事だ」

 東雲先輩の発言に、志緒ちゃんは「風と雷!」と興奮気味に反応した。

「た、試したい」

 志緒ちゃんの呟きはとても理解出来るモノだったが、東雲先輩は「今は我慢しろ」と一言で制してしまう。

 志緒ちゃんも「まあ、今はリンちゃんの能力確認だよね」と素直に同意した。


「あ、そろそろです」

 志緒ちゃんが「了解」と口にしたタイミングで、痛い程ではないけど、私の手を握る力が強まった。

 手から志緒ちゃんの緊張を感じつつも、今は声を掛けるべきではないと考えて、グラフの変化に意識を集中する。

 そして、赤と黒紫のグラフに青緑のグラフが届いた瞬間、私は「今です!」と伝えた。

「はいっ!!」

 大きな声と共に、私の握られていた手が離される。

 同時に、送られてくるエネルギーも泊まるはずだったのだけど、グラフは微増しているし、肌にも空気の動きやピリピリした感触が残っていた。

「志緒ちゃん! まだ、エネルギーが送られてるみたい!」

「え!? ほんと、えーと……」

 そこまで口にした志緒ちゃんは、そこから「止まれ」を何度も何度も呪文のように繰り返し始める。

 ちょっと怖いなと思っている間に、思いが通じたのか、志緒ちゃんからのエネルギーの流入はどうにか止まった。


「はぁ……はぁ」

 息を乱して項垂れる志緒ちゃんに、私は「大丈夫?」と声を掛けた。

 既に志緒ちゃんの背中を結花ちゃんがさすっていて、舞花ちゃんが水とタオルを手に声を掛けている。

「だ、大丈夫……ただ初めての体験だったのと、止まらなくなって干からびたらどうしようって焦っただけだから」

 そう言いながら笑ってみせる志緒ちゃんだったけど、少しやつれているように見えた。

 ただ、エネルギーの送り込みは終わっているし、結花ちゃんと舞花ちゃんがフォローしてくれているので大丈夫だと思うことにする。

 というのも、ステップは既に次に進んでいて、目の前には東雲先輩がスタンバイしているのだ。

「凛花、最後は俺が金行のエネルギーを送り込む」

「は、はい」

「色は恐らく白の筈だ」

 東雲先輩は自分の考えにかなり自信があるようで、発言に全く揺らぎが無い。

 頼もしいと思いつつ、きっと主一宇手はいけないことを思い付いてしまった。

 東雲先輩はそんな私の状況を的確に見抜いて「どうした?」と問うてくる。

 言いたくないと思いつつ、私は「その……色が違ったらどうしたら良いですか?」と恐る恐る問い掛けた。

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